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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第3章  科学技術システムの改革
第6節  科学技術振興のための基盤の整備
3.  知的基盤の整備


 研究開発等の安定的・効率的な推進のためには,実験,計測,分析,評価等といった研究開発の基本となる活動を支える材料,標準,手法,装置等の質・量両面での安定供給及び安全性・信頼性の確保等が必要である。このため,知的基盤(生物遺伝資源等の研究用材料,各種計量標準,計測・分析・試験評価方法やそのための先端的なツール,各種データベース)の整備を体系的に推進する必要があり,科学技術基本計画において,平成22年(2010年)までに世界最高の水準を目指して整備を促進することとされている。これを受け,文部科学大臣の諮問機関である科学技術・学術審議会では,関係省庁の協力を得て平成22年までの知的基盤整備の具体的方策を示した「知的基盤整備計画」を定め,平成13年8月に文部科学大臣に答申し,その後,当該計画については,総合科学技術会議システム改革専門調査会に報告した。


(1) 総務省

 計量標準について,周波数の国家標準を定め,標準時を通報するための施設の整備及び安定な維持供給を行っている。また,周波数・時刻の標準器の高精度化の研究を進めている。


(2) 文部科学省

 研究用材料の供給体制については,理化学研究所においてライフサイエンス研究の基盤となるマウス等の実験動物や高等動植物の培養細胞・遺伝子の収集・保存・提供とその関連技術開発を行うバイオリソース保存事業及び微生物の系統保存・分譲事業を行うとともに,大学等においては研究上必要な各種生物系統の確保・保存等に努めるなど,研究者の利用に役立てている。

 医学,薬学,生物学等の研究においては,精度の高い動物実験が必要とされている。このため,実験動物の研究開発や動物実験施設の整備を進めるとともに,科学的にはもとより,動物福祉にも配慮しつつ適切な動物実験が実施されるよう,大学等の研究機関に要請している。

 また,平成9年7月に学術審議会学術資料部会が取りまとめた「遺伝子操作動物の保存と供給について(報告)」を踏まえ,遺伝子操作動物に関する保存・供給・開発等に努めている。

 さらに,学術標本を活用した教育・研究実績,学術標本の保有・整理状況及び地域性等を考慮しながら,大学等における学術研究活動により収集された動植物,化石等の学術標本を整理・保存,展示・公開するとともに,これら学術標本を対象に組織的に独自の研究・教育を行い,さらに,「社会に開かれた大学」の窓口として展示や講演会等を通じて人々の様々な学習ニーズに応えることができる施設として,ユニバーシティ・ミュージアムの整備を推進している。

 そのほか,日本原子力研究所がRI(放射性同位元素)の製造研究を行っている。


(3) 厚生労働省

 厚生労働省においては,ライフサイエンス,特に医学,薬学分野における研究に必要なヒト及び動物由来の培養細胞及び遺伝子の収集・保存を行うマスターバンクを国立医薬品食品衛生研究所(細胞)及び国立感染症研究所(遺伝子)に設置するとともに財団法人ヒューマンサイエンス振興財団を通じ研究者等に対する供給を行っている。

 現在,これらのマスターバンクの統合を視野に入れ,研究資源供給部門を備えた医薬品等の開発に関する基盤技術の拠点的機関として,医薬基盤技術研究施設を建設している。

 また,ヒト組織について,平成10年12月16日厚生科学審議会先端医療技術評価部会(答申)「手術等で摘出されたヒト組織を用いた研究開発の在り方について」を踏まえ,生命倫理問題にも配慮しながら,財団法人ヒューマンサイエンス振興財団が医療機関の協力を得て,研究利用に係る同意の得られた組織を収集し,必要な研究者に分譲する事業を開始した。

 このほか,国立医薬品食品衛生研究所薬用植物栽培試験場において良質な資源の確保が難しくなってきている薬用植物について,同一形質を持つクローン植物の増殖(マイクロプロパゲーション)技術の研究を行うとともに,薬用植物資源の体系的な収集,保存及び提供を行っているほか,筑波医学実験用霊長類センターにおいて,カニクイザル等の繁殖,共同利用施設を利用する国内の研究者に研究用サルの供給を行っている。


(4) 農林水産省

 農林水産省においては,ジーンバンク事業として農林水産業等に係る植物,動物,微生物,林木,水産生物等の生物遺伝資源について,分類・同定,特性評価,増殖及び保存を行うとともに,生物遺伝資源及び生物遺伝資源情報を国立試験研究機関,民間,大学等に提供している。また,ゲノム研究等遺伝子レベルの研究成果であるDNA及びDNA情報を収集,蓄積,提供するDNAバンク事業を行っている。


(5) 経済産業省

 計量標準の整備については,産業技術総合研究所計量標準総合センター(NMIJ)において,国家計量標準の大幅拡充を図っている。平成13年度には,物理標準,標準物質等の開発・供給に関する103テーマの研究を実施している。また,メートル条約に基づく国際度量衡委員会の下で,進行中を含め52種類の標準の国際比較を行ったほか,平成11年度からアジア太平洋計量計画(APMP)の幹事国を引き受けるなど国際的取組に積極的に参画している。

 試験評価基盤の整備については,「工業標準センター」を活用しつつ,着実に取り組んでいる。

 生物資源情報基盤については,製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンターにおいて微生物のDNA解析及びデータの公開を行うとともに,欧米並みの規模で微生物を保存,提供するための「生物遺伝資源センター」を整備し,さらに遺伝子発現情報の解析等を行うための「生物遺伝資源解析施設」の整備に着手している。また,産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所では,微生物のDNA解析データによるタンパク質解析を行うとともに,同研究所特許生物委託センターにおいて特許に係る微生物の委託,分譲等を行っている。

 化学物質安全管理基盤の整備としては,化学物質のハザード(有害性)データの収集・整理,それらの安全性の評価を的確に実施するための簡易・代替試験方法,内分泌かく乱物質のスクリーニング試験方法等の開発を行っている( )。

 人間生活・福祉関連基盤の整備については高齢者の視点に立った創意工夫ある製品等の開発を支援するため,高齢者の身体機能(動態,視覚・聴覚特性など)の低下に着目した高齢者の身体機能特性データの整備・公表に向け,必要となる被験者データの収集・取得したデータの解析等を行った。

 そのほか,材料試験評価等の研究,データベース整備を実施している。また,地質情報については,新たに24種類の地質図を作成する等地質の調査を推進している。


■注 さらに,製品評価技術基盤機構で新たに内分泌かく乱物質等のデータをインターネットで公開する予定


(6) 環境省

 環境省においては,環境汚染の指標,環境浄化機能を有する微生物及び遺伝子操作技術で開発された新微生物の収集・保存・提供を行っている。

 なお,各府省による知的基盤の保存・供給施設の整備状況については 第3-3-31表 のとおりである。

第3-3-31表 知的基盤の主な整備状況


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