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第1部   これからの科学技術と社会
第3章 社会とのコミュニケーションのあり方
第2節 科学者等の社会的役割
2.  社会との関わりにおける大学等の役割


 大学等は,我が国の学術研究と科学者等の人材養成の中核を担ってきたほか,大学が属する地域の教育,文化,産業等の基盤を支えてきた。平成16年4月に国立大学が法人化され,大学制度120余年の歴史においても画期的な大改革となった。「社会のための科学技術」の構築が求められている現在,大学等に対する社会の期待は従来以上に強まってきている。

(地域社会への貢献,地域社会とのコミュニケーション)

 従来から,大学等においては,生涯学習センター等を設置し,公開講座やオープンキャンパス等といった形で地域社会に貢献している。

 近年,地域活性化の起爆剤,地域づくりの核として,地域が大学を積極的に活用した各種の取組が注目されている。 第2章第2節 でも述べたように,大学等の特色と地域の特色を生かして,地域振興に向けた取組が行われている。また,大学等も地域の要請や期待に応えるべく,積極的に地域に根差した活動を進めている。

 これらのほかにも,京都大学では,教育学研究科が中心となって市民向けの心理教育相談室を開設しており,年間で4,000回を超えるカウンセリングやセラピーの実績を有している。教育や育児等に関する相談室は,東京学芸大学,富山大学,京都教育大学,大阪教育大学,岡山大学などでも行われている。また,山形大学では,大手企業や地方自治体を対象に科学技術に関する相談を受け付けたり高度技術研修を行うセンターを開設しており,年間で200件以上の利用がある。さらに,新潟大学では,障害児の指導に関する相談,法律相談,教育相談,妊婦とその家族に対する出産のための講習会など市民を支援する取組が行われている。

 科学技術の分野における大学等の地域社会への貢献を考える上で,大学に所属する科学者等が地域社会や地域住民のニーズを把握していくことが必要であり,今までの公開講座や研究成果報告会などのような一方的な情報発信では不十分である。欧米を中心として広がりつつあるサイエンス・ショップ(欧州の大学等で行われている市民や市民団体向けの科学相談所)あるいはコミュニティー・ベースド・リサーチ(CBR(地域立脚型研究):米国を中心に見られるサイエンス・ショップと同様の活動)の例に見られるように,地域と大学,あるいは地域住民と科学者等の双方向の情報交換や協力関係を中心とした取組を行っていくことも一つの重要な方策と言えるだろう。

 平成13年度には,「教育サービス面における社会貢献」というテーマで大学評価・学位授与機構が国立大学を中心として試行的な評価を行ったところであるが,大学等における地域社会への貢献は,今後も大学等の重要な活動として認識されるところであり,その活動が促進することが期待されている。

Column

(高度専門職業人の養成に向けて)

 社会が期待する高度な専門能力を有する人材育成機能を果たしていく観点から,高度専門職業人養成に特化した実践的な教育を行う新たな大学院の仕組みとして,専門職大学院制度が平成15年度に整備された。専門職大学院(専門職学位課程)は,社会的な通用性や国際的通用性を考慮して,高度専門職業能力を習得したことを証明する学位として専門職学位が授与されることになる。

 現在設置されている専門職大学院の分野としては,経営管理,公衆衛生などがある( 第1-3-29図 )。また,平成16年4月から法科大学院がスタートした。今後,国家資格などの職業資格と関連した専攻分野や,社会的に特定の高度な職業能力を有する人材の養成が必要とされている各般の分野において専門職大学院を設置し,社会の要請に応えていくことが期待される。

第1-3-29図 専門職大学院の設置状況


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