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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第2章  総合的かつ計画的な施策の展開
第5節  民間の研究開発の促進と国等の研究開発の成果の活用
3.  国等の研究開発成果の活用


 大学や国立試験研究機関,特殊法人のような公的部門における研究開発の成果については,研究開発のさらなる進展を図るとともに,民間企業を含め広く一般に活用されるようにするため,各機関において成果発表会の開催,年報等の定期刊行物の刊行等が行われているほか,各種学会や学術刊行物への研究論文の発表,国有の特許の公開等により,成果の公開,情報提供が行われている。

 従来,国に帰属していた国立試験研究機関の研究者の発明等にかかる特許権等知的財産権については,科学技術庁,環境庁,厚生省,農林水産省,通商産業省,郵政省及び運輸省において国と研究者との共有とする等の措置を講じている。これにより,研究者の権利の持分を企業に売却することや,当該特許等にかかる研究者自らの民間への技術指導等を通じて,国の研究開発成果の技術移転や製品化の促進が期待されるものである。また,国立大学における特許権等については,原則として発明等した教員個人に帰属するようになっている。

 国の研究者への特許権の個人帰属の状況を 第3-2-32(a)図 に示す。また,国立試験研究機関と民間機関との共同研究によって得られた特許の民間機関への優先的実施権の付与件数は,年々増加している( 第3-2-32(b)図 )。

第3-2-32(a)図 国の研究者への特許権個人帰属の状況

第3-2-33(b)図 国研と民間機関との共同研究等における民間機関への特許権の優先的実施権の付与件数

 大学や国公立試験研究機関等の研究開発成果の実用化については,科学技術振興事業団において,優れた研究成果の発掘,特許化の支援から,企業化が著しく困難なものについての企業化開発に至るまでの一貫した取組を進めている。

 具体的には,大学,国立試験研究機関の研究成果のうち,新産業創出,企業化開発等が期待されるものについて,特許化を支援し技術移転を促進するため,特許主任調査員を派遣して研究成果の特許化に関するアドバイスを行い,あるいは,特許出願を代行するといった特許化支援事業を行っている。

 特許化支援事業により特許化された研究成果をはじめ,科学技術振興事業団が調査・収集を行った優れた研究成果のうち,企業化が著しく困難なものについては,企業等に開発を委託する委託開発事業により,積極的に新技術の企業化を図っている。さらに,委託開発の結果得られた開発成果については,産業界において実施されるよう,広く普及を図っている。また,開発に伴うリスクが比較的少なく,企業独自で開発を進めることが可能な新技術については,研究成果活用促進事業によって企業等への技術移転を促進しており,諸外国に対してもあっせん可能な技術を英文紹介誌により紹介するなどして,開発あっせん及び実施許諾の促進を図っている。

 平成11年度末までの委託開発事業及び研究成果活用促進事業の結果をみると,委託開発事業は成功課題が341件となっており,また,研究成果活用促進事業は,成立課題580件(延べ910社)となっている。

 さらに,科学技術振興事業団において,大学や国立試験研究機関等で得られた研究成果に基づく,新規事業を生み出す可能性のある新技術コンセプトを,研究機関の技術指導,評価を得つつ,ベンチャー企業をはじめとした研究開発型中堅・中小企業の活力を活用して試作品として具体的な形とすること(モデル化)により,独創的な研究成果の育成を促進し,上記委託開発等の企業化開発につなげるための独創的研究成果育成事業を推進している。

 また,大学等の研究成果に基づく技術独創型ベンチャーの起業促進が新規産業の創出を通じ経済の活性化に大きく貢献することにかんがみ,平成11年度より,プレベンチャー推進事業(新規事業志向型研究開発成果展開事業)を実施している。本事業では,大学や国立試験研究機関等の研究成果に基づく起業構想を研究者と起業アイデアを持つ起業家の共同提案として募集し,有望なものを選考の上,研究チームを編成して起業に向けた実用化研究を実施することにより,大学や国立試験研究機関等からのベンチャー企業の創製を促そうというものである。

 なお,研究開発活動の活発な大学や研究機関等の近隣をはじめ研究開発ポテンシャルの高い各地域において,産学官及び地域との連携を図りつつ,戦略的な研究開発コーディネートの下,上記の科学技術振興事業団の研究成果活用関連諸事業を集中的に実施することにより,大学等における基礎的研究の成果の掘り起こし,権利化から企業化に至るまでの研究成果の育成・活用・社会還元を戦略的に行うための施設として,平成11年度第二次補正予算により研究成果活用プラザが整備されることとなった。現在,北海道(札幌市),石川県(辰口町),大阪府(和泉市),広島県(東広島市),福岡県(福岡市)における建設に向け,施設を具体化する作業が進められている。

 このほか,国等の研究開発成果の活用及び研究開発活動に関する情報の公開を推進し,新規事業の創出等の円滑化を図るため,研究成果の概要,研究成果の技術評価,研究成果の展開可能な技術用途・利用分野,関連技術の概要等を検索することのできる新産業創出総合データベース構築を行っている。

 また,理化学研究所においては,自らの研究成果をより一層効果的に実用化に結びつけるため,平成10年1月に研究者の兼業許可,共同研究における優遇措置策の制度を創設している。

 通商産業省特許庁では,国公立試験研究機関及び大学の研究成果の適切な保護と産業界への円滑な移転を支援するため,これら試験研究機関及び大学の研究者及び特許管理者を対象とした無料の工業所有権セミナーを全国延べ58会場で実施するとともに,全国13都市で技術導入を希望する産業界との出会いの機会となる特許流通フェアを開催した。

 文部省では,特に,各国立大学が地場産業など地域の産業界と密接に連携し,活発な共同研究を進めるため,地域共同研究センター等の整備を進めること,新産業創出のための独創的な研究開発の推進と高度な専門的職業能力を持つ創造的な人材育成を目的としたベンチャー・ビジネス・ラボラトリーを多数の理工系大学院生を擁する国立大学に整備するなどして,国立大学の持っている研究能力などの活用を図っている。

 また,平成10年8月には,大学等の研究成果の産業界への効率的な移転を図ることを目的とした「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」が施行された。同法に基づき承認を受けた技術移転機関(TLO)に対しては,産業基盤整備基金による助成金交付,「産業活力再生特別措置法」に基づく特許料の軽減等の支援措置が設けられている。平成12年3月末現在,同法に基づき10機関のTLOが承認を受けており( 第3-2-33表 ),300件を超える特許出願が行われている(通商産業省調べ)。

第3-2-33表 「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」に基づく承認TLOについて

 さらに,平成10年8月には,「研究交流促進法」の改正により,民間事業者等が国立大学や国立試験研究機関の国有敷地内に共同研究施設を建てる場合の土地の使用料を低く定めることが可能となった。これに基づき,北海道大学の構内に,(財)北海道地域技術振興センターが共同研究施設の建設を行っている。


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