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第1部   我が国の科学技術の創造力
第2章  我が国の科学技術システムの現状と課題
第6節  科学技術に対する国民の理解
1.  青少年と科学技術


 青少年は将来の科学技術の担い手や理解者であることから,幅広い人材を養成するための科学技術・理科教育が重要である。

(青少年の科学技術離れ・理科離れ)

 科学技術に優れた業績を上げている人達については,科学についての関心を小学生時代に持ったことが広く知られているが,一方で最近の青少年の科学技術離れ・理科離れも指摘されている。

 国立教育研究所の追跡調査によると,学校段階が上がるにつれて理科がおもしろく感じなくなる傾向があり,「理科がおもしろい」と感じる小学5年生は80%を越えているが,中学2年生では60%強に減り,高校生になると50%強にまで低下している( 第1-2-45図 )。

第1-2-45図 小中高校生の科学技術に対する関心「理科はおもしろいと思う」

 IEA(国際教育到達度評価学会)が平成7年に実施した第3回国際数学・理科教育調査及び平成11年に実施した第3回国際数学・理科教育調査第2段階調査の調査結果を見ると,我が国の中学2年生の成績は,シンガポールや韓国などとともにトップクラスであり,また,同一問題の正答率も過去と比較して落ちていない。しかし,その一方で,理科の学習が「好き」だとか「楽しい」とする生徒の割合は,国際的に見て最低レベルにあり,また,「理科は生活の中で大切」,「将来,科学を使う仕事がしたい」とする生徒は国際平均値を大きく下回り最下位である。

 知的創造力が最大の資源である我が国にとって,科学技術や理科に対する興味・関心を培うことは重要な課題であるといえる。

(中高生の21世紀の夢に関する国際比較)

 財団法人日本青少年研究所による日本,韓国,米国,中国の中高生の21世紀の夢に関する調査(1999年)は,日本の若者は夢をなくして,未来志向より現在志向に変わりつつあり,勤勉,努力という産業社会の理念を失ってしまっているようであると報告している。

 調査項目は多岐にわたっているが,科学技術に関連していると思われる事項について見てみる。

 21世紀の社会と生活に関する見方について,希望のある社会になる,世界はより平和になる,国民生活はより豊かになる,科学の進歩でより幸福になるなどの支持率で「とてもそう思う」と「まあそう思う」の合計値は日本が4か国で最も少なく,いずれの項目でも8割を超す中国と極めて対照的である。( 第1-2-46図{1},{2} )

 次に,人生の見方については,各分野で成功すること,社会のために貢献することなどについて,日本の生徒の支持率はいずれも最下位であり,日々の生活や自分の趣味を大事にして平凡な家庭を築くことなどの支持率が高く,日本の生徒は個人生活を重視している傾向がある。人生の目標の一つとして,科学の分野で新しい発見をすることへの関心は日本が一番低く,1割以下となっている( 第1-2-46図{3} )。

 さらに,将来就きたい職業の見方であるが,米国や中国ではほぼ全員が将来の目標を「すでにはっきり決めている」あるいは「考えたことがある」としているのに対し,日本と韓国では「考えたことがない」とするものが2割を超している。学者や先端技術者を目指すものは,日本,米国,中国の中で日本が最低の率となっている( 第1-2-46図{4},{5} )。

第1-2-46図 中高生の21世紀の夢に関する国際比較

 以上の結果からみると,創造力と希望に満ちた科学者や先端技術者の確保のみならず科学技術が及ぼす社会的な影響などに的確な判断や評価を行うことができる国民層の形成や活力にあふれた産業社会の担い手の育成についても懸念を抱かざるをえない。

 青少年が科学技術と社会との関係の在り方などを自ら考えるために必要な知識を身に付けるとともに,科学技術に夢を感じ,取り組もうとする意欲を増進させることが極めて重要である。このため,学校の理科教育においては,観察・実験や課題学習などの体験的・問題解決的な学習の充実を図り,また,学校外においても高等教育機関や博物館・科学館等における活動を通じて科学技術に触れる機会を提供することが必要である。

 このような,学校内外での学習・活動を通し児童生徒の学ぶ意欲や知的好奇心,探求心を高め,理科好きな児童生徒を増やしていくことが必要である。特に,研究やものづくりの現場そのものを見聞・体験させることが,科学技術のおもしろさを感じさせる非常に有効な方法であることから,研究者・技術者と青少年との交流を積極的に進めることが重要である。


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