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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第2章  総合的かつ計画的な施策の展開
第6節  国際的な交流等の促進
2.  発展途上国等との科学技術協力の拡充


 発展途上国は,その抱える人口の多さや保有する資源の豊かさなどから,国際社会で占める重要性は大きい。1997年(平成9年)12月に京都で開催された気候変動に関する国際連合枠組条約第3回締約国会議において議定書取りまとめの際に発展途上国が大きな影響を及ぼしたことからも明らかなとおり,地球規模の諸問題への取組をはじめとして,世界全体ひいては我が国の安定と繁栄を効果的に達成する上で,これらの国が十分に参画できる状況を整備することが不可欠である。したがって,科学技術を通じた協力を推進することにより,発展途上国における自主的・持続的経済発展の基盤となる人的資源・インフラの強化を図ることが重要であるが,このことは我が国における科学技術の一層の推進にも資するものである。このため,アジア太平洋地域に位置する我が国の国際社会における立場を踏まえつつ,相手国の国情,ニーズ及びポテンシャルに応じたきめ細かな二国間協力を行っていくとともに,アジア太平洋経済協力(APEC)等の多国間の枠組みを通じた協力を推進する。


(1) 多国間における取組

{1}アジア太平洋経済協力(APEC)における協力

 アジア太平洋地域の持続的な経済成長を達成していくための政府間の協力の場として,1989年(平成元年)に発足したアジア太平洋経済協力(APEC)は,開かれた地域協力を掲げ,貿易・投資の自由化・円滑化,経済・技術協力の推進を中心に活動を進めている。

 具体的な協力については,高級事務レベル会合の下に9つのワーキンググループを置き,産業技術,人材養成,エネルギー,海洋資源保全,電気通信等について協力方策の検討を行っている。特に,産業技術ワーキンググループにおいては,科学技術の情報流通の促進,研究施設の相互利用の促進,環境技術交流バーチャルセンターの構築などの種々の具体的協力プロジェクトが進められている。

 また,APECにおける技術者資格の相互承認プロジェクトが進展しており,1998年(平成10年)11月に技術分野,モニタリング委員会要綱,審査基準・手続き等についてのフレームワークが決定された。1999年(平成11年)11月には,各エコノミーの審査基準・手続き等を調整する場として調整委員会が設置された。

{2}アジア欧州会合(ASEM)における協力

 アジア欧州会合(ASEM)は,北米-欧州,アジア-北米の関係に比して,従来相対的に希薄であったアジアと欧州の関係を強化することを目的として,アジアと欧州が率直な対話を行う場として設けられたものである。1996年(平成8年)3月には,第1回首脳会合がバンコクにて開催された。

 1998年(平成10年)4月にロンドンで開催された第2回首脳会合において科学技術大臣会合の開催が中国より提案され,科学技術大臣会合が1999年(平成11年)10月に北京において開催された。本会合においては,アジア欧州間の科学技術協力を強化することが確認され,協力の枠組みが確立されるとともに,将来の協力プロジェクトについて多くの提案がなされた。

{3}国際科学技術センター(ISTC)における協力

 旧ソ連邦諸国の大量破壊兵器等に関連のある科学者及び技術者に対し,その才能を平和的活動に向け直す機会を与え,旧ソ連邦諸国の国内的及び国際的な技術問題の解決に寄与することを目的として,1992年(平成4年)11月に,日本,米国,EU(当時EC),ロシアの四極は「国際科学技術センター(ISTC)」を設立する協定に署名し,さらに1993年(平成5年)12月,同協定を暫定的に適用するための議定書に署名したことにより同センターが設立され,1994年(平成6年)3月に第1回理事会が開催された。

 これまでに開催された21回の理事会において,同センターの目的を達成するため計2億6,700万ドル分の具体的プロジェクトの開始が承認され,これまで延べ約30,000人以上の研究者が従事してきている。また,設立後,フィンランド(現在はEUに所属),スウェーデン(現在はEUに所属),ノルウェー,韓国,グルジア,アルメニア,ベラルーシ,カザフスタン,キルギスが参加している。

 我が国としては,今後とも,本センターの活動が円滑に進み,実効性のあるものとして展開されるよう,人的貢献を含め,これまでの業績を生かして積極的に協力していく方針としている。この一環として,1999年12月,我が国より,ISTCのプロジェクト支援に対する2,000万ドルの追加的拠出を行ったところであり,これにより我が国のISTCプロジェクト支援に対する拠出は約5,200万ドルとなる。また企業を含む新たな参加者の拡大,地球規模の問題解決に貢献するプロジェクトの実施の2点に対しても,積極的に取り組んでいる。


(2) アジア・太平洋諸国等との協力

 中国との間では,1980年(昭和55年)5月に締結された日中科学技術協力協定の締結20周年にあたる2000年(平成12年),北京にて第9回協力委員会が開催される予定となっており,両国の着実な科学技術協力の促進が期待されている。

 また,韓国との間では,2000年3月にソウルにおいて第1回日韓科学技術協力委員会が開催された。また,1985年(昭和60年)12月に締結された日韓科学技術協力協定に基づく専門家同士の意見交換の場と位置付けられる日韓科学技術フォーラムが1999年(平成11年)11月に開催され,新エネルギー,生命工学,科学技術政策の3分科会において研究開発の動向について意見交換が行われ,今後の協力に向けた提言がなされた。

 この他,オーストラリア,インド,ブラジル,イスラエル等との間でも科学技術協力協定等に基づき,情報交換,専門家の交流,共同研究の実施等の協力が進められており,特にオーストラリアとは,1999年5月東京で第9回日豪科学技術協力合同委員会が,インドとは,同年9月東京において第6回日印科学技術協力合同委員会が開催された。

 また,科学技術協力協定が締結されていない国についても,タイ,マレーシア等との間では,持続的な食料生産等の分野における共同研究を行っており,さらに,サウディアラビア等,科学技術協力協定が締結されていない国との間でも,貿易経済協議等広範な分野を対象とする協議の場において,今後の協力可能性等について意見交換を行っている。


(3) 旧ソ連,中・東欧諸国等との協力

 旧ソ連との協力については,1973年(昭和48年)10月に締結された日ソ科学技術協力協定に基づき,これまで7回の日ソ科学技術協力委員会と5回の日ロ科学技術協力委員会が開催されており,従来より地球科学,農林業等の分野で情報の交換,専門家の派遣,セミナーの開催等の協力が行われてきた。また,1993年(平成5年)10月に締結された日露宇宙協力協定に基づき,これまで2回の日露宇宙協力合同委員会が開催されている。この他,近年特に,農業,プラズマ物理学,及び核融合,高エネルギー物理学・加速器科学の分野で活発に協力が行われている(なお,現在,日ソ科学技術協力協定に代わる新たな協定を策定するための交渉が行われている。)。

 中・東欧諸国との間においてはポーランド及び旧ユーゴスラビアとの間には科学技術協力協定が,ルーマニア,ブルガリア,旧チェッコスロバキア及びハンガリーとの間には科学技術協力取極が締結されており,また,研究者の交流等の協力が行われている(旧ユーゴスラビアは構成共和国の独立に伴い,現在までに,新ユーゴスラビア,クロアチア,スロベニア及びマケドニア旧ユーゴスラビア共和国につき同協定の承継を確認している。また,旧チェッコスロバキアは,チェッコとスロバキアの2か国に分離したが,両国とも同取極を承継したことを確認している。)。これらの協定に基づき,1999年11月には,ポーランド及びハンガリーとの間で第4回日・ポーランド科学技術協議及び第6回日・ハンガリー科学技術協議が開催されたところである。


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