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第1部   これからの科学技術と社会
第2章 社会のための科学技術のあり方
第1節 知の創造と活用による社会への貢献


 科学技術活動は,未知の現象の解明,新たな法則や原理の発見など新たな知識を生み出すとともに,それによって得られた新たな知識を実社会に活用することを意味するものである。科学技術がどのように社会に貢献するかということの本質は,新たな知識を生み出し,それを活用して,人々の生活を豊かなものにするとともに,社会の様々な課題を解決することにある。

 21世紀に入り,知識基盤社会化が進展してきている中で,このような科学技術活動のうち,新たな知識を生み出すことの重要性は増してきており,「社会のための科学技術」の実現にとって,知の創造を担う科学の役割が重要と言えるだろう。

 科学技術と社会の関わりを山に降った雨を例に考えてみる。山に降った雨は,すぐに流れてしまうのではなく,まず,森に蓄えられて,木々に生命を与え,緑なす風景を形づくる。これは,基礎研究によって科学的知見が蓄積され,真理の探求が進んでゆく状態であり,科学はそれ自体固有の価値を持つものと言えるだろう。一方,森に蓄えられていた雨水は,泉となって湧き出し,徐々に太い流れとなっていくとともに,一本の流れから多くの支流ができたり,時には,地下水脈となって流れたりもする。こうした状態は,科学的知見をもとに,研究開発が多方面に進展し,様々な技術の芽が生まれてくる状態であると言えるだろう。やがて川は農村や都市に達するが,これを人々が飲み水などの生活用水,農業用水や工業用水などとして様々なニーズに応じて活用し,社会全体があまねく潤うこととなる。これは,研究開発によって生まれた技術が実用化され,人々の社会生活を豊かなものにしていくと同時に,様々な社会の課題への対応のために科学技術が活用されることと同じである。森に十分な量の雨水がプールされないと,社会は,簡単に干上がってしまい,人々が生活できなくなってしまう。それと同様に,科学技術による社会の発展を実現するには,科学的知見が十分に蓄積されていることが必要である。言い換えれば,科学は,社会の基礎体力のようなものであると考えられるが,基礎体力をつけるのは,一朝一夕で成るものではなく,地道で継続的な努力が必要であろう( 第1-2-1図 )。

第1-2-1図 科学技術と社会の関わり(イメージ)

 本節では,「社会のための科学技術」を実現するための土台と言える科学について,特に自然科学に着目して述べる。


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