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第1部   知による新時代の社会経済の創造に向けて
第1章  社会経済発展の原動力となる「知」の創造と活用
第2節  イノベーションによる社会経済の発展
1.  イノベーションによる産業の発展と経済成長


 革新的な技術を核とするイノベーションが大きな経済効果を生み出すことは,我々は,既に歴史上何度も経験したところである。最初は,蒸気機関による紡績業の飛躍的な発展から始まった第1次産業革命時(1790〜1825年頃)に長期的に世界景気が上昇した。次に,鉄道の普及による大量輸送時代の到来を迎えて,同じく景気が上昇している(1845〜1875年頃)。さらに,19世紀末から20世紀初頭にかけての科学技術の進歩の加速が電気工業,化学工業,自動車,航空機等を出現させ,これら新規産業による景気の拡大(1895〜1925年頃)が見られた。第2次世界大戦後は,テレビや航空機,石油化学などの発展による経済成長(1950〜1970年頃)に続き,1985年頃からは,半導体産業の発展がもたらしたITの革新による経済成長が1990年代まで続いたといわれている。いずれも,革新的な技術による新産業の創出が大きな,かつ,長期間にわたる経済効果を生み出したという点で,このようなイノベーションが経済発展の原動力となってきたことが説明できるといえる。

 それでは,イノベーションは具体的にどれだけ経済成長に寄与しているのだろうか。これを測定する指標の1つとして,TFP( )という概念がある。TFPとは,生産に寄与する要素のうち,労働投入及び資本投入以外のすべてを考慮した生産性を意味している。TFPは景気変動の影響を受けるほか,教育による労働の質的向上,規模の経済性の拡大といったものも含まれるが,技術の進歩が大きな要素を占めるといわれており,イノベーションの経済成長への寄与の程度はTFPの大きさでほぼ説明できるといわれている。

  第1-1-2図 から,GDP(国内総生産)の成長率にはTFPの伸びが大きく寄与していることが分かる。1970年代前半は,大量生産技術や大型化技術など設備投資の増大と考えられる資本の寄与が非常に高いが,その後1980年代前半までは,全期間を通じて資本に匹敵する寄与度の高さを記録した。さらに,1980年代後半には,最大の寄与度があった。ところが,1990年代前半になると,かつてない低い水準に落ち込んでおり,これが低成長の主たる要因になっていることが分かる。このように,イノベーションは経済成長と密接な関係を持っている。

第1-1-2図 我が国における実質経済成長率への寄与度

COLUMN

景気循環と技術革新の関係


■注 TFP:Total Factor Productivity(全要素生産性)


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