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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第3章  科学技術システムの改革
第5節  科学技術活動についての社会とのチャンネルの構築
2.  社会とのチャンネルの構築


 科学技術の振興にあたっては,国民の理解増進に努める必要がある。このため,科学技術に関する各種イベントや研究機関の公開や博物館・科学館等の機能の発揮を図るとともに,メディア等を通じて科学技術を分かりやすく伝える機会を拡充する。さらに,地域において,科学技術に関する事柄を分かりやすく解説するとともに,地域住民の科学技術に関する意見を科学技術に携わる者に伝達する役割を担う人材の養成・確保を促進する。


(1) 科学技術に親しむ機会の提供

 創造性と主体性に富み,科学技術に対する夢と情熱を持った科学技術系人材を育成するとともに,国民が科学技術を身近に感じ,強い関心を抱くような社会環境を作り上げていくため,青少年を中心とした国民に対し,科学技術に親しむ多様な機会を提供することが重要である。この重要性は近年特に高まっており,科学技術理解増進関連予算は大きく増加している。( 第3-3-28図 )

第3-3-28図 科学技術理解増進関連予算の推移

(ロボット創造競技会(ロボフェスタ))

 ロボット競技,展示,フォーラム等を通じ,科学技術を身近に感じ,「人間とロボットとの共生」を体感できる国際総合イベントである「ロボット創造国際競技大会(ロボフェスタ)」は平成13年7月から11月に開催される予定であるが,そのプレ大会が平成12年8月に関西地域,11月に神奈川県で約44,000名の市民の参加を得て開催された。現在,これらの地域における本大会の開催に向け科学技術振興事業団は,小型ロボット競技会や国際フォーラムの準備を進めている。

(マルチメディアを活用した取組)

 科学技術振興事業団は,科学技術に関する話題や興味深い化学実験の番組等を作成し,CS放送等により国民に提供する「サイエンス・チャンネル事業」や最新のコンピュータ技術によって仮想的に科学技術を体験する「バーチャル科学館」の開発を実施した。

(各種イベントの開催)

 文部科学省では,平成12年度において,テレビ・ラジオ番組の企画,制作及び放送,映画CMの企画,制作及び配布,定期刊行物発行,各種セミナーの開催等普及啓発活動を実施した。特に41回目を迎えた「科学技術週間」,37回目を迎えた「原子力の日」,8回目を迎えた「宇宙の日」の 科学技術関係記念期間* には,関係機関の協力を得て各種行事を全国的規模で実施した。このほか,政府広報を通じて,テレビ・ラジオ番組等を活用した広報を行った。平成12年度の科学技術週間は,科学技術関係機関等の協力により,全国各地の研究施設,科学館等で「施設の一般公開」,「科学技術実験教室」,「講演会」など約800件のイベントが開催された。


*科学技術週間:

4月18日を含む1週間。原子力の日10月26日 宇宙の日 9月12日

(体験学習の支援)

 文部科学省は,地方公共団体の行う,青少年が先端的な科学技術を実際に体験する工作・実験室を持つ,地域における科学技術理解増進活動の中心的な役割を担う「先端科学技術体験センター」の整備に対する支援を行った。

 また,科学技術展等の各種事業の主催者等の依頼に応じ,青少年等を対象として,講演・実験等を行う講師等の協力者を「サイエンス・ボランティア」として登録するための名簿の作成及び提供を推進している。さらに,科学技術振興事業団は科学技術の実験に精通した人材を「サイエンス・レンジャー」として登録し,学校や科学館等の要請を受け,科学技術実験教室に実験メニューとともに派遣する事業を推進している。

 文部科学省は,青少年をはじめ,社会の各方面に対して理工系分野の魅力を積極的に情報発信していくため,大学・高等専門学校において体験入学事業を実施している。

(大学・研究機関の公開)

 研究施設を一般市民に公開し,研究活動の紹介や講演会などを実施する大学の研究所や大学共同利用機関が多くなっている。例えば,国立天文台においては,青少年を含む一般市民を対象に直径50cmの社会教育用望遠鏡を用いた「天体観望会」を毎月2回実施している。また,東京大学生産技術研究所では,一般公開の中で中・高校生を対象とした見学コースや産学研究交流の展示を設けるなど,一般公開や展示等に各機関が工夫を凝らして,社会に開かれた大学・研究所づくりを推進している。

 さらに,日本学術振興会は,大学等の研究者グループが中・高校生を対象として,最新の研究動向・研究内容を実験等を通じて体験する機会を提供し,学術研究の普及・啓発を行う「ふれあいサイエンスプログラム」を実施した。

 科学技術振興事業団において,青少年の科学的想像力の育成を図るため,青少年が2泊3日の合宿を通じて研究者,技術者等から直接講義を受けたり,研究現場を実体験する「サイエンスキャンプ」を実施した( 第3-3-29図 )。

第3-3-29図 サイエンスキャンプへの参加機関及び参加者数

 宇宙開発事業団においては,青少年に対して宇宙の魅力と地球のすばらしさを理解する様々な機会を提供するため,文部科学省宇宙科学研究所と共催で毎年度春,夏2回ずつ開催している「コズミックカレッジ」等,様々な体験学習イベントを実施している。

 農林水産省においては,つくばリサーチギャラリーを設置して,農林水産技術の最新の成果等を展示し,普及啓発に努めるとともに,森林総合研究所に多摩森林科学園を設置して森林科学についての展示を行っている。また,バイオテクノロジーの定着を図る上で不可欠な国民の理解の醸成のため,農林水産省では,農林水産・食品分野のバイオテクノロジー及び遺伝子組換え農作物についての解説パンフレットを作成するとともに,平成7年度からバイオテクノロジーPA対策事業を開始しており,平成11年度には,東京都などにおいて一般市民を対象としたフォーラムを開催したほか,つくば,北海道(北海道農業試験場)及び東北(財団法人岩手生物工学研究センター)において対象別体験研修等を実施した。

(子ども科学技術白書)

 文部科学省では,児童生徒を対象に科学技術白書(科学技術の振興に関する年次報告)の内容をもとに科学技術に対する興味を持つきっかけを与えることを目的として,平成12年12月に「子ども科学技術白書II」を発行し,都道府県教育委員会,都道府県立図書館,科学館及び総合博物館等へ配布した。本書は平成11年度以降毎年度発行されている。


(2) 社会的コンセンサスの形成

 農林水産省においては,平成12年度に消費者等からの要請・提案に応える新たな取組として,我が国の公的機関として初めて遺伝子組替え農作物をテーマとして,一般市民をパネラーとしたコンセンサス会議を開催し「市民の考えと提案」が取りまとめられた。現在この提案を踏まえ調査研究を実施している。


(3) 科学技術に関する表彰等

 科学技術の振興を図るためには,これらの普及啓発活動に加え,発明の奨励,科学技術に関する功労者の表彰などを通じて研究開発意欲の高揚を図ることが効果的である。

 このため,文部科学省では,自主技術開発の萌芽となる優れた発明を「注目発明」として選定し,公表することにより,研究開発の優れた成果を一般に広く周知させるとともに研究者の意欲の向上を図っている。平成12年度は,「第60回注目発明」として79件の発明を選定し,公表した。

 また,文部科学省では,我が国の科学技術に関し最近顕著な功績を上げた者を科学技術功労者として表彰(平成13年度23名)するほか,優れた研究成果を上げた研究者を研究功績者として(同年度36名),科学技術に関して優れた振興上の業績を上げた者を科学技術振興功績者として(同年度27名),科学技術の普及啓発に尽力し優れた成果を上げた者を科学技術普及啓発功績者として(同年度5名),優れた創意工夫によって各職域における科学技術の考案,改良等に貢献した勤労者を創意工夫功労者として(同年度945名),小中学生の創意工夫の育成に顕著な成果を上げた学校を創意工夫育成功労学校として(同年度33校)表彰している。また,原子力の安全確保,核物質管理に関し優れた成果を上げた者をそれぞれ原子力安全功労者,核物質管理功労者として(同年度15名,2名),放射線の安全確保に関し優れた成果を上げた者を放射線安全管理功労者として(同年度19名,5事業所)表彰している。

 経済産業省においては,若者の産業技術に対する関心の低下や理工系離れに対処するため,平成5年度から,産業技術を評価し,保存して,次代を担う若者に継承していくための活動として,産業技術のイノベーションにかかる実態調査等を行うなど,産業技術の継承活動を展開している。また,この一環として,平成9年8月に産学官の初めての連携事業として開催された「産業技術歴史展テクノフェスタ21」を支持した。さらに,平成5年度より,21世紀を担う若い世代に化学技術を承継する活動として,大学化学実験等の「夢化学21」キャンペーン事業を支援した。


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