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第1部   我が国の科学技術の創造力
第2章  我が国の科学技術システムの現状と課題
第1節  科学技術人材
7.  若手研究者に対する処遇の改善


 研究者の流動性を高めるとともに,様々なバックグラウンドを持つ若手研究者が能力を発揮できるようにすることが,科学技術の創造力を高める上でとりわけ重要である。

 我が国では主な競争的研究資金の中で,若手研究者を対象とした制度の占める資金の割合は1割程度と少ないのが現状である。我が国の知的基盤を担う人材の確保と養成を確固としたものとするためには,主体となる若手研究者に対して,適性に応じた多様な研究機会を設けることが重要である。今後,若手研究者を対象とした制度が,より一層拡充されることが望まれるところである。

 研究費の増額を初めとして,若手研究者に対する処遇改善を行うことによって,我が国の研究者全体の活性化を促すことが可能になると予想できる。それは,研究者として特に大きな成果があげられるのは,40歳代までの若手から中堅の研究者であることが多く,このような年代の研究者に研究に専念できるような環境を整備していくことが重要な施策になるからである。我が国の第2期科学技術基本計画においても,優れた成果の創出・活用のための科学技術システムの改革として,若手研究者を対象とした研究費の拡充や助教授や若手研究者が独立して研究できる環境の整備が重視されており,助教授・助手の位置づけをはじめ,教育研究の活性化に資する教員組織の在り方についても検討する必要がある。

 大きな成果をあげた研究者がしばしば若手であるということは,ノーベル賞受賞者がどの年齢で受賞業績を上げているかを調べたデータから理解できる( 第1-2-19図 )。この資料は1981年から2000年までの自然科学系3賞(物理学賞,化学賞,医学・生理学賞)を受賞した合計127名のうち,業績を上げた年齢がはっきりとしている111名に対して調査したものである。

第1-2-19図 ノーベル賞受賞者の業績を上げた年齢の分布(1981〜2000)

 この図から,ノーベル賞を受賞するような優れた業績は各分野とも30代後半に集中しており,少数の例外はあるが,40代後半になると成果を上げた例は非常に少ないことがわかる。

 なお,日本人のノーベル賞受賞者は 第1-2-20表 のとおりであり,業績を上げた年齢の最も若い湯川秀樹博士では28歳,最も遅い白川英樹博士でも41歳と,いずれの成果もやはり40代前半までに上げられている。

第1-2-20表 日本人ノーベル賞受賞者(自然科学分野)の受賞理由と業績を上げたときの年齢

ノーベル賞100周年記念展覧会

 スウェーデンのノーベル財団では,2001年が1901年の最初のノーベル賞の授与から100年になることを記念して,「ノーベル賞100周年記念展覧会」を2001年4月2日から2004年8月31日まで,ストックホルムで開催している。

 展示は「創造性の文化」をテーマとしており,「創造性とは何か,また創造的活動はどうすれば奨励できるか」「創造的な過程にとって個人と環境のどちらが重要か」といった問題について,これまでのノーベル賞の受賞者やその環境を展示することによって,見る人に考えさせる内容となっている。

 「ノーベル賞100周年記念展覧会」は,世界各地での海外巡回展を予定しており,2001年(平成13年)8月から12月までオスロで開催した後,我が国では平成14年(2002年)3月18日から6月19日まで国立科学博物館で開催される予定である。


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