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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第3章  科学技術システムの改革
第2節  産業技術力の強化と産学官連携の仕組みの改革
3.  公的研究機関の研究成果を活用した事業化の促進


 大学や国公立試験研究機関等の研究開発成果の実用化については,科学技術振興事業団において,優れた研究成果の発掘,特許化の支援から,企業化が著しく困難なものについての企業化開発に至るまでの一貫した取組を進めている。

 具体的には,大学,国立試験研究機関の研究成果のうち,新産業創出,企業化開発等が期待されるものについて,特許化を支援し技術移転を促進するため,特許主任調査員を派遣して研究成果の特許化に関するアドバイスを行い,あるいは,特許出願を代行するといった特許化支援事業を行っている。

 特許化支援事業により特許化された研究成果をはじめ,科学技術振興事業団が調査・収集を行った優れた研究成果のうち,企業化が著しく困難なものについては,企業等に開発を委託する委託開発事業により,積極的に新技術の企業化を図っている。さらに,委託開発の結果得られた開発成果については,産業界において実施されるよう,広く普及を図っている。また,開発に伴うリスクが比較的少なく,企業独自で開発を進めることが可能な新技術については,研究成果活用促進事業によって企業等への技術移転を促進しており,諸外国に対してもあっせん可能な技術を英文紹介誌により紹介するなどして,開発あっせん及び実施許諾の促進を図っている。

 平成12年度末までの委託開発事業及び研究成果活用促進事業の結果をみると,委託開発事業は成功課題が341件となっており,また,研究成果活用促進事業は,成立課題580件(延べ910社)となっている。

 さらに,科学技術振興事業団において,大学や国立試験研究機関等で得られた研究成果に基づく,新規事業を生み出す可能性のある新技術コンセプトを,研究機関の技術指導,評価を得つつ,ベンチャー企業をはじめとした研究開発型中堅・中小企業の活力を活用して試作品として具体的な形とすること(モデル化)により,独創的な研究成果の育成を促進し,上記委託開発等の企業化開発につなげるための独創的研究成果育成事業を推進している。

 また,大学等の研究成果に基づく技術独創型ベンチャーの起業促進が新規産業の創出を通じ経済の活性化に大きく貢献することにかんがみ,プレベンチャー推進事業(新規事業志向型研究開発成果展開事業)を実施している。本事業では,大学や国立試験研究機関等の研究成果に基づく起業構想を研究者と起業アイディアを持つ起業家の共同提案として募集し,有望なものを選考の上,研究チームを編成して起業に向けた実用化研究を実施することにより,大学や国立試験研究機関等からのベンチャー企業の創製を促そうというものである。

 なお,研究開発活動の活発な大学や研究機関等の近隣をはじめ研究開発ポテンシャルの高い各地域において,産学官及び地域との連携を図りつつ,戦略的な研究開発コーディネートの下,上記の科学技術振興事業団の研究成果活用関連諸事業を集中的に実施することにより,大学等における基礎的研究の成果の掘り起こし,権利化から企業化に至るまでの研究成果の育成・活用・社会還元を戦略的に行うための施設として,研究成果活用プラザを整備することとしており,現在,北海道(札幌市),石川県(辰口町),大阪府(和泉市),広島県(東広島市),福岡県(福岡市)において建設中であるとともに,さらに,平成12年度補正予算により,愛知県(名古屋市)及び宮城県(仙台市)において整備を進めることになった。

 また,農林水産省においては,試験研究機関と民間事業者との橋渡しを行うコーディネーターを設置し,取得した特許の民間における利用・実用化を図るための研究成果移転促進事業を実施している。

 また,理化学研究所においては,自らの研究成果をより一層効果的に実用化に結びつけるため,平成10年1月に研究者の兼業許可,共同研究における優遇措置策の制度を創設している。

 研究成果の特許化にあたっては,研究者自身の特許に対する理解が必要であり,文部科学省では,国公私立大学教員の特許マインドの涵養を図るため,平成11年度から知的所有権セミナーを開催し,平成12年度は5大学で実施したほか,各大学主催のセミナーや特許相談会等が適宜開催されている。

 また,平成10年8月には大学等の研究成果の産業界への効率的な移転を図ることを目的とした「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」が施行された。同法に基づき承認を受けた技術移転機関(TLO)に対しては,産業基盤整備基金による助成金交付,「産業活力再生特別措置法」に基づく特許料の軽減等の支援措置が設けられている。平成13年3月末現在,同法に基づき 17機関* のTLOが承認を受けており,700件を超える特許出願が行われている(TLO協議会調べ,平成12年12月現在)( 第3-3-19表 )。特許庁では,国公立試験研究機関及び大学の研究成果の適切な保護と産業界への円滑な移転を支援するため,これら試験研究機関及び大学の研究者及び特許管理者を対象とした無料の工業所有権セミナーを全国延べ62回実施するとともに,全国延べ46都市(平成9年度〜平成12年度)で技術導入を希望する産業界との出会いの機会となる特許流通フェアを開催した。また,現在活動中の承認TLO(17機関)に対し,特許流通アドバイザーを派遣している。さらに,大学の研究者や学生など広く一般を対象として国内外の技術移転に関する有識者が一同に会する国際シンポジウム・セミナーを開催するとともに,大学等の研究成果の産業界への移転を促進するうえで必要とされる特許流通・技術移転に関する基礎及び実務研修を実施した。

 平成12年4月に施行された「産業技術力強化法」では,大学の研究者や設置者に対する特許料等の軽減措置が講じられるなど,技術移転の支援方策の充実が図られている。

第3-3-19表 承認TLO(全17機関)


*平成13年4月,新たに学校法人明治大学,よこはまティーエルオー株式会社,株式会社テクノネットワーク四国がTLOの承認を受け,平成13年4月現在,20機関がある。

 さらに,国立試験研究機関や国立大学等における研究成果の活用促進を図るため,国有特許等を譲渡したり,専用実施権を設定する場合,随意契約により行うことができる条件を整理し,平成12年12月及び平成13年2月に関係機関への周知を図ったところであり,研究成果の一層の社会還元が期待されている。

 なお,平成12年4月に人事院規則が整備されたことに伴い,国立大学等の教員や研究職員の営利企業等への役員等への兼業が認められるようになっているが,研究成果活用企業の役員等の職務に主として従事する必要がある場合には,休職することも可能であり,現在までに1件の実績がある。


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