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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第2章  科学技術の重点化戦略
第2節  国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点化
3.  環境分野


 環境分野は,多様な生物種を有する生態系を含む自然環境を保全し,人の健康の維持や生活環境の保全を図るとともに,人類の将来的な生存基盤を維持していくために不可欠な分野である。国土が狭隘で資源が乏しい我が国にとって,環境分野の重要性は高く,他国に先駆けて取り組むことは極めて重要である。

 平成5年11月,地球化時代に対応し,今日の環境問題に対し適切な対策を講じていくために「環境基本法」が公布,施行された。また,同法に基づき,平成12年12月に閣議決定された第二次環境基本計画においては,持続可能な社会への転換を図るための長期的目標として,「循環」,「共生」,「参加」及び「国際的取組」の4つを掲げており,これを具体的に実現するための政策手段のひとつとして,科学技術が位置付けられている。

 また,環境分野推進戦略(平成13年9月:総合科学技術会議)では,第2期科学技術基本計画にも盛り込まれている「地球環境問題解決のための研究」,「循環型社会構築のための研究」,「化学物質の総合管理のための研究」に加えて,「自然共生型社会構築のための研究」を新たに含めることとし,これら4つが重点化の柱とされた。

 同戦略では,環境分野における重点課題として,{1}地球温暖化研究,{2}ゴミゼロ型・資源循環型技術研究,{3}自然共生型流域圏・都市再生技術研究,{4}化学物質リスク総合管理技術研究,{5}地球規模水循環変動研究の5課題を選定し,各省により取り組まれている個別研究を総合的に再構築し,政府全体として同じ政策目標とその解決に至る道筋を設定したシナリオ主導型の「イニシアティブ」で推進すべきであるとされた。

 このように,地球環境問題への取組が進むにつれ,地球温暖化研究等,科学技術面での取組の必要性も高まってきており,我が国は以下の研究開発等に積極的に取り組んでいる。


(1) 地球環境問題解決のための研究

 近年,地球温暖化などの地球的規模での環境問題が顕在化しつつあり,国際的に協力してこれらの問題の解決を図っていくことが強く求められている。我が国としては,地球規模で深刻な影響を与える環境問題に対応するための施策に関し,関係行政機関の緊密な連絡を確保し,その効果的かつ総合的な推進を図るため,「地球環境保全に関する関係閣僚会議」を設置し,地球環境問題に積極的に取り組んでいる。

 例えば,1992年(平成4年)6月,ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された国連環境開発会議(UNCED( 注1 ):地球サミット)においては,21世紀に向けての国家と個人の行動原則である「環境と開発に関するリオ宣言」,同宣言の諸原則を実行するための行動計画である「アジェンダ21」が採択された。我が国は,「アジェンダ21」を踏まえ,地球環境保全に関する関係閣僚会議において「『アジェンダ21』行動計画」を決定した。また,1997年(平成9年)6月には国連環境特別総会が開催され,「アジェンダ21さらなる実施プログラム」が採択され,これらの計画等が着実に実施されるようフォローアップを行う場として,毎年,国連持続可能な開発委員会(CSD( 注2 ))が開催されている。

 また,気候変動枠組条約は,地球温暖化問題に対処するため1994年(平成6年)に発効した国際条約であり,気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼさない水準において,大気中の温室効果ガス濃度を安定化させることを目的としている。さらに,1997年(平成9年)に開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3( 注3 ))において,先進国及び市場経済移行国における温室効果ガスの排出量について法的拘束力のある数量化された約束を盛り込んだ「京都議定書」が採択されるとともに,約束達成のための手段のひとつとして京都メカニズムの導入が合意された。また,2001年(平成13年)には,COP7がマラケシュ(モロッコ)において開催され,京都議定書の運用に関する細目を定める文書が決定された。我が国では,COP7での合意を受け,同年11月の地球温暖化対策推進本部において,京都議定書の2002年(平成14年)締結に向けた準備を進めることが決定され,2002年(平成14年)3月29日の閣議において,我が国の京都議定書締結について国会の承認を求めることが決定された。

 このように地球環境問題への取組が進むにつれ,地球温暖化研究等,科学技術面での取組の必要性が高まってきており,我が国は以下の研究開発等に積極的に取り組んでいる。


■注1 UNCED:United Nations Conference on Environment and Development


■注2 CSD:Commission on Sustainable Development


■注3 COP:Conference of the Parties

(地球的規模の諸現象の解明にかかる研究開発等)

 地球温暖化,オゾン層破壊,海洋汚染等の地球に関する諸問題は,我々人類の社会生活と極めて密接な関連を有し,重大な影響を及ぼすおそれがあることから,その現象を科学的に解明し,適切な対応を図ることが強く要望されている。

 また,地球環境問題にかかわる現象は,時間的にも空間的にも広がりを有し,一国のみの問題にとどまらないものである。このため,研究開発を進めるに当たっては,グローバルパートナーシップを確保することが極めて重要であり,世界気候研究計画(WCRP( 注1 )),地球圏・生物圏国際協同研究計画(IGBP( 注2 ))等の国際的な研究計画に積極的に参加するとともに,外国の研究機関等と共同研究を進めることが重要である。特に,我が国はアジア太平洋地域に位置し,経済的にも域内の各国と密接な関係を有することにかんがみ,本地域に重点を置いた研究開発を推進することが必要である。

 また,地球規模の諸現象の解明のためには,地球観測情報の国際的な流通を促進することが重要である。我が国は地球観測情報ネットワーク(GOIN( 注3 ))をはじめ,地球観測衛星委員会(CEOS( 注4 )),統合地球観測戦略パートナーシップ(IGOS-P( 注5 ))等に積極的に参加し,貢献している。また,気候変動に関する最近の科学的知見を取りまとめ,各国政府に提供するため,1988年(昭和63年)に気候変動に関する政府間パネル(IPCC( 注6 ))が設立され,これまでに3次にわたる報告を行っている。我が国はこれまで以上に,地球温暖化にかかわる予測・影響評価に関する科学的知見を積極的に提供する必要がある。

 地球規模の環境変動に関する研究を促進するため,地球を南北アメリカ,欧州・アフリカ,アジア太平洋の3極に分け,各地域における地球変動研究を推進するための政府間ネットワークが設けられている。このうち,アジア太平洋地域については,「アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN( 注7 ))」が設けられ,神戸市に開設した「APNセンター」を中核として地域内の研究活動等に対し支援を行っている。

 我が国における当該分野の研究開発については,関係府省が自らの予算によって実施するとともに,科学技術振興調整費,地球環境研究総合推進費等により,国立試験研究機関,独立行政法人や大学,さらには海外の研究機関等の広範な分野の研究能力を結集し,研究開発を積極的に推進しているほか,平成13年度からは,新たに「地球環境保全試験研究費」を創設し,特に地球温暖化の防止に関する中長期的視点からの研究について,関係行政機関の試験研究機関等による研究を開始している。

 文部科学省では,宇宙開発事業団,日本原子力研究所,海洋科学技術センターが共同で開発を行ってきた世界最高水準の計算機「地球シミュレータ」システムが平成14年2月に完成し,3月より本格的な運用を開始した。本システムを活用することにより,地球規模の現象をできるだけ正確に把握し,精度の高い地球変動予測等を実現することを目指す。

地球シミュレータ

 宇宙開発事業団及び海洋科学技術センターの共同プロジェクト「地球フロンティア研究システム」において,気候変動予測,水循環予測,地球温暖化予測,大気組成変動予測,生態系変動予測研究領域モデル,統合化領域の6領域について研究を進めている。また,「地球観測フロンティア研究システム」においては,気候変動観測,水循環観測研究領域の2領域において本格的な観測研究を実施しているほか,ハワイ大学の国際太平洋センター(IPRC( 注1 ))及びアラスカ大学の国際北極圏研究センター(IARC( 注2 ))において,米国との研究協力を進めている。

 戦略的基礎研究推進事業においては,「地球変動のメカニズム」,「水の循環系モデリングと利用システム」等の研究領域を設け,国が定める戦略目標の達成に向けた基礎研究を推進している。

 総務省の通信総合研究所においては,日米科学技術協力協定の枠組みの下でアラスカ大学を中心とする米国との国際共同研究として,北極域での対流圏から熱圏までの地球大気の総合的な観測・計測技術の研究を進めている。

 昭和32年の国際地球観測年を契機に開始された我が国の南極地域観測事業は,文部科学省に「南極地域観測統合推進本部」(本部長:文部科学大臣)を設置し,関係府省の協力を得て,国立極地研究所が中心となって実施している。平成13年度は,第42次観測隊(越冬隊)及び第43次観測隊が,昭和基地を中心に,気象等の定常的な観測や,地球規模での環境変動の解明を目的とするモニタリング研究観測等を実施した。

南極観測船「しらせ」(第43次観測隊)


■注1 WCRP:World Climate Research Programme


■注2 IGBP:International Geosphere-Biosphere Programme


■注3 GOIN:Global Observation Information Network


■注4 CEOS:Committee On Earth Global Observation Satellites


■注5 IGOS:Integrated Global Observing Strategy


■注6 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change


■注7 APN:Asia-Pacific Network for Global Change Research


■注1 IPRC:International Pacific Research Center


■注2 IARC:International Arctic Research Center

(地球観測技術等の研究開発)

 地球的規模の諸現象の解明を図る上で必要な情報を集積するためには,人工衛星による観測や海洋観測等により地球に関する情報を得ることが必要であり,地球観測技術の研究開発が重要である。

{1}人工衛星による観測に関する技術

 人工衛星による地球観測は,広範囲にわたる様々な情報を繰り返し,連続的に収集することを可能とするなど,極めて有効な観測手段であり,現在,特に地球環境問題の解決に向けて,国内外の関係機関と協力しつつ,総合的な推進を行っている。

 通信総合研究所においては,国際宇宙ステーションの日本の実験棟(JEM( 注1 ))の曝露部に搭載される超伝導サブミリ波リム放射サウンダの開発を進めているほか,宇宙からの地球環境変動計測技術に関する検討を行っている。

 宇宙開発事業団においては,平成9年11月に打ち上げられた熱帯降雨観測衛星(TRMM( 注2 ))からのデータを取得しているほか,環境観測技術衛星(ADEOS-II( 注3 )),陸域観測技術衛星(ALOS( 注4 ))の開発,米国航空宇宙局(NASA)の極軌道プラットフォーム衛星(EOS-PM1( 注5 ))に搭載する改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E( 注6 ))の開発,降水観測技術衛星,地球環境変動観測ミッション及び国際雲・放射ミッションの実現に向けた研究を関係機関との協力の下に進めている。

 経済産業省では,米国航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星である極軌道プラットフォーム1号(Terra)に搭載している資源探査用将来型センサ(ASTER( 注1 ))の運用及びALOSに搭載する次世代合成開口レーダ(PALSAR( 注2 ))の開発を進めている。

 気象庁では,現在運用している静止気象衛星(ひまわり5号)の後継機である運輸多目的衛星(MTSAT( 注3 ))の整備を進めている。

 環境省では,平成9年6月に機能停止した地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」に搭載した,オゾン層等監視センサ(ILAS( 注4 )及びRIS( 注5 ))から取得した貴重な観測データを,地球環境の観測,監視やその原因解明等に活用している。また,環境観測技術衛星に搭載するオゾン層等の後継監視センサ(ILAS-II( 注6 ))の最終試験を行うとともに,温室効果ガス及びオゾン層破壊物質の観測を主目的とするセンサの開発に着手した。さらに,リモートセンシング情報を活用した地域の保水能力の把握手法の開発に着手した。

 このほかに,人工衛星を用いた地球環境の観測と得られたデータの解析処理手法を確立するため,文部科学省において関係機関との協力の下に地球環境遠隔探査技術などの研究等,農林水産省においてリモートセンシング技術を活用した土地利用・作付け状況・生育状況・森林や海洋の資源量の把握等に関する研究開発及び国土交通省において人工衛星リモートセンシング技術を活用した全国土地利用図の作成等を推進している。

 また,こうして得られた人工衛星からのデータの利用促進を図ることが重要であることから,宇宙開発事業団の地球観測データ解析研究センター等において,地球観測データを利用した研究や地球観測情報ネットワークの整備を関係機関と密接に連携をとりながら推進している。


■注1 JEM:Japanese Experiment Module


■注2 TRMM:Tropical Rainfall Measuring Mission


■注3 ADEOS-II:Advanced Earth Observing Satellite-II


■注4 ALOS:Advanced Land Observing Satellite


■注5 EOS-PM1:Earth Observing System PM1


■注6 AMSR-E:Advanced Microwave Scanning Radiometer-E


■注1 ASTER:Advanced Spaceborne Thermal Emission and Reflectance radiometer


■注2 PALSAR:Phased array type L-band Synthetic Aperture Radar


■注3 MTSAT:Multi-functional Transport SATellite


■注4 ILAS:Improved Limb Atmospheric Spectrometer


■注5 RIS:Retroreflector In Space


■注6 ILAS-II:Improved Limb Atmospheric Spectrometer II

{2}海洋観測技術

 海洋は,地球的規模の諸現象に大きくかかわっており,その果たす役割の解明が重要な課題となっている。このため,海洋科学技術センターにおいては,中高度トライトンブイの実証試験や次世代型氷海用自動観測ブイ(J-CAD)等海洋観測技術の研究開発を推進するとともに,海洋地球研究船「みらい」を用い,西部太平洋,北極海等で観測研究を実施した。

 総務省では東シナ海を流れる黒潮の流速場の長期連続観測を行うために,石垣島,与那国島に設置予定の遠距離海洋レーダの開発を進めている。また,海洋油汚染・海流・波浪などの計測手法の確立と地球環境の変化の予測に資する高分解能3次元マイクロ波映像レーダや短波海洋データの研究を行っている。

 文部科学省は国土交通省と共同で全世界の海洋の状況をリアルタイムで監視,把握するため,海面から水深約2000mまでの海洋表層・中層の水温・塩分データを観測・通報する中層フロートを国際協力の下,全世界で約3,000個を展開する高度海洋監視システムの構築(ARGO( 注7 )計画)に平成12年度から着手している。

 また,経済産業省においては太平洋における二酸化炭素の循環メカニズムの調査研究を推進している。

 環境省は,国連環境計画(UNEP)が推進している日本海及び黄海を対象海域とする北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)の一環として,海洋環境の特殊モニタリング手法のひとつである人工衛星を利用したリモートセンシング技術の活用について研究を推進している。


■注7 ARGO:当初はArray for Real-time Geostrophic Oceanographyの略であったが,現在はギリシャ神話の英雄Jasonの乗った船Argoにちなんだものとされ,Jason衛星との連携をなぞらえている。

{3}成層圏プラットフォームの研究開発

 文部科学省と総務省は,成層圏に滞空させ,搭載する観測センサ,無線局等を用いることにより,地球観測,通信・放送等に利用することを目的とした成層圏プラットフォームの研究開発に着手している。

 現在,関係府省において進められている主な研究課題は 第3-2-4表 のとおりである。

第3-2-4表 地球規模の諸現象の解明・地球観測技術に関する主な研究課題(平成13年度)



(2) 循環型社会構築のための研究

 将来の我が国における経済社会の持続的な発展のためには,資源の投入,廃棄物等の排出を極小化する生産システムの導入のほか,自然循環機能や生物資源の活用等により,資源の有効利用と廃棄物等の発生抑制を行いつつ,資源循環を図る循環型社会構築のための研究開発が不可欠である。

 文部科学省では,焼酎粕,夏みかん加工かす等から有害物質を除去し,乳酸,クエン酸等を生産する研究等が進められている。

 経済産業省では,リサイクル技術の抜本的な促進を図るための研究開発として,{1}廃プラスチックの液化等の容器包装リサイクル関連技術,金属スクラップの高度リサイクル技術等のリサイクル能力の拡大のための技術開発,{2}高効率廃棄物発電,RDF(固形燃料化した廃棄物)の利用拡大等サーマルリサイクル(廃棄物の焼却熱のエネルギー利用)関連技術開発,{3}都市ごみ焼却灰等のセメント原料としての利用技術開発,{4}廃家電製品,廃自動車等の適正処理・リサイクル技術開発をはじめとして,幅広い分野における廃棄物処理・リサイクル技術の開発を積極的に展開している。その他,有機資源の環境調和型リサイクルシステムを確立するための基礎技術として,再生可能分別不要型プラスチック原料の製造技術の研究開発が進められている。

 農林水産省では,環境保全対策及び有機性資源の有効利用を進めるため,家畜排せつ物等の革新的適正処理及びリサイクル技術の開発,食品産業の製造工程全般について,食品廃棄物の肥・飼料化技術の開発,食品容器包装のリサイクル技術の開発が進められている。

 国土交通省では,植物の維持管理により発生する剪定枝等のリサイクル技術の開発,各種廃棄物を母体とした土質新材料の開発と港湾施設への適用に関する研究,在宅・社会資本の戦略的ストックマネジメント手法の開発,建築廃棄物の発生抑制・リサイクル技術の開発,資源の循環的な利用を促進する静脈システム形成,下水汚泥等のバイオマスエネルギー回収に関する研究などが進められている。

 環境省では,循環型社会の形成を推進する観点から,廃棄物処理に伴って発生するダイオキシンなどの有害化学物質の無害化処理技術,プラスチック等の安全なリサイクル技術,最終処分場の適正な管理技術等の研究・開発を行っている。その他,廃棄物処理施設やリサイクル施設において発生する微量汚染物質による環境リスクを低減することを目的に,発生機構の解明・排出制御に関する研究を行っている。また,微量汚染物質の埋立層内における長期的挙動を把握し,微量汚染物質のリスクを長期的に制御するための研究を行っている。

 現在,関係府省において進められている主な研究課題は 第3-2-5表 のとおりである。

第3-2-5表 循環型社会構築に関する主な研究課題(平成13年度)


(3) その他の分野にかかわる研究

(生物多様性に係わる研究開発)

 野生生物の種の絶滅が過去にない速度で進行しているという状況の下,地球上の多様な生物をその生息環境と共に保全し,生物資源の持続可能な利用を行うことを目的とした「生物の多様性に関する条約」を受けて,生物の多様性の保全と持続可能な利用を図るための施策を講ずる等,積極的な取組がなされている。また,同条約に基づき,我が国における生物の多様性の保全とその持続可能な利用という観点から,国の施策の基本方針と各種施策を体系的に取りまとめた「生物多様性国家戦略」を見直し,平成14年3月27日,地球環境保全に関する関係閣僚会議において決定した。この中では,自然環境の現状と時系列的変化に関する科学的かつ客観的なデータ収集・整備を目的とした基礎調査や生物の生態学的・分類学的知見の充実,生態系の構造・維持機構の解明等を目的とした基礎的研究を進めることが必要とされている。

 さらに,環境中で人を含む高等動物から微生物までの多様な生物が変動しつつ共存する秩序の本質を解明する包括的な研究も必要となっている。農林水産省では持続的農業推進のための環境負荷低減に関する技術開発,植物の環境ストレス耐性機構の解明,森林・農地・水域を通じる自然循環の機能の解明,森林・農耕地等の気候緩和機能や水質浄化機能等の解明,また,人と野生鳥獣が共存しつつ,農林業被害を軽減する技術等に関する研究開発等が進められている。

(公害防止等に係わる研究開発)

 公害の防止等については,「公害の防止等に関する試験研究の重点的強化を図る必要がある事項について」(毎年度環境省が作成)等が策定され,研究開発が重点的に推進されている。特に近年,ダイオキシン類,内分泌かく乱物質(いわゆる環境ホルモン)等化学物質の環境リスク対策に資するための研究に関心が集まってきている。それらの試験法・測定法の開発等,現在,関係府省を中心に積極的な調査・研究開発が行われている。

(その他)

 学術審議会(平成13年1月より科学技術・学術審議会)は平成7年4月,「地球環境科学の推進について」を建議し,同建議では地球環境に関連する幅広い分野の科学における研究を推進するとともに,地球環境問題の解決を目指し,総合的水プロジェクト研究を推進する中核的研究機関の設置について検討することを提言している。これを受け,新たな研究機関の創設に向けた検討を重ね,平成13年度より総合地球環境学研究所を設置した。

 また,総務省では,地球環境データの有効な情報流通を行う「地球環境保全国際情報ネットワーク技術」等の研究を進めている。環境省においては,地球環境研究総合推進費等により,地球温暖化に関する影響の予測・対策に関する研究等を推進しているほか,平成11年7月,環境研究及び環境技術開発の総合的・計画的な推進政策を具体化するものとして「環境研究技術基本計画」を策定し,環境研究・環境技術開発の推進方策として,環境研究プログラムの全体をより戦略的に企画・立案・推進すること,特定の環境問題に対する様々な科学的知見を総合的に検討評価すること等を提言した。農林水産省においては,農業の多面的機能と環境負荷の正負両面を総合評価する環境勘定手法を導入した評価手法の開発等が進められている。

 現在,関係府省において進められている主な研究課題は 第3-2-6表 のとおりである。

第3-2-6表 地球・自然環境の保全に関する技術の主な研究課題(平成13年度)



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