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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第2章 科学技術の重点化戦略
第2節 国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点化
2.  情報通信分野


 情報通信分野における研究開発の進展は,情報通信産業やハイテク産業など知識集約的な産業の創出・拡大や,ものづくり技術の新たな展開など既存産業の革新のために重要である。また,産業のみならず日常生活までの幅広い社会経済活動に大きな変革をもたらすもので,国民が安心して安全な生活を送るための重要な基盤となりつつある。


(1) 基本的推進方策等

 コンピュータとネットワークを中心とした情報通信技術は,現代社会を形成する主要な知的・創造的基盤であるとともに,個人の生活から社会システム,科学技術のあり方に至るまでの社会全体に大きな変革を起こす原動力となるものである。

 このような情報通信分野は,基本計画において,急速に発展し,高度情報通信社会の構築と情報通信産業やハイテク産業の拡大に直結する分野として,優先的に研究開発資源を配分すべき分野とされている。また,分野別推進戦略では,次のような事項が重点領域として示された。

{1} ネットワークがすみずみまで行き渡った社会に向けた研究開発領域
{2} 次世代のブレークスルーをもたらし将来の新しい産業の種となる領域
{3} 広範な研究開発分野の基盤技術(研究開発の情報化)等

 これらを踏まえ,文部科学省では,科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会において,平成14年6月に「情報科学技術に関する研究開発の推進方策について」を取りまとめた。本推進方策においては,新しい時代に即した研究領域の創出,研究スタイルの構築や高度で多様性のある研究者,技術者の養成等に配慮すべきであるとしている。

 さらに,総合科学技術会議では,その後の情報通信分野におけるITの基盤整備からITの利活用へといった環境の変化を踏まえ,ITシステム利用促進のための戦略的研究開発の推進などを内容とする「情報通信研究開発の推進について」(平成15年5月総合科学技術会議)を策定した。

 そのほか,「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(IT基本法)に基づき設置された高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)では,2005年までに我が国が世界最先端のIT国家となることを目指し,「ITの基盤整備」に重点を置いた「e-Japan戦略」(平成13年1月IT戦略本部),「社会全体が元気で,安心して生活ができ,新たな感動を享受できる,これまで以上に便利な社会」を目指して,ITの利活用に重点を置いた「e-Japan戦略II」(平成15年7月IT戦略本部)が策定された。「e-Japan戦略II」においては,医療,食等の分野におけるIT利活用の先導的取組を行うほか,新しいIT社会基盤の整備の一環として,「次世代の知を生み出す研究開発の推進」が挙げられており,我が国がこれまで培ってきた世界に誇れる強い技術をより強化する一方,重要性の高まるソフトウェア技術,情報セキュリティ技術,ヒューマンインターフェース(人と機械との接面)技術の研究開発の一層の強化と実証などが重要であるとされている。


(2) 主な研究開発課題

(ネットワークがすみずみまで行き渡った社会への対応と世界市場の創造に向けた「高速・高信頼情報通信システム」の構築)

 日本が優位な技術(モバイル,光,デバイス技術等)を核に,産学官の強力な連携の下で世界に先行して,ハード技術とコンテンツ(情報内容)を含むソフト技術を一体とした「高速・高信頼情報通信システム」を構築することにより,研究成果の社会・経済への迅速な還元を目指すことが要請されている。

 具体的な研究開発課題として,総務省では,極めて多数の端末からのリアルタイム認証技術,ネットワーク経路制御技術等の研究開発を行う「ユビキタスネットワーク(何でもどこでもネットワーク)技術の研究開発」等に取り組んでいる。文部科学省では,世界最高水準の高度情報通信システム形成の鍵となるソフトウェア開発を実現させ,いつでもどこでもだれでも安心して参加できるIT社会を構築する「e-Society基盤ソフトウェアの総合開発」,経済産業省では,高信頼かつ安全で使いやすい社会ITインフラを実現するため,ネットワークで接続された複数のコンピュータや記憶装置をあたかも一つのコンピュータのように機能させる基盤ソフトウェアの開発を目的とする「ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクト」等に取り組んでいる。

(次世代のブレークスルー,新産業の種となる情報通信技術)

 次世代ヒューマンインターフェース技術,量子工学技術など新しい原理・技術を用いた次世代情報通信技術,宇宙開発(通信),ナノ技術,バイオインフォマティクスなど,融合領域において他分野との連携の下で行う高度な情報通信技術の研究開発を推進することが要請されている。

 具体的な研究開発課題として,総務省,文部科学省,経済産業省及び国土交通省の連携により,山間地,ビル影等に影響されず,全国ほぼ100%カバーする高品質の通信・放送・測位サービスの提供を実現する「準天頂衛星システム計画」に取り組んでいる。

(研究開発基盤技術)

 欧米に比べて遅れている科学技術データベースの整備,研究所・大学を高速ネットワークで結び,遠隔地で共同研究が行えるスーパーコンピュータネットワークや仮想研究所等の技術開発及び整備を行うことが要請されている。

 具体的な研究開発課題として,文部科学省では,分散した高性能コンピュータを高速ネットワークで結び,超高速の研究用グリッド・コンピューティング環境を構築するための,国際標準となりうる基盤的ソフトウェアの開発等を行う「超高速コンピュータ網形成プロジェクト(ナショナル・リサーチグリッド・イニシアティブ)」等に取り組んでいる。

 平成15年度における情報通信分野の主な研究課題は 第3-2-3表 のとおりである。

第3-2-3表 情報通信分野の主な研究課題(平成15年度)


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