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第1部   我が国の科学技術の創造力
第2章  我が国の科学技術システムの現状と課題
第2節  研究環境と研究資金
2.  研究資金のマネージメント



(1) 競争的資金

 競争的資金は,事前評価を経て採択された研究課題に対して重点的に配分されることから,限られた財源を効率的かつ効果的に活用する手段として重要な資金だと考えられる( 第1-2-24図 )。また,能力のある若手研究者にも研究機会が与えられるなど,公正かつ実力本位の制度ともいえる。

第1-2-24図 競争的資金が必要と思われる理由・効用

(採択率と助成規模)

 我が国の競争的環境の程度について,公的部門における競争的資金から見ると,課題採択率は科学研究費補助金では新規課題で20%程度,特殊法人等における新たな基礎研究推進制度においては平均10%以下と厳しい状況となっている。我が国の研究者が現在,競争的資金を獲得している状況について調査したところ35.2%であり,過去に獲得していた研究者を含めると53.1%と半数を超え,2件以上獲得している割合も16.1%存在している。複数テーマの研究にチャレンジする意欲的な研究者もいるが,個々の研究課題について数件獲得しなければ研究が運営できない状況が推測され,研究者側と評価者側の双方の負担を軽減する観点から,安定的で十分な研究費を獲得できる規模の研究助成金が望まれる。また,研究者が望む競争的資金の規模としては,年間500万円〜2,000万円程度の比較的中規模な研究資金を要望する回答が最も多い。これら研究者のニーズを反映した制度の充実を図ることが重要である( 第1-2-25図 )。

第1-2-25図 望ましい資金規模

(競争的資金の拡充)

 公的な競争的資金には,科学研究費補助金や科学技術振興調整費等が存在し,その助成規模は拡大している。 第1-2-26図 は,我が国の競争的資金(各年度当初予算額)の推移と科学技術関係経費に占める競争的資金の割合を示した図である。第1期科学技術基本計画期間中における競争的資金の拡充状況については,科学技術関係経費に占める割合が5.0%(平成7年度)から8.9%(平成12年度)に増加し,金額比では約2.4倍に拡充されている。第2期基本計画においても重点的・効率的な資源配分を前提として,引き続き競争的資金の拡充が図られることになっており,その規模及び割合が増加することが期待される。

第1-2-26図 我が国の競争的資金(各年度当初予算額)の推移

(助成対象)

 個人研究・チーム研究を対象とした公的な競争的資金の種類としては,「単独の研究者が研究を実施する制度」,「単独の研究者が実施するか,複数の研究者が研究チームを構成して研究を実施する制度」,「複数の研究者が研究チームを構成して研究を実施する制度」に大別できる。単独の研究者が研究を実施する制度については,若手研究者研究推進制度・個人研究推進制度(戦略的基礎研究推進事業)や,奨励研究A(科学研究費補助金)等が存在している。この中で,特に若手研究者を対象とした制度については,複数の研究者が研究チームを構成して実施する制度と比較し,その予算額の割合は相対的に低くなっている。第2期科学技術基本計画では,競争的資金の倍増の中で,若手研究者を対象とした研究費を重点的に拡大するとともに,競争的資金一般においても,若手研究者の積極的な申請を奨励するとされている。これまで共同研究や学際研究が奨励されてきたことの意義は大きいが,今後はこれらに加え,若手研究者の自立性の向上を図る観点から,若手研究者を支援する制度の充実が望まれる。


(2) 間接経費

 間接経費とは,競争的資金をより効率的・効果的に活用するために,研究の実施に伴う研究機関の管理等に必要な経費として手当てされるものを指し,競争的資金を獲得した研究者の属する研究機関に対して,研究費に対する一定比率を配分するものである。研究機関がこの資金を効率的かつ柔軟に使用することによって,研究環境の改善や研究機関全体の機能向上に役立つことになる。今後,競争的資金の拡充及び人材の流動環境が整備されるに従い,間接経費が研究機関間の競争原理を促し,研究者にとっては魅力的な研究環境が創出されることになる。

 現在,我が国の研究費において間接経費の導入は少ないため,第2期科学技術基本計画において導入を推進することとしており,その場合,研究費に対する比率の目安は当面30%程度とされている。


(3) 研究費の調達・裁量

 研究予算の執行に関する問題点として,特に国立大学・国立試験研究機関等では,事務手続きの煩雑さや国の予算制度による各種の制約など問題点が指摘されている。研究活動の過程において,副次的な実験結果が重要な成果であると判明した場合,従来の研究予算とは別途,臨時的な研究予算を確保する必要がある。このような場合,予算手当を弾力的に調達できる体制にあることが重要である。研究者に対するアンケート調査によると,計画変更時に研究資源を再配分できる体制であるかどうかについては,あると回答した割合が36.3%であった。その際,与えられる権限として外部から資金を調達できるとした回答割合は,追加助成金を申請するとした3.0%であり,現状としては,外部に研究資金を求めるより,研究機関内での配分交渉や研究費の使途変更により必要資金を確保しているものと考えられる( 第1-2-27図 )。

第1-2-27図 計画変更時に研究資源を再配分できる体制及び与えられる権限

 上記問題点については,円滑な研究の遂行の観点から,すでに一部改善がなされてきたが,研究費の費目間流用など研究費の使途の弾力性の向上や弾力的繰り越し等について,今後,更なる制度や運用の弾力的な改善等が望まれる。外部からの資金導入を促進するためには,競争的資金のみならず,産業界からの資金の受入れやベンチャーキャピタル等を視野に入れた幅広い体制整備を行っていくことも重要となる。

競争的資金への間接経費の導入


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