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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第3章 科学技術システムの改革
第2節 産業技術力の強化と産学官連携の仕組みの改革
2.  公的研究機関から産業への技術移転の環境整備


 公的研究機関は,機関及び研究者がその研究内容や研究成果を社会に対して説明する責任があることを明確にするとともに,論文のみに偏ることなく,研究成果の権利化を主体的かつ積極的に押し進める必要がある。

 第1次科学技術基本計画期間中は,研究者個人へのインセンティブを向上させる観点から,各省庁においては,職務上得られる特許等について個人への帰属を導入し,活用促進を図ってきたが,必ずしも実施の増加に結び付かなかった。そのため,研究開発成果の活用をより効果的に促進するため,第2次科学技術基本計画の提言に沿って,特許等の研究機関管理原則への転換を進めている。また,国立試験研究機関と民間機関との共同研究によって得られた特許の民間機関への優先的実施権の付与件数は,年々増加している。

 文部科学省では,特に,各国立大学が地場産業など地域の産業界と密接に連携し,活発な共同研究を進めるため,平成16年3月までに,共同研究センター(58の国立大学に設置)の整備を進めるとともに,新産業創出のための独創的な研究開発の推進と高度な専門的職業能力を持つ創造的な人材育成を目的としたベンチャー・ビジネス・ラボラトリーを理工系大学院生を擁する45の国立大学に整備するなどして,国立大学の持っている研究能力などの活用を図っている。

 また,大学等の研究成果の特許化や産業界への移転の促進を通じて,新たな事業分野の開拓や産業の技術の向上,大学等の研究活動の活性化を図ることを目的として,平成10年8月に「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」が施行されたが,同法に基づき,平成16年3月末現在,36のTLOが承認されており,5,058件の特許出願が行われている(経済産業省調べ,平成16年3月現在。 第3-3-8表 , 第3-3-9図 , 第3-3-10図 )。平成11年10月に施行された「産業活力再生特別措置法」により,TLOの特許料等は2分の1に軽減され,平成12年4月の「産業技術力強化法」の成立に伴い,TLOが国立大学等の施設を事務所として無償で使用することが可能となった。

第3-3-8表 承認・認定TLO(全36機関)

第3-3-9図 承認TLO(36機関)の分布

第3-3-10図 承認TLOの特許出願件数及びロイヤリティ収入の推移

 経済産業省では,TLOに対する支援として,平成10年の「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」の施行当初より補助金の交付を行い,TLOの活動を支えるとともに,海外出願がTLOにとって大きな負担になっている現状を踏まえ,平成15年度より同補助金を拡充し,海外出願に対する経費に対する補助を開始した。また,大学が自らの判断の下,適切な範囲で営業秘密管理を行い,大学研究成果が産業界に円滑に技術移転されるよう,「大学における営業秘密管理指針作成のためのガイドライン」を策定し,大学関係者に周知を図っている。

 平成11年10月に施行された「産業活力再生特別措置法第30条」(いわゆる日本版バイ・ドール条項)により,従来,国に帰属することとされていた国からの委託研究に係る特許権等については,100%受託者に帰属することが可能となった。これにより,研究意欲の喚起,民間における成果の事業化の促進が期待される。

 さらに,大学における特許等の研究成果が,平成16年4月の国立大学法人化に併せ,現在の国又は個人帰属から原則機関帰属に転換されることに伴い,国公私立大学等において知的財産の創出・取得・管理・活用を戦略的にマネジメントできる体制を整備するための支援の必要性が,知的財産戦略大綱等で示された。文部科学省としては平成14年度から,大学知的財産本部整備事業として,34件のモデル整備機関及び9件の「特色ある知的財産管理・活用機能支援プログラム」支援機関の選定を公募により行った( 第3-3-11図 )。

第3-3-11図 大学知的財産本部整備事業 地域別分布図

 このような体制整備により,産学官連携や技術移転の一層の推進が図られ,大学等で生み出される優れた「知」の活用を通じて我が国経済の活性化が実現されることが期待される。


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