ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   我が国の科学技術の創造力
第2章  我が国の科学技術システムの現状と課題
  まとめ


 近年,特に,1990年代に入って,各国は競って科学技術の振興を重要課題として取り上げ,政府による積極的な政策展開を図ってきている。この動きは直接的には国際的な経済競争の基礎としての科学技術に着目したものであるが,その背景には社会全体が知識を基盤とする社会に移行していることがある。

 我が国においても,第2期科学技術基本計画に示されているように,「国際競争力があり持続的発展ができる国」のみならず,「知の創造と活用により世界に貢献できる国」,「安心・安全で質の高い生活のできる国」,すなわち新しい知の創造,知による活力の創出,知による豊かな社会の創生を目指しているのであり,科学技術において重視されるべきものは,新たなものを生み出し活用する「創造力」にほかならない。

 この「創造力」を支えるものが科学技術システムであるが,すでに見てきたように,我が国の科学技術システムは,研究論文数の増加など進展が見られる一方,技術移転などの産学官の連携や研究環境の面が弱いと言わざるを得ない。また,材料・ナノテクノロジーや環境などの分野で強みを見せる一方,ライフサイエンスや情報などの先端分野で,特定の分野を除き遅れをとっているなど,今後,我が国の科学技術は強い面は維持拡充するとともに,弱い面を含め重要分野に特に力を入れていく必要がある。このための取組は,第2期科学技術基本計画に基づいてスタートしたところであり,その確実な実施が求められている。

(若手研究者の活躍と世界水準の研究環境づくり)

 特に,我が国の科学技術の水準を,長期的な視野に立ち,世界的な評価の観点から高めていくことを考えたとき,人材の果たす役割は極めて大きく,大学における人材育成の改善など,優れた研究者・技術者の養成や,若手研究者が自立して研究し活躍できる魅力ある研究環境づくり,産学官における活躍の場の拡大などが重要である。また,学校教育において科学技術に対する関心・意欲の育成を重視するとともに,様々な方法で科学技術に関する理解の増進を図ることも大切である。

 さらに,人材の活躍を支える環境については,世界的な第一級の研究者を引き付ける研究環境をつくりあげていく必要があり,優れた外国人研究者が我が国に集まり,ともに競争し,活躍できるようにすることが大切である。同時に,我が国の研究者も一層質の高い研究成果を上げ,国際的に情報発信していくことが期待される。

(今後の展望)

 今後,我が国は,科学技術の創造力を発展させ,質の高い成果を上げることによって,世界的知見を獲得し,人類の資産を創出することに貢献していく必要がある。その際,シーズを重視した独創性・創造性を発揮する基礎研究の強化はもとより,社会ニーズを重視した人間社会のための科学技術を追求する必要がある。また,産学官のネットワークをスムーズにし,研究開発からその成果の社会への還元までの一貫した流れを重視することが,獲得された知見の積極的活用の観点から重要である。このような長期的,世界的視点に立った科学技術創造立国を推進することが求められている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ