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第1部   我が国の科学技術の創造力
第2章  我が国の科学技術システムの現状と課題
第3節  研究基盤
4.  研究情報基盤


(データベース)

 新たな研究開発に取り組む上では既存の研究情報を把握することが不可欠であり,研究情報を迅速かつ容易に入手することを可能とするデータベースは重要な役割を果たす。現在我が国においては,内外の科学技術に関する情報を迅速かつ網羅的に収集,加工し提供する JOIS* や,米国,ドイツ及び日本の三つの情報機関により構築した国際科学技術情報ネットワーク(STN International)等,各種科学技術情報データベースが,科学技術振興事業団をはじめ各機関にて提供されている。

 一方米国では,Chemical Abstracts Service社,Institute for Scientific Information社などが各種の科学技術情報データベースを提供している。また連邦政府は1970年代以降,米国の競争力強化のため日本をはじめとした諸外国の科学技術情報について重点的に収集・分析・提供を行っており, WTEC* / JTEC* 等,戦略的な科学技術情報の分析拠点を築いている。さらに連邦政府全体の研究開発情報を把握し,効率的に連邦政府の研究開発を進めるため,米国国立科学財団(NSF),RAND社により政府研究開発データベース RaDiUS* が構築・運用されており,戦略的な科学技術情報の共有という点で我が国をリードしている。今後我が国においても,総合科学技術会議が各省庁の研究開発課題を把握するデータベースを構築することとしている。


*JOIS:

JST Online Information System


*WTEC:

World Technology Evaluation Center


*JTEC:

Japan Technology Evaluation Center


*RaDiUS:

Research and Development in the United States

(ネットワーク)

 研究情報の流通を担うネットワークについては,我が国においては,省庁の枠を超えた国公立試験研究機関・特殊法人等の研究及び研究支援のためのネットワーク・省際研究情報ネットワーク( IMnet* )と,全国の国公私立大学等を結ぶ学術情報ネットワーク( SINET* )の連携により,大量の情報を迅速に利用しうる基盤の整備を進めている。さらに,世界最速の研究ネットワーク(10Gbps)を構築するスーパーSINET構想を推進するとともに,国内に散らばる高性能コンピュータ・データベースを高速ネットワーク上で共有化し,高性能研究環境を実現する仮想研究環境 ITBL* の構築に取り組んでいる。

 他方,米国では全米約130校の大学が参加する次世代インターネットプロジェクトInternet2を推進し,高度な研究・教育支援専用のインターネット技術の開発を行っている。このバックボーンネットワークとして,NSFが運用し,国家・地球規模の研究・教育のサポートを行う vBNS* 及びより広範なユーザに解放しているAbileneがあり,両者は接続されさらに多様なネットワークを構築している。vBNSは専門の研究者向けの超高性能バックボーンであり,2000年12月現在101のスーパーコンピュータ・センター,研究・教育機関等を結んでおり,遠隔ユーザでも高性能のスーパーコンピュータにアクセスできる。Abileneは専門的研究者のみならず大学,高校,中学校,小学校の全利用者に開放しているネットワークであり,現在要求されている教育,研究目的のすべてに利用できるよう構築していくことを目指している。


*IMnet:

Inter-Ministry Research Information Network


*SINET:

Science Information Network


*ITBL:

IT-Based Laboratory


*vBNS:

very high-speed Backbone Network Service

(コンピュータ)

 生命機能の解析,航空機設計,材料設計,大気環境予測,防災科学技術等,最先端科学技術の多くの分野の高度化・複雑化に伴い,研究開発を進める上で高度な計算能力を持つスーパーコンピュータが不可欠となってきている。我が国においては,理化学研究所が開発した分子構造解析計算機(MDM)及び東京大学が開発した重力計算機(GRAPE-6)の実効計算速度が世界最高であるとして,平成12年11月,世界最高速計算機に与えられるゴードン・ベル賞を受賞し,我が国の特定目的型計算機の技術的ポテンシャルを示した。また,汎用計算機についても,地球規模の複雑な諸現象を計算機上で忠実に再現することを可能とする「地球シミュレータ」を開発しており,これにより従来の約1,000倍のシミュレーション性能の向上を達成する予定である。

 スーパーコンピュータ開発で我が国と並ぶ米国においては,情報技術の研究開発の中でも,先端的な計算基盤の整備を重要な課題としてとらえており,将来のペタフロップス級の計算能力の実現に向け連邦政府の各省庁で研究開発が進められている。連邦エネルギー省(DOE)では,1996年度よりASCI(Accelerated Strategic Computing Initiative)計画を進め,DOEの3研究所(サンディア,ロスアラモス,ローレンス・リバモア)において1〜10テラフロップス級のスーパーコンピュータを設置している。またサンディア研究所においては,セレラ・ジェノミクス社,コンパック社とともに,ヒトゲノム機能解析を目的として2004年までに100テラフロップスのスーパーコンピュータを開発することとしている。このように日米において,生命科学分野をはじめ各分野での計算能力の需要に応えるスーパーコンピュータの開発が進められている。


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