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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第4章  科学技術活動の国際化の推進
1.  主体的な国際協力活動の展開
(1)  多国間協力における主導的・主体的展開


{1}主要国主要会議(サミット)に基づく国際協力

 第8回主要国首脳会議(ヴェルサイユ・サミット)において,ミッテラン仏大統領の提唱の下に,初めて科学技術が話題として取り上げられて以来,科学技術に関する話題は毎年取り上げられている。

 2000年(平成12年)7月に開催された第26回主要国首脳会議(九州・沖縄サミット)のG8コミュニケには,生命科学の前進の我々の生活に及ぼす重要性を踏まえ,バイオテクノロジーと食品の安全性,ヒトゲノムが取り上げられ,また,原子力安全,軍縮・核不拡散等が盛り込まれた。また,G7首脳声明において,ウクライナのチェルノブイル原子力発電所の閉鎖の決定を歓迎し,ウクライナ政府の電力部門の改革の促進及び同国のエネルギープロジェクトを支援することが確認された。

{2}国際連合における協力

 国際連合においては,各種委員会,機関等を通じ,全地球的視野で解決にあたる必要がある天然資源,エネルギー,食糧,気候,環境,自然災害などに関する諸問題に対しての活動が積極的に展開されている。特にこれらの諸問題にもっとも深刻に直面している開発途上国の科学技術力の強化を図ることにより,長期的展望に立って,南北問題の解決に貢献するための努力が行われている。

 自然災害については,1999年(平成11年)7月にスイスのジュネーヴにおいて開催された「プログラムフォーラム」において,国際防災10年の成果を踏まえ,今後も継続して各国が防災分野における国際協力を推進していくことが決議された。これを踏まえて,1998年(平成10年)7月に神戸に設立されたアジア防災センターでは引き続き活動が行われているとともに,2001年(平成13年)2月には,淡路島において世界防災会議2001が開催された。また,枠組みの一環として2000年(平成12年)12月には,東京において「地震防災研究施設とそのネットワークに関するワークショップ」を開催した。

 また,我が国は,国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の多岐にわたる科学技術分野の事業活動に積極的に参加協力している。

 1999年(平成11年)6月に開催された「世界科学会議」(UNESCOと国際科学会議(ICSU)の共催)では,「科学と科学的知識の利用に関する世界宣言」及び「科学アジェンダ-行動のためのフレームワーク-」が採択され,そのフォローアップはUNESCOの科学技術分野において優先事項の1つとなっている。

{3}経済協力開発機構(OECD)における協力

 経済協力開発機構における科学技術に関する活動は,科学技術政策委員会(CSTP),情報・コンピュータ及び通信政策委員会(ICCP),産業・企業環境委員会(CIBE),農業委員会(COAG),環境政策委員会(EPOC),原子力機関(NEA),国際エネルギー機関(IEA)等を通じて,加盟国間の意見・経験等の交換,情報及び人材の交流,統計資料等の作成,共同研究の実施等が行われている。

 CSTPは,加盟国の経済及び社会の発展に貢献するために,科学技術政策分野におけるメンバー国間の協力を推進することを目的とし活動しており,2000年(平成12年)10月の第75回会合では,バイオテクノロジー,持続的開発,成長プロジェクト等について議論が行われた。また,2000年(平成12年)11月に社会科学ワークショップが我が国において開催された他,2000年(平成12年)9月には,公的研究機関の運営と資金に関するワーキンググループが設立された。

 さらに,CSTPの下に4つのサブ・グループを設置し,具体的な活動を実施している。

(グローバルサイエンスフォーラム(GSF;地球規模問題の解決に寄与する国際科学技術協力の推進を主な目的としている))

 同フォーラムは,メガサイエンスフォーラムの活動を継承し,科学技術政策担当者が国際協力・協調が必要な科学技術分野の重要事項について意見交換し,科学技術政策決定に資する提言を行うための場として,1999年(平成11年)6月に設立された。

 2000年(平成12年)6月に開催された第3回会合においては,今後取り組むべき科学技術の課題として,我が国から提案した「科学技術国際協力に関する調査」及び「小型高出力レーザーに関するワークショップ」が承認された。また,2001年(平成13年)1月に開催された第4回会合では,これまでのワーキンググループの活動に関する報告が行われた。次回会合では,同フォーラムの,今後の活動について検討していく予定となっている。

(イノベーション・技術政策ワーキンググループ(TIP;科学技術知識の生産性,雇用及び経済成長に結びつけるための仕組み及び手段の解明を主な目的としている))

 知識基盤経済のための最良の技術・イノベーション政策,ナショナル・イノベーション・システム(NIS),技術に関する国際問題に関し検討等を実施した。今後,知的基盤経済におけるイノベーションと成長,産業と科学の連携に関するベンチマーキング,NIS第3フェーズ(人材の流動性,革新的企業間のネットワーク,クラスター等),イノベーションと持続可能な発展等を議論,検討することとしている。

(バイオテクノロジーに関するワーキング・パーティー(WPB;バイオテクノロジーの安全かつ効果的な使用の進展を支援することを主な目的としている))

 2001年(平成13年)2月,パリにおいて開催された第10回会合において,「遺伝子検査における品質保証」,「個人遺伝情報の保護」,「感染症」,「遺伝的発明における知的財産権」,「バイオリソースセンターのフォローアップ」の5テーマを新プロジェクトとして,「安全な飲料水」,「持続的産業開発のためのバイオテクノロジー」の2テーマを継続プロジェクトとして検討することになった。

(科学技術指標専門家会合( NESTI* ;CSTPのために行われる統計作業の監視,監督,助言を主な目的としている))

 2000年(平成12年)6月,OECD本部においてNESTI会合が開催され,科学技術指標の収集・調査等に関する統一的な国際基準を取りまとめたフラスカッティ・マニュアルの改訂と,EU及びOECD加盟国で実施予定のイノベーション調査に関する事項などについて検討が行われた。

 また,9月にマニュアルの改訂に向けて,サービス産業の研究開発活動の捕捉拡大,研究人材データの質的向上などの検討項目毎に小ワーキンググループが設置され,検討が行われている。


*NESTI:

National Experts on Science and Technology Indicators

{4}アジア太平洋経済協力(APEC)における協力

 アジア太平洋地域の持続的な経済成長を達成していくための政府間の協力の場として,1989年(平成元年)に発足したアジア太平洋経済協力(APEC)は,開かれた地域協力を掲げ,貿易・投資の自由化・円滑化,経済・技術協力の推進を中心に活動を進めている。

 具体的な協力については,高級実務者会合の下に11のワーキンググループを置き,産業技術,人材養成,エネルギー,海洋資源保全,電気通信,農業技術等について協力方策の検討を行っている。特に,産業技術ワーキンググループにおいては,科学技術の情報流通の促進,研究施設の相互利用の促進などの種々の具体的協力プロジェクトが進められている。

 また,大阪行動指針を受けて,有資格技術者の流動化を促進することを目的として技術者資格の相互承認プロジェクトが進展していたが,2000年(平成12年)11月には,APECエンジニアの要件等に関する検討結果がAPECエンジニア・マニュアルとしてとりまとめられ,APECエンジニア調整委員会により公表された。これを受けて,参加エコノミー(日本,オーストラリア,カナダ,香港,韓国,マレーシア,ニュージーランド)において,APECエンジニアの審査受付が開始された。

{5}アジア欧州会合(ASEM)における協力

 アジア欧州会合(ASEM)は,北米-欧州,アジア-北米の関係に比して,従来相対的に希薄であったアジアと欧州の関係を強化することを目的として,アジアと欧州が率直な対話を行う場として設けられたものである。

 平成12年10月に行われたASEM第3回首脳会合(韓国)の議長声明においては,科学技術の重要性が強調されたうえで,平成11年に行われた科学技術大臣会合(北京)の成果が歓迎された。

{6}ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)の推進

 本プログラムは,生体の持つ優れた機能の解明のための基礎研究を国際協力を通じて推進するため,1987年(昭和62年)6月のベネチアサミットにおいて我が国が提唱したプログラムであり,G7各国(日本,米国,ドイツ,フランス,イギリス,イタリア,カナダ),EU及びスイスが参加している。1989年(平成元年)10月より,ストラスブール(フランス)に設置された国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム機構(HFSPO)が,「国際」,「学際」及び「若手重視」の原則に基づき,「脳機能の解明」及び「生体機能の分子論的アプローチによる解明」の2領域を対象として,国際共同研究チームへの研究費助成(研究グラント),若手研究者が国外で研究を行うための旅費,滞在費等の助成(長期フェローシップ及び短期フェローシップ)及び国際的な研究集会(ワークショップ)の開催を実施している。これまでに,同プログラムのグラント受賞後,5人の研究者がノーベル賞を受賞しているなど内外から高く評価されている。2000年(平成12年)4月には,HFSPOにおいて研究グラント54件,長期フェローシップ160件等の第11事業年度助成対象者を発表した。

{7}国際科学技術センター( ISTC* )における協力

 旧ソ連邦諸国の大量破壊兵器等に関連のある科学者及び技術者に対し,その才能を平和的活動に向け直す機会を与え,旧ソ連邦諸国の国内的及び国際的な技術問題の解決に寄与することを目的として,1992年(平成4年)11月に,日本,米国,EU(当時EC),ロシアの四極は「国際科学技術センター(ISTC)」を設立する協定に署名し,さらに1993年(平成5年)12月,同協定を暫定的に適用するための議定書に署名したことにより同センターが設立された。

 これまでに開催された24回の理事会において,同センターの目的を達成するため計3億3,500万ドル分の具体的プロジェクトの開始が承認され,これまで延べ約30,000人以上の研究者が従事してきている。また,設立後,フィンランド(現在はEUに所属),スウェーデン(現在はEUに所属),ノールウェー,韓国,グルジア,アルメニア,ベラルーシ,カザフスタン,キルギスが参加している。

 我が国としては,今後とも,本センターの活動が円滑に進み,実効性のあるものとして展開されるよう,人的貢献を含め,これまでの業績を生かして積極的に協力していく方針としている。また企業を含む新たな参加者の拡大,地球規模の問題解決に貢献するプロジェクトの実施の2点に対しても,積極的に取り組んでいる。


*ISTC:

International Science and Technology Center


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