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第1部   我が国の科学技術の創造力


(新たな段階を迎えた我が国の科学技術)

 我が国の科学技術政策の基本方針は,21世紀最初の年である本年,平成13年3月に今後5年間を対象とする第2期科学技術基本計画として閣議決定された。この計画は,科学技術は新たな知を生み出し,国民の生活や経済活動を持続的に発展させ,国際的な貢献を果たすべきものとの視点に立って,我が国が目指すべき国の姿と理念を示し,その実現に向けて科学技術政策の基本方針を示すとともに,研究開発の重点的・戦略的な推進と科学技術システムの改革の方策を示したものである。

 第1期の科学技術基本計画は平成8年度から12年度までの5年間実施され,この計画に基づく制度改善等の進展や,競争的資金の倍増を含む科学技術関係経費の所要額の措置の効果もあって,我が国の研究開発水準は改善しつつある。

 また,平成12年10月の白川英樹筑波大学名誉教授のノーベル化学賞受賞決定は,我が国の科学技術に自信を与えるものであるとともに,明るい未来を象徴している。

 しかしながら,主要先進諸国は科学技術の重点化や競争力の強化を図り,多くの分野において我が国に比べて高い水準にあり,我が国としても基礎研究の質を一層高め,国際的に高い評価を受ける成果を創造できる環境を整備していくとともに,経済的社会的ニーズに対応する研究開発については,産学官が連携し,研究成果が円滑に社会へ還元される環境を整備していく必要がある。

 これらの課題に取り組む行政体制としては,平成13年1月の中央省庁再編により,政府全体の見地から科学技術の基本的な政策について審議する総合科学技術会議が内閣府に設置されるとともに,科学技術の総合的な振興と学術の振興を一体的に図ることを任務の一部とする文部科学省が設置された。また,平成13年4月には弾力的運営を図る等のため,大半の国立試験研究機関の独立行政法人化が実施された。さらに科学技術の中で中心的な役割を果たす大学についても,大学評価をはじめとする改革が進められている。

(科学技術の創造力)

 このように我が国の科学技術は21世紀を迎えて新たな段階を迎えたのであるが,第1部では「我が国の科学技術の創造力」と題して,我が国が新たな知を生み出し活用する力はどのようなものかを示すとともに,この力を維持発展させるためにはどのような課題があるのかを分析することとしたい。

 創造力とは一般に新しいものを造る力をいう。科学技術の場合は,事物,機能,現象などについて新しい知識を得たり,既存の知識の新しい活用の道を拓くために行われる創造的な活動によって進展するものであることから,ここでは科学技術の創造力を,国全体における新たな知を生み出し活用する力としてとらえることとする。この科学技術の創造力は,主として論文や特許などの研究成果として現れてくるものであるが,その源泉は,科学技術人材を中心として研究環境や研究資金など種々の要素からなる研究基盤であるとともに,産学官のネットワークによって活用の道を拓く力となるといった総合的なシステムとなっている。したがって,「科学技術の創造力」とは「人材」とそれを支える「環境」の優れた統合であると考えられる。

 このような認識のもと, 第1章 では我が国の科学技術の創造力を示す成果と水準について国際比較をし,続いて 第2章 では科学技術の創造力を生み出すシステムについて国際比較を行いつつ我が国の現状と課題を分析する。


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