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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第2章  総合的かつ計画的な施策の展開
第2節  研究開発基盤の整備・充実
3.  知的基盤の整備


 研究開発等の効率的な推進のためには,試験・計測・調査法等の改良・標準化,計量標準,各種データベース,研究開発に用いる材料の質・量両面での安定供給及び安全性・信頼性の確保等が必要である。このため,各種計量標準・試験評価方法,各種データベースの充実整備,生物遺伝資源,遺伝子資源等の研究材料の円滑な供給を図る等研究開発にかかる知的基盤の整備を推進する必要がある。研究用材料の供給体制については,科学技術庁において理化学研究所がライフサイエンス研究の基盤となる高等動植物の培養細胞・遺伝子の収集・保存・提供とその関連技術開発を行うバイオリソース保存事業及び,微生物の系統保存・分譲事業を行っているほか,日本原子力研究所がRI(放射性核種)の供給を行っている。また,産学官の連携の下,知的基盤の整備に資する研究開発を一体的かつ体系的に実施するため,科学技術振興調整費を活用して,平成9年度より知的基盤整備推進制度を実施している。知的基盤整備推進制度の予算額の推移を 第3-2-23図 に示す。

第3-2-23図 知的基盤整備推進制度予算額の推移

(環境庁)

 環境庁においては,環境汚染の指標,環境浄化機能を有する微生物及び遺伝子操作技術で開発された新微生物の収集・保存・提供を行っている。

(文部省)

 文部省では,学術資料の整備のため,次のような事業を実施している。

 学術標本を活用した教育・研究実績,学術標本の保有・整理状況及び地域性等を考慮しながら,大学等における学術研究活動により収集された動植物,化石等の学術標本を整理・保存,展示・公開するとともに,これら学術標本を対象に組織的に独自の研究・教育を行い,さらに,「社会に開かれた大学」の窓口として展示や講演会等を通じて人々の様々な学習ニーズに応えることができる施設として,ユニバーシティ・ミュージアムの整備を推進している。

 近年のバイオサイエンスの著しい発展に伴い,生物学,医学,薬学,農学等の諸分野の研究推進に有用な生物遺伝資源の確保・保存体制の整備が必要となってきている。このため,大学等においては,研究上必要な各種生物系統の確保・保存等に努め,研究者の利用に役立てている。

 医学,薬学,生物学等の研究においては,精度の高い動物実験が必要とされている。このため,文部省においては実験動物の研究開発や動物実験施設の整備を進めるとともに,科学的にはもとより,動物福祉にも配慮しつつ適切な動物実験が実施されるよう,大学等に要請している。

 また,平成9年7月に学術審議会学術資料部会が取りまとめた「遺伝子操作動物の保存と供給について(報告)」を踏まえ,遺伝子操作動物に関する保存・供給・開発等に努めている。

(厚生省)

 厚生省においては,ライフサイエンス,特に医学,薬学分野における研究に必要なヒト及び動物由来の培養細胞及び遺伝子の収集・保存を行うマスターバンクを国立医薬品食品衛生研究所及び国立感染症研究所に設置するとともに,(財)ヒューマンサイエンス振興財団を通じ研究者等に対する供給を行っている。

(農林水産省)

 農林水産省においては,ジーンバンク事業として農林水産業等にかかる植物,動物,微生物,林木,水産生物等の生物遺伝資源について,分類・同定,特性評価,増殖及び保存を行うとともに,生物遺伝資源及び生物遺伝資源情報を国立試験研究機関,民間,大学等に提供している。また,ゲノム研究等遺伝子レベルの研究成果であるDNA及びDNA情報を収集,蓄積,提供するDNAバンク事業を行っている。

(通商産業省)

 通商産業省においては,以下の整備を行っている。

 計量標準の整備については,平成10年3月開所の「計量標準センター」も活用しつつ,国家計量標準種類の大幅拡充を図るとともに,物理標準,標準物質等の開発・設定に関する19テーマの研究を実施(平成11年度2テーマが終了)し,平成12年度までに計量法JCSS制度に基づく計量標準供給につなげる予定(一部供給済み)である。また,「国際計量標準センター(仮称)」,「標準物質センター(仮称)」を建設し,計量標準整備基盤を強化する。

試験評価基盤の整備については,「工業標準センター」を活用しつつ,着実に取り組んでいる。

 生物資源情報基盤については,製品評価技術センターにおいて微生物のDNA解析,「生物資源情報解析センター」の整備等を進めるとともに,我が国の主要な生物資源供給機関として,欧米並みの規模で微生物等を保存,提供等をするための施設の整備に着手している。また,工業技術院生命工学工業技術研究所では,微生物のDNA解析データによるタンパク質解析を行うとともに,同研究所特許微生物寄託センターにおいて特許にかかる微生物の寄託,分譲等を行っている。

 化学物質安全管理基盤の整備としては,化学物質のハザード(危険有害性)データの収集・整理,それらの安全性評価の実施,生分解性予測システム等の簡易・代替試験方法,内分泌かく乱物質のスクリーニング試験系等の開発を行っている。

 その他,人間特性評価,材料試験評価等の研究,データベース整備の一部着手を行っている。

 計量標準については,このほか,郵政省において,周波数の国家標準を定め,標準時を通報するための施設の整備を行っている。

 なお,各省庁による知的基盤の保存・供給施設の整備状況については 第3-2-24表 のとおりである。

第3-2-24表 知的基盤の保存・供給施設の整備状況


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