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第1部   これからの科学技術と社会
第1章 科学技術と社会の関係の深まり
第1節 科学技術の発展による社会の変容
4.  社会の安全・安心を脅かす新たな要因の増大


 これまで,主として科学技術の発展が社会に与えている影響について見てきたが,科学技術と社会の最適な関係を構築するためには,社会が求めているものに対して,科学技術が適切に対応していくことが重要であろう。

 従来,科学技術に対する社会のニーズは,経済的繁栄や健康の増進など,主として人々の生活を豊かにする観点からのものが中心であった。

 もちろん,現在でもそのような期待が薄れているわけではないが,それに加え,近年の国際的,国内的状況の変化を踏まえて,豊かな社会生活の前提条件である社会の安全・安心の確保についても,科学技術に期待されるところが大きくなっていると考えられる。

 まず,国内的には,大都市の脆弱性が浮き彫りになった平成7年の阪神・淡路大震災の発生など自然災害の発生,同年の地下鉄サリン事件の発生,平成8年の腸管出血性大腸菌(O157)の流行,治安の悪化など社会の安全・安心を脅かす事例が,近年多く発生している。

 また,国際的に見ても,1989年の冷戦の終結により,世界は安定に向かうとも考えられたが,現状は,2001年9月11日の米国同時多発テロや2004年3月11日のスペインにおける鉄道爆破事件をはじめとしたテロ活動など不安定な状況である上,新興・再興感染症の脅威なども依然として存在している。さらに,グローバリゼーションの進展により,ある国・地域で発生した危険の影響が,急速に世界各地に波及する可能性を持つようになっており,最近の鳥インフルエンザ,BSEの問題やSARSの世界規模での流行はその代表例であろう。

米国同時多発テロの煙に包まれるマンハッタンと「自由の女神」  写真提供:ロイター・サン

 こうした状況を反映し,国民の安全・安心に対する関心が近年高まっている。

 例えば,「社会意識に関する世論調査(平成16年1月)」によれば,悪い方向に向かっている分野として,治安を挙げた人の割合は高く,しかも,その割合は,平成14年12月の調査に比べて上昇している( 第1-1-10図 )。

第1-1-10図 我が国の現状について悪い方向に向かっている分野

 また,「国民生活選好度調査(平成14年度)」における国民生活に関する60の項目について,調査結果から重要度の高い順に並べたところ,上位10項目すべてが,安全・安心に関連する項目であった( 第1-1-11図 )。

第1-1-11図 安全・安心に関する項目における重要度の推移

 一方,「科学技術と社会に関する世論調査(平成16年2月)」においても,科学者や技術者の話を聞いてみたいと思う分野として「安全や安心に関する科学技術」を挙げる人々が比較的多い( 第1-1-12図 )。

第1-1-12図 科学者のどのような話を聞いてみたいか

 このようなことから,社会のニーズとして,安全や安心に関する科学技術に関して更なる発展が求められていると考えられる。

 また,社会の安全・安心を確保するためには,様々な社会制度上の対応が不可欠であるが,そのような対応と一体となった取組を進めていくことが重要であろう。


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