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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第2章  科学技術の重点化戦略
第2節  国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点化
8.  フロンティア分野



(1) 宇宙開発

 宇宙開発は,宇宙の起源,地球の諸現象等に関する普遍的な知識・知見の獲得等を通じて「人類共通の知的資産の蓄積」を目指すとともに,通信・放送,天気予報,地球環境・災害監視等の宇宙利用の拡大による「社会経済基盤の拡充」,様々な分野の新技術や新たな付加価値を持つ産業の創出につながる「先端技術の開拓」に貢献するものとして,極めて重要なものである。

 我が国は,昭和45年に人工衛星「おおすみ」の打上げに成功して以来,平成12年12月末までに66個の人工衛星を打上げており,米国,旧ソ連に次ぐ世界第三の人工衛星打上げ国となっている。今後の我が国の主な人工衛星の打上げ計画は 第3-2-16表 に示すとおりである。

第3-2-16表 我が国の主な人工衛星等の打上げ計画

 我が国の宇宙開発は,宇宙開発委員会が定めた宇宙開発政策大綱及び,それに沿って具体的内容を定めた宇宙開発計画に従い,宇宙開発事業団,宇宙科学研究所を中心とする関係各機関の協力の下に,総合的かつ計画的に推進されている。

 宇宙開発政策大綱は昭和53年の策定以来,3回にわたり改訂されてきた。平成12年12月,宇宙開発委員会は宇宙開発政策大綱に代わるものとして「我が国の宇宙開発の中長期戦略」を策定し,内閣総理大臣への意見具申,閣議報告を行った。

 この中長期戦略は,ロケットの打上げ失敗等から得られた教訓と,我が国の宇宙開発を取り巻く環境の変化を踏まえ,21世紀初頭に我が国が行う宇宙開発の基本的考え方とその進め方を示したものであり,我が国が行う宇宙開発の目的・方向として,{1}先端技術に挑戦し人類の将来につながるような知見を獲得する,{2}社会経済への貢献を果たす,{3}宇宙活動基盤の強化を目指す,という3つを挙げている。また,我が国の宇宙開発が直面している課題を直視し,{1}より信頼性の高い技術基盤の形成に全力を傾注すること,{2}重点化を図った特徴ある開発戦略を定めること,{3}社会経済環境の著しい変化に対応して,効率的,効果的な宇宙開発を着実に進めることを目指し,各種の宇宙開発活動ごとに重点目標を明らかにしつつ,我が国の宇宙開発システムの再構築に必要な方策を示している。

 なお,日本の中核的な宇宙開発機関である宇宙科学研究所,航空宇宙技術研究所,宇宙開発事業団では,平成13年度から「運営本部」を設置し,その下で共同研究や人材交流等を推進することとしている。また,これまで総理府の下に置かれていた宇宙開発委員会は,文部科学省の下に設置されることとなった。

{1}地球観測・地球科学

  3.環境* において記したもののほか,平成7年3月に打上げた静止気象衛星「ひまわり5号」を運用中であり,その後継の気象ミッション機能と航空管制業務のための機能を持つ運輸多目的衛星(MTSAT)の新1号機及び新2号機の整備を行っている。


*3.環境(1)地球科学技術{2}地球観測技術等の研究開発ア.人工衛星による地球観測に関する技術参照

{2}宇宙科学・月探査

 宇宙科学の分野においては,宇宙科学研究所が中心となり,全国の大学等の研究者の参加の下に,科学衛星を打上げており,近年においては,火星大気の構造及び運動並びに太陽風との相互作用の研究を目的とする第18号科学衛星(PLANET-B)「のぞみ」を打上げた。「のぞみ」は,平成15年末〜平成16年初頭にかけての火星軌道投入に向けて,現在火星遷移軌道上を航行中である。また,月内部の構造及び熱的構造の解明を目的とする第17号科学衛星(LUNER-A),小惑星等から岩石のサンプルを採取し,地球に持ち帰るミッションの工学的実験を行う第20号科学衛星(MUSES-C),宇宙初期の原始銀河等の解明のための長波長電磁波(遠赤外線)による観測を行う第21号科学衛星(ASTRO-F),太陽活動の成因と太陽活動の要因を解明するため,太陽表面の微細磁場構造とその運動を観測する第22号科学衛星(SOLAR-B)の開発等も引き続き進めている。

 なお,X線天文観測の分野においては,平成12年2月のΜ-Vロケット4号機の打上げ失敗により,軌道投入を行うことができなかった第19号科学衛星(ASTRO-E)に代わるものとして,第23号科学衛星(ASTRO-EII)の開発を平成13年度から行うこととしている。

 また,月探査については,月の起源と進化の解明及び将来の宇宙活動に不可欠な月の利用可能性の調査のためのデータを月全域について取得するとともに,月軟着陸技術の研究に資するデータを取得することを目的とする月周回衛星(SELENE)の開発を進めている。

{3}通信・放送・測位等

 超高速インターネット・大容量データ通信を可能とする衛星通信の技術を確立すると共に,これを利用した新たな利用実験を官民共同で実施し,我が国におけるIT革命の進展を図ることを目的として,超高速インターネット衛星の開発研究を平成13年度から行うこととしている。また,都市や谷間における衛星通信を容易とする準天頂衛星通信システムの研究開発も進めている。

{4}宇宙環境利用の促進

 宇宙環境は,微小重力,高真空等の地上では容易に得ることのできない特徴を有している。微小重力下で物質科学やライフサイエンス等の実験を行う効果として,{1}沈降や対流がないため,高品質・高精度の物質生成が可能,{2}流体の容器をなくせるため,不純物が混ざらない,{3}生体におよぼす重力の影響が確認できる,などが挙げられる。また,宇宙の高真空場により,{1}不純ガスの混入がない,{2}広大な真空場が実現される,などの効果が期待される。今後,宇宙環境を利用した極めて広範な分野にわたる研究や実験,観測等を進めていくことにより,例えば,地球上の環境に隠されていた現象の発見や解明など新たな科学技術の展開をもたらす研究が可能となるほか,地球上で進化してきた生命体と重力等の地球環境との関係を問い直し,生命現象を解明し,宇宙スケールで生命の可能性を探求する研究も可能となる。さらに,新材料や医薬品の創製,新たな生産技術や医療法の開発,地球環境保全につながる技術の獲得など,社会の発展や生活の向上に寄与する研究開発が一層推進されることが期待される。

 宇宙開発事業団では,国際宇宙ステーションの日本の実験棟( JEM* :愛称「きぼう」)の与圧部共通実験装置,曝露部実験装置の開発を進める一方,各種公募等による研究活動を推進している。平成9年度から実施している地上研究公募は,宇宙環境を利用する準備段階として幅広い分野の研究者に研究機会を提供するもので,平成12年度には合計81テーマが選定されている。また,民間企業の宇宙環境利用の促進を目的とし,その有効性を実証するパイロットプロジェクトとして先導的応用化研究を開始している。さらに,国際宇宙ステーション参加各機関の実験装置を相互利用し,効率的に科学的成果を得ることを目的としたライフサイエンス分野の国際公募に参加しており,平成12年度には日本から1テーマが搭載候補として選定されている。また,同様の国際公募が微小重力科学分野についても平成12年度から実施され,日本も参加している。

 さらに,宇宙開発委員会宇宙環境利用部会においては,JEMの「軌道上研究所」としてのこれまでの位置付けに加え,民間企業による利用等,利用の多様化も段階的に進めることとした報告書「国際宇宙ステーションの本格的な利用に向けて-初期利用フェーズにおける推進方策-」を平成12年12月に取りまとめた。

 経済産業省においては,宇宙環境の産業利用促進を図ることを目的として,次世代型無人宇宙実験システム( USERS* )の構築及びUSERSに搭載する超伝導材料実験装置の開発を進めている。

 また,我が国産業が得意とする民生技術の商業用人工衛星生産プロセス等への広範な採用を図るとともに,設計,調達,製造等の合理化を可能とするため,宇宙機器等に転用可能な民生部品等のデータベース,民生技術の宇宙機器等への転用に際してのガイドライン等の知的基盤を整備するための宇宙実証衛星( SERVIS* )の開発を進めている。


*JEM:

Japanese Experiment Module


*USERS:

Unmanned Space Experiment Recovery System


*SERVIS:

Space Environment Reliability Verification Integrated System

{5}人工衛星の基盤技術

(技術試験衛星( ETS* ))

 国際宇宙ステーションあるいは将来型人工衛星への物質の輸送及び軌道上作業等,21世紀初頭の宇宙活動に対応するために必須の技術の確立を目指し,これら将来の人工衛星に必要となる共通技術の開発を行う衛星として,技術試験衛星「きく」が開発されている。平成9年11月に打上げられた技術試験衛星VII型(ETS-VII)「おりひめ/ひこぼし」(きく7号)においては,世界初の無人機同士の自動制御によるランデブ・ドッキング実験,遠隔制御によるロボット実験等を実施し,将来の自在な宇宙活動に向け大きな技術成果を収めていた。現在は,衛星搭載機器のデータ取得及び評価等を目的とした後期段階の運用を行っている。

 また,大型衛星バス技術,大型展開アンテナ技術,移動体衛星通信システム技術,移動体マルチメディア衛星放送システム技術及び高精度時刻基準装置を用いた測位等にかかわる基盤技術の開発並びにそれらの実験・実証を行うことを目的とする技術試験衛星VIII型(ETS-VIII)の開発を進めている。


*ETS:

Engineering Test Satellite

(ミッション実証衛星( MDS* ))

 宇宙開発をより一層身近なものとし,また,高度化・多様化するミッション需要に対応するため,先端的なミッションないしミッション機器の宇宙実証を行うことを目的としたミッション実証衛星(MDS)として,民生部品の軌道上における機能確認,コンポーネント等の小型技術確認及び放射線等の宇宙環境の計測を目的とする民生部品・コンポーネント実証衛星(MDS-1)の開発を進めている。


*MDS:

Mission Demonstration Test Satellite

{6}宇宙インフラストラクチャー

(Μ系ロケット)

 科学衛星打上げのため,L(ラムダ)ロケットの開発を経てΜ(ミュー)ロケットが開発された。Μ系ロケットは,全段に固体推進薬を用いたロケットで,低軌道へ約1.8トンの打上げ能力を有すΜ-Vロケットの開発が進められ,1号機,3号機の打上げに成功した。しかしながら,平成12年2月に打上げられた4号機は,第1段モータの異常により,打上げに失敗した。Μ-Vロケットについては,宇宙開発委員会技術評価部会等における原因究明と今後の対策の審議に基づき,不具合対策及び開発を行っている。

(H-IIAロケット)

 静止衛星等の人工衛星の打上げのため,N系ロケットH-Iロケットの開発を経て,1990年代における大型人工衛星の打上げ需要に対処するために宇宙開発事業団が開発した,2トン程度の静止衛星を打上げる能力を有する2段式のH-IIロケットは,第1段,第2段ともに液体酸素・液体水素エンジンを採用した大型のロケットであり,計5機の打上げに成功した。しかし,平成11年11月の8号機の打上げ失敗を受け,H-IIロケットシリーズについては開発を中止し,我が国の次期主力ロケットであり,信頼性の向上,コスト低減等の改良を図ったH-IIAロケットの開発に集中することとした。

 その後,従来実施していなかった厳しい条件でのエンジン燃焼試験等により入念な開発を進め,H-IIAロケットの信頼性の向上を目指し,第1段エンジンの設計変更を行うこととし,また,H-IIAロケット試験機1号機の打上げに万全を期すため,平成12年12月,打上げ時期を平成12年度冬期から平成13年度夏期に延期し,現在,着実に開発を進めている( 第3-2-17表 )。

第3-2-17表 我が国の主な人工衛星打上げ用ロケットの主要諸元

宇宙開発体制立て直し

○H-IIロケット8号機失敗の原因究明について

 H-IIロケット8号機の事故原因究明については,宇宙開発委員会技術評価部会において実施し平成12年5月に報告を取りまとめ。事故原因は,3,000mの海底から回収された第1段エンジンの詳細な調査等から,次のとおりと判明。

*液体水素燃料をエンジンに送るターボポンプの羽根車(インデューサ)が疲労破壊し,第一段エンジンが急停止。

*この疲労破壊は,次の2つの力の複合によって発生。

・インデューサに生じたキャビテーション(気泡)による異常な応力
・このキャビテーションが入口配管内の整流板と共振して生じた応力

○宇宙開発委員会特別会合

 H-IIロケット8号機の打上げ失敗を受け,宇宙開発委員会では第3者の有識者を交えた特別会合を開催。平成12年5月に失敗の再発防止のための改革方策を取りまとめた。

(特別会合報告の概要)
・宇宙開発事業団と契約メーカーの役割・責任を明確化する観点から,契約方式,品質保証活動等を改革。
・宇宙開発事業団は,品質保証部門や技術開発部門の強化,エンジン研究開発体制の整備等,組織・体制・業務運営を改革。
・宇宙開発事業団に対する宇宙開発委員会及び行政庁の指導・監督の在り方についても改革。
・現在開発中のH-IIAロケットについては,事業団とメーカーの技術者が一体となった開発体制の整備,追加的な試験の実施など,開発を強化。

○H-IIAロケット試験機1号機の確実な打上げに向けて

 H-IIロケット8号機の打上げ失敗を踏まえ,宇宙開発事業団は,H-IIAロケットの信頼性の高い開発を目指して,従来の開発では実施されていなかった厳しい条件でのエンジン燃焼試験等を実施。その結果を踏まえ,平成12年9月には{1}エンジン以外の新規技術に関する技術実証のため,適切な運転条件を設定した上で,現行設計の第1段エンジンを用いた打上げ{2}第1段エンジンの設計変更を行い,平成13年度冬期を目途に,改良後のエンジンを用いた打上げを行うこととした。

 また,平成12年10月から11月にかけて実施された,試験機1号機に実際に用いられるエンジンの燃焼試験において,エンジンの製造・組立段階に起因する不具合等を確認したため,打上げに万全を期すため,平成12年度冬期に予定していた試験機1号機の打上げを平成13年度夏期に延期し,H-IIAロケット試験機1号機の確実な打上げに向け,製造プロセス等の徹底的な再確認等を実施している。

(宇宙往還技術試験機( HOPE-X* ))

 再使用型輸送系の技術基盤育成の一環として,無人有翼往還機の主要技術の確立を図るとともに,将来の再使用型輸送機の研究に必要な技術蓄積を図ることを目的とした宇宙往還技術試験機(HOPE-X)について,将来の再使用型輸送系の在り方について十分な検討を行う必要があることから,これまでの開発成果をふまえた成果の取りまとめを行いつつ,再使用型輸送系の要素技術等の研究開発や高速飛行実証実験に集中して進めることとしている。


*HOPE-X:

H-II orbiting plane-experimental

(光衛星間通信実証試験衛星( OICETS* ))

 衛星間通信システムに有効な光通信技術について,欧州宇宙機関(ESA)との国際協力により,同機関の静止衛星ARTEMISとの間で捕捉追尾を中心とした要素技術の軌道上実験を行うことを目的とする光衛星間通信実験衛星(OICETS)の開発を進めている。


*OICETS:

Optical Inter-Orbit Communications Engineering Test Satellite

(データ中継技術衛星( DRTS* ))

 地球観測衛星や国際宇宙ステーションの日本の実験棟(JEM)「きぼう」等を用いたデータ中継実験を行うことにより,通信放送技術衛星(COMETS)のデータ中継機能を発展させ,より高度な衛星間通信技術の蓄積を図ること等を目的とするデータ中継技術衛星(DRTS)の開発を進めている。


*DRTS:

Data Relay Test Satellite

{7}人工衛星,ロケット等の技術に関する基礎的・先行的研究

 航空宇宙技術研究所を初め各機関に置いて,人工衛星やロケットの技術に関する基礎的な研究,また,無人有翼往還機や,スペースプレーン等の先行的研究を進めている。

{8}宇宙分野の国際協力の推進

 近年,地球環境や災害等の地球規模の問題の深刻化に伴う地球観測衛星等による宇宙からの観測の重要性の増大や,社会・経済のグローバリゼーションに伴う宇宙活動の国際化等を背景に,宇宙分野における国際協力の必要性が従来にも増して拡大している。このため我が国は,地球観測・地球科学,宇宙科学,通信・放送・測位,宇宙環境利用等の各分野の開発計画に沿い,米国,欧州,ロシア,カナダ,アジア太平洋諸国等関係各国との国際協力を推進している。

 まず多国間協力についてであるが,我が国は,宇宙空間の探査及び利用にかかる国際的秩序の検討,国際協力の促進等について審議を行っている国連宇宙空間平和利用委員会( COPUOS* ),今後のアジア太平洋地域における宇宙開発に関する国際協力の在り方について意見交換を行うアジア太平洋地域宇宙機関会議( APRSAF* ),地球観測衛星システムに関する技術調整及び情報交換を目的とした地球観測衛星委員会(CEOS)等の国際会議を通じて,多国間協力を推進している。

 また,宇宙開発における最大の国際協力プロジェクトである国際宇宙ステーション( ISS* )計画に我が国は独自の実験棟(JEM,愛称「きぼう」)をもって参加しており,微小重力や高真空などの宇宙環境を利用した材料科学,生命科学分野の実験,長期間の天体観測等,地上では行い得ない様々な実験を行うこととして

いる。

 二国間協力について,米国との間では,日米宇宙損害協定に基づき,日米間の宇宙協力活動を円滑に実施している。平成12年10月には,米国航空宇宙局(NASA)のスペースシャトルに宇宙開発事業団の若田宇宙飛行士が搭乗し,国際宇宙ステーション(ISS)の組立てミッションに参加した。

 欧州との間では,欧州宇宙機関( ESA* )との間で年次的に開催している日・ESA行政官会合が平成12年9月に25回目を数え,密接な協力関係を継続している。また,カナダとの間で,科学技術協力協定に基づき,第8回日加宇宙パネルが平成12年11月に開催されたほか,ロシアとの間においても,日露宇宙協力協定に基づき,協力プロジェクトの検討を行っている。


*COPUOS:

Committee on the Peaceful Uses of Outer Space


*APRSAF:

Asia-Pacific Regional Space Agency Forum


*ISS:

International Space Station


*ESA:

European Space Agency


(2) 航空科学技術

 航空科学技術は知識集約性,技術先端性が高いため,その開発は単に航空輸送の発展をもたらすのみならず,他の分野への波及効果も高く,我が国が今後とも科学技術創造立国を目指して発展していく上で大きな役割を果たすものである。

 我が国では,これまで民間輸送機YS-11等の自主開発,ボーイング777等の国際共同開発並びに民間航空機用ジェットエンジンV2500の国際共同開発を実施することにより技術を蓄積し,国際的な舞台で活躍する技術水準までに成長してきている。民間航空機においては,国際共同による開発方式が今後ますます世界の主流を占める傾向にあり,現在我が国では,小型民間輸送機YSX及び次世代の民間超音速輸送機開発の調査を実施している。

 今後の航空機及び航空機エンジンの開発をさらに積極的に推進していくためには,技術水準の一層の向上を図る必要がある。このため,文部科学省においては,航空・電子等技術審議会の建議や答申に沿って,航空技術研究開発の推進を図るための施策が講じられている。また,経済産業省においては,航空機工業審議会において民間航空機及びエンジンの国際共同開発を初めとする航空機産業政策の方向につき議論がなされている。

(文部科学省)

 航空宇宙技術研究所においては,環境に優しくかつ経済性に優れた次世代超音速機の開発に貢献するために,技術的優位性のあるCFD空力設計技術等の確立を目指して,小型超音速実験機の設計・製作・飛行試験を中核とした研究開発を推進している。このほか,航空安全及び環境適合性技術に関する研究並びに電子計算機による数値シミュレーション等の基礎技術の研究を進めるとともに,各種風洞,エンジン試験設備等の大型試験研究設備を整備し,関係機関の共用に供し,我が国の航空科学技術の水準の向上を図る上で主導的な役割を果たしている。

(経済産業省)

 産業科学技術研究開発制度により,次世代の環境ニーズに対応する「環境適合型次世代超音速機用推進システム」の研究開発を行っている。この研究開発には欧米の主要航空機エンジンメーカーも参加している。大学連携型産業科学技術研究開発プロジェクトにおいては,航空機等への利用が期待される「知的材料・構造システム」の開発が進められている。また,航空機の航行技術の向上を目指し,「次世代高信頼性アビオニクス技術開発」の開発,先進複合材料の高効率製造技術の開発を進めるとともに,コックピット,操縦系統の開発や革新的軽量構造に関する開発等も実施している。

(国土交通省)

 電子航法研究所においては,航法・管制に関する技術について,航空交通の安全性を向上させるための研究等を実施しており,これらの研究は今後の航空輸送の発展を図る上で重要なものとして期待されている。


(3) 海洋開発

{1}海洋開発の基本的推進方策等

  3.環境 において記したように,我が国の海洋開発は,海洋開発審議会の答申を尊重しつつ,関係府省の連携の下にそれぞれの所掌に応じて研究開発の推進が図られており,各府省における海洋開発技術に関する具体的施策は,海洋開発関係府省会議が毎年取りまとめる海洋開発推進計画に沿って実施されている。

{2}海洋開発に関する研究開発の推進

 文部科学省では,海洋科学技術センターが中心となって海洋科学技術に関する先導的・基盤的な研究開発を進めるとともに,関係各府省・大学等の協力の下,総合的なプロジェクトを推進している。具体的には,メタンハイドレートなどの海洋未利用資源の開発・利用を目指した深海地球ドリリング計画を推進している。


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