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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第3章 科学技術システムの改革
第2節 産業技術力の強化と産学官連携の仕組みの改革
1.  公的研究機関の研究成果を活用した事業化の促進



(1) はじめに

(産学官連携の推進)

 21世紀は,「知の世紀」と言われており,「知」の創造とその活用を図ることが,我が国の将来の発展に不可欠であり,産学官連携はそのための取組として重要である。我が国の産学官連携は最近大きく進んでおり,例えば大学と産業界との共同研究数は5年で2倍以上,大学等の研究成果を産業界に移転する専門機関(技術移転機関(TLO( )):平成16年3月末現在36機関)による特許実施許諾件数は1,236件(平成16年3月末現在),大学等の研究成果を活用したベンチャー数はここ3年間で330を超える企業が創出(平成15年8月現在654社(うち大学発ベンチャー614社))といった状況である。他方特許の取得やその実施等の点については,世界でもトップレベルの我が国の大学の研究開発能力から見て,必ずしも十分ではなく,今後の産学官連携の一層の促進が必要であり,各種取組の強化を図っている。


■注 TLO:Technology Licensing Organization

(知的財産戦略の強化)

 平成14年7月に,政府の知的財産戦略会議において「知的財産戦略大綱」が決定され,また,平成14年12月には,「知的財産基本法」が制定された。さらに,平成15年7月に同基本法に基づき,政府が集中的かつ計画的に実施すべき施策等についての「知的財産の創造,保護及び活用に関する推進計画」が策定された。「知」の源泉としての大学が,知的財産の戦略的な取得・活用を進めるため,この推進計画に沿って各種施策を展開している。


(2) 公的研究機関の研究成果を活用した事業化の促進

 大学や研究機関等の研究開発成果の実用化については,独立行政法人科学技術振興機構において,優れた研究成果の発掘,特許化の支援から,企業化が著しく困難なものについての企業化開発に至るまでの一貫した取組を進めている。大学・公的研究機関及びTLO等における研究開発成果の特許化をはじめとした技術移転活動を積極的に支援するとともに,これらの活動の基盤となる人材の育成,総合的な技術移転相談窓口機能を集中的に担う,技術移転支援センター事業を実施している。研究成果最適移転事業として,大学・公的研究機関の研究成果に基づき,基本的特許が出願されているものにつき周辺特許などの権利化を図るための試験,研究開発型中堅中小企業が有する新技術コンセプトのモデル化,新産業創出を目指した研究開発推進による大学・公的研究機関からのベンチャー企業創出を推進している。さらに,大学・公的研究機関及び技術移転機関等と連携して研究成果の開発あっせん及び実施許諾を行い,特に開発リスクの大きなものについては企業等に開発を委託する委託開発事業により,積極的に新技術の実用化を図っている。

 また,文部科学省においては,大学等における研究成果をもとに将来起業が期待されるものを対象に,基礎研究と製品化開発研究との間の研究開発支援が不足している段階(いわゆる「死の谷」)の研究開発を行おうとする大学等の研究者に対して研究開発費及び事業化に向けた事業化計画作成等のマネジメント経費を助成しているほか,大学等において企業との共同研究の橋渡し等を行うコーディネータを全国76大学に配置(平成16年3月末現在)している。さらに,大学の研究成果や人的資源を活用してベンチャー企業を計画する者による起業化までの実用化研究の支援を行う施設(インキュベーション施設)を平成15年度までに23の国立大学に整備した。また,近年,大学や教育機関等において,先端技術と経営の双方の専門知識を有する人材(MOT( ))や,知的財産に関する専門人材の創出,社会人教育等を行うための専門コースの開設が推進されており,文部科学省としても知的財産の確保・活用に通暁する人材を育成するため,平成14年度から科学技術振興調整費の新興分野人材養成プログラムの一つとして知的財産の確保・活用に関する専門知識を有し,将来,研究現場等において専門的業務を担うことができる人材などの養成を実施している。

 独立行政法人理化学研究所においては,自らの研究成果をより一層効果的に実用化に結び付けるため,平成10年1月に研究者の兼業許可,共同研究における優遇措置策の制度を創設している。

 農林水産省においては,試験研究機関と民間事業者との橋渡しを行うコーディネータを設置し,取得した特許の民間における利用・実用化を図るための研究成果移転促進事業を実施している。

 また,経済産業省においては,実用化を目指した産学のマッチングによる共同研究に対する支援を行う大学発事業創出実用化研究開発事業や,大学発ベンチャーに対する経営専門家派遣事業を実施することを通じ,大学研究成果の事業化を図っている。また,MOT人材1万人体制の実現を目指し,平成14年度より大学等の教育機関等延べ73機関に対し,MOT人材育成に必要なカリキュラム・教材等について,開発支援を行うなど,MOT人材育成のための環境整備を進めている。

 また,特許庁では,国公立試験研究機関及び大学の研究成果の適切な保護と産業界への円滑な移転を支援するため,全国延べ67都市(平成9〜14年度)で技術導入を希望する産業界との出会いの機会となる特許流通フェアを開催した。また,独立行政法人工業所有権総合情報館では,現在活動中の承認TLO(36機関)のうち28機関(平成16年3月末現在)に対し,特許流通アドバイザーを派遣しているほか,5大学に対し,知的財産管理部門の構築を支援する知財管理アドバイザーを派遣した。さらに,大学や公的研究機関の研究者や学生など広く一般を対象として国内外の技術移転に関する有識者が一堂に会する国際特許流通セミナーを開催するとともに,研究成果の産業界への移転を促進する上で必要とされる特許流通・技術移転に関する基礎及び実務研修を実施した。

 平成12年4月に施行された「産業技術力強化法」では,大学の研究者や設置者に対する特許料等の軽減措置が講じられるなど,技術移転の支援方策の充実が図られている。

 さらに,国立試験研究機関や国立大学等における研究成果の活用促進を図るため,国有特許等を譲渡したり,専用実施権を設定する場合,随意契約により行うことができる条件を整理し,平成12年12月及び平成13年2月に関係機関への周知をしており,研究成果の一層の社会還元が期待されている。


■注 MOT:Management of Technology


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