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第1部   我が国の科学技術の創造力
第2章  我が国の科学技術システムの現状と課題
第5節  産学官のネットワーク
1.  産学官の関係:科学と技術のむすびつき


(大学における共同研究等)

 我が国では,国立大学における産学連携の推進拠点として共同研究センターが昭和62年度から整備され,その数は平成12年度56か所となっており,また,国立大学等における民間企業等との共同研究,民間企業等からの受託研究は,10年前との比較では,共同研究については件数で4.4倍,人員で2.7倍,受託研究についてみれば金額ベースで9.7倍と大幅に増加してきている。

 これについては,民間企業を対象に公的研究機関との共同研究への参加状況の5年前との比較について調査した結果でも示されており,大学を中心にその件数は増加傾向にあるものと考えられる( 第1-2-32図 )。

第1-2-32図 共同研究への参加状況(5年前との比較)

 また,研究者を対象に実施した調査では民間企業と大学の間では約6割,民間企業と政府研究機関との間では約4割の研究者がそれぞれの機関間で共同研究を行ったことがあるとした結果が得られており,産学官における共同研究が進展していることが分かる( 第1-2-33図 )。

第1-2-33図 他の研究機関との共同研究の実施割合

(産学の共同論文数の推移)

 共同研究の近年の動向からも推測されるように,企業の研究者と大学の研究者間で行われる論文の共著も増加している。我が国に事業所をもつ企業の研究者と国内の大学の研究者の間で行われる共著論文数の割合は,1981年の21%から1996年には40%と大きく増加しており,産業界と大学等の間における協力関係は高まってきていることが窺える。

 この傾向は,米国とほぼ同様の結果となっており,我が国における産学連携が進んできている状況を示しているとも考えられる( 第1-2-34図 )。

第1-2-34図 民間企業における大学との共著論文数及び割合の推移


(産業界と大学・国研等との人の流動)

 公的研究機関の研究成果の産業界への移転,産業界のニーズ等の公的研究機関への伝達といった,産学官の有機的な連携を促進する上で,人的交流は大きな意味を持つ。

 民間企業における外部機関との人的交流の状況について調査した結果では,最近3年間に大学に研究者を派遣した経験のある企業は約34%,国研等に派遣した企業は約21%,大学からの研究者を一定期間受け入れた企業は約10%となっており,特に公的研究機関への研究者の派遣を中心に人的交流が行われていることが分かる( 第1-2-35図 )。

第1-2-35図 民間企業における人的交流の現状

 公的研究機関における人的交流に関しては,勤務時間外に民間企業等において研究開発及び研究開発に関する技術指導に従事する場合の兼業が,国立試験研究機関においては平成8年度から,国立大学等においては平成9年度から可能になっており,また,平成12年度には国立大学等の教員の TLO* や研究成果活用企業等の役員等との兼業が認められるなど人的交流の促進に向けた制度等の整備が図られてきている。

 第2期科学技術基本計画においても,経済社会のニーズが適切に研究開発課題に反映されるように公的研究機関における産業界等からの人材の積極的な登用など,人的交流を通じた連携の促進が必要であるとしている。また,公的研究機関から産業界への技術移転を図るため,公的研究機関の研究者においては,研究成果を活用する民間企業等の役員等への兼業制度及び休職制度等を積極的に活用することが必要であるとし,国は,民間企業等における研究,指導等への従事に係る兼業許可の円滑な運用を図ることが求められるとするなど,今後一層の人的交流を図る必要があるとの考えを示している。


*TLO:

TLO(Technology Licensing Organization)は,「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律(大学等技術移転促進法)」に基づいた技術移転事務所で,{1}研究成果に関する特許権等の取得・維持・保全,{2}研究成果に関する技術情報の提供,{3}研究成果に関する企業への移転等(ライセンシング)を主な事業内容としている。


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