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第1部   知による新時代の社会経済の創造に向けて
第1章  社会経済発展の原動力となる「知」の創造と活用
第1節  「知」が創出するイノベーション
1.  イノベーションとは何か


 新しい製品やサービスが市場に出ていくまでには,様々な過程を経ている。技術を応用した製品のケースを考えてみよう。まず,製品をつくる主体である企業が新製品の核となる技術(既存の技術であっても革新的なものであってもよい)を見つけるところが第1段階である。しかしながら,いかに優れた技術があっても実応用されなければ製品とはならない。製品となっても,消費者の需要がなければ,市場に普及しない。さらに,製品が市場で成功したとしても,改良された類似品や効率的な生産方法の開発によって後発企業に市場を奪われるかもしれない。また,別の企業がさらに革新的な製品により市場を席巻するかもしれない。このような不確実性の中で,企業は新製品を送り出し,これにより得られるベネフィットを享受しようとする。このため,企業は他社に対して常に先行することを目的として研究開発,生産方法の効率化,サービスの革新等に取り組む。このように,新たな製品やサービスを生み出す企業の活動を,イノベーションと呼ぶ( 第1-1-1図 )。

第1-1-1図 イノベーションの過程(リニアモデルを前提とした単純なモデル)

COLUMN

イノベーションの主唱者

 イノベーションという言葉を最初に定義したのは,オーストリアの経済学者シュンペータ(1883〜1950)である。彼は,その著書「経済発展の理論」(1912)で,経済発展は,人口増加や気候変動などの外的な要因よりも,イノベーションのような内的な要因が主要な役割を果たすと述べており,イノベーションの例として,{1}創造的活動による新製品開発,{2}新生産方法の導入,{3}新マーケットの開拓,{4}新たな資源(の供給源)の獲得,{5}組織の改革などを挙げている。また,いわゆる企業家(アントレプレナー)が,既存の価値を破壊して新しい価値を創造していくこと(創造的破壊)が経済成長の源泉であると述べている。

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イノベーションの定義の例

 主要なOECD( 注1 )諸国や,EU( 注2 )各国で実施されているイノベーション活動に関する調査においては,共通の定義の下,国際比較が可能なデータの収集が行われている。

 ここでは,これまでイノベーションを,以下の要件を満たすものとして定義している。

{1}「市場に導入された新しいまたはかなり改善されたプロダクト,または新しいあるいはかなり改善されたプロセスの自社内での導入」
{2}「新しい技術開発,既存技術の新しい組み合わせ,あるいは自社によって獲得された他の知識の利用の結果に基づく」もの

 なお,我が国においては,これまでにこのような調査は行われていない。


■注1 OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development(経済協力開発機構)


■注2 EU:European Union(欧州連合)


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