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第1部   我が国の科学技術の創造力
第1章  我が国の科学技術の成果と水準
第2節  研究成果の量と質
2.  質的水準



(1) 論文

 論文の重要度を計る数値指標としては被引用回数が存在する。被引用回数とは,論文が他の論文にどれだけ引用されたかを計る指標で,この回数が多いほど優れた重要な論文であると考えられる。

 ISIのデータベースによると,被引用回数のシェアについては,論文数同様に米国がシェアを落としているが,そのシェアは論文数のシェア以上に大きく,米国が論文の質的水準において,影響力の高い論文を発表し続けていることが読みとれる。一方,我が国においては,被引用回数のシェアは着実に伸びてはいるものの,論文数のシェアを下回り,米国,イギリス,ドイツに次いで4位となっている( 第1-1-4図 )。相対被引用度(論文発表数シェアに対する被引用回数シェアの比)においても,欧米主要国と比較してやや低い値にとどまっている( 第2-3-2図 参照)。

第1-1-4図 主要国の被引用回数シェア

 このように,発表される論文数の伸びは欧米主要国よりも急速であるが,被引用回数や相対引用度の伸びは他の諸国に比較して低い。我が国の研究者には言葉の壁や地理的条件などの問題があるが,被引用回数の多い論文は,同様の研究テーマを持っている研究者に特に注目されている論文であると考えることができるため,被引用回数で表される質の面では今後の取組が必要だといえる。

(ハイ・インパクト論文)

 一方,過去約20年間に我が国の ハイ・インパクト論文* の数は急速に増えてきている。ハイ・インパクト論文は引用された回数が多いことから,その分野において最も影響力があったとされる論文である。1981年に全研究分野をあわせた日本のハイ・インパクト論文の数は106であったものが,1998年には2倍以上の255に増加している。ISIでは日本の研究全体が伸びると言うよりも,日本の研究のトップレベルが急激に発信を増やしていると分析している。トップレベルの研究者による最先端の研究をさらに推進する一方で,研究者全体の質の高い研究の推進とともに,積極的な情報発信も重要な課題となってきている。


*ハイ・インパクト論文:

ISIでは、特定の1年間に特定の分野で最も多く引用された世界のトップ200の論文をハイ・インパクト論文とよんでいる。


(2) 特許

 特許は出願するだけでは,知的財産の保護という意味においては意味がなく,それが登録されて初めてその効果を発揮するものである。この意味では特許の出願数よりも登録数のほうが重要な指標であるということが言えよう。日本人によって出願された特許は,その登録件数において欧米を凌駕しており,大きな成果を上げているということが言える( 第1-1-5図 )。

第1-1-5図 主要国の特許登録者の国籍別比較

 また,日本において登録された特許の件数も米国とほぼ同じ水準であり,この点において,我が国は「特許大国」ということができるであろう( 第1-1-6図 )。しかしながら,これら2つの図から分かるように,我が国以外の主要国が世界各国で特許を取得する傾向が高いのに対し,我が国の場合,日本人が国内で特許を登録する割合及び日本国内で登録された特許が日本人によって出願されたものである割合が,ともに際立って高いことが大きな特徴となっている。

第1-1-6図 主要国の特許登録件数の国別比較

 特許はその性質上,国内のみで登録されても海外での通用性はない。あらゆる分野がグローバル化している現在,我が国の科学技術活動が国際的に認知・評価されることにより,我が国に人材や情報が集積するようになるためにも,世界各国で特許を出願・登録する重要性はますます高くなってきている。

 このため,我が国において世界的な視点から特許戦略を再構築し,その成果の保護とそれを用いた経済の発展,さらには次のイノベーションにつなげていくようにすることが,大きく望まれている。


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