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第1部   知による新時代の社会経済の創造に向けて
第2章  「知」の大競争時代において
第3節  国際的な競争と協調
(1)  企業の国際戦略


 厳しい国際競争の中,企業は,最適な活動拠点を選択し,優位性を獲得しようとする。これには,主にコスト等の競争力を確保するという目的と拠点の置かれる国での市場進出を容易にするという目的の2つの側面がある。もともと,我が国の生産拠点の海外進出の代表例は自動車製造業の北米進出であるが,これは,貿易摩擦が深刻化する中,現地での雇用を確保しつつ,市場の拡大を図ろうとしたものである。今日,中国での海外生産増加が製造業の空洞化として問題となっており,我が国における雇用確保の観点から深刻な事態であることは確かであるが,中国は潜在的な成長力の大きい巨大な市場であることから,長期的に見れば,利益も期待される。

 海外研究開発比率も同様に増加傾向にある。 第1-2-10図 から,生産拠点だけではなく,特に開発研究を中心とした研究開発機能の海外移転が進行していることが分かる。これは,現地のニーズに密接に関連した製品をタイムリーに提供するためであると考えられる。近年では,大量生産を行う主力製品の生産拠点はコスト的に優位な海外に移す一方で,付加価値の高い製品の開発や試作を行う研究開発拠点は国内に残し,基盤的な技術水準を維持していこうという動きも見られる( 第1-2-11図 )。

第1-2-10図 現地法人の1社当たりの研究開発費及び海外研究開発費比率の推移

第1-2-11図 海外研究開発拠点における研究内容

 従前,我が国の技術レベルの優位は,技術開発が製造現場に近いところで行われていたため,現場のニーズが反映されやすかったことが一因であったといわれる。このことからも,我が国の企業の研究開発は新たな局面に立たされているということができる。

 また,我が国を含め,各国の企業では,リスクやコストの共有や最適な資源利用を図るため,国境を越えた技術提携を積極的に行っている。米国国立科学財団の調べによれば,その数は1980年代に比べて1990年代には大幅な増加が見られる。特に,近年その重要性が増してきているITやライフサイエンスの分野では,技術提携の数が飛躍的に増大していることが見て取れる。しかしながら,我が国の企業について見れば,IT分野を除いて技術提携数は減少しており,IT分野においても,他の国又は地域の企業を当事者とする技術提携数が大幅に増加するなかで,我が国の企業を当事者とする技術提携の割合は減少している( 第1-2-12図 )。

第1-2-12図 企業における戦略的技術提携の推移


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