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第1部   21世紀を迎えるに当たって
第1章  人類社会の変化
(2)  人間活動の成長


 人口は,食料,気候,病気,経済状態等多くの要因に左右されると考えられるが,生命の維持にまず必要不可欠なものが食料と水であることを踏まえれば,特に食料生産量が20世紀の人口の変化に大きく関係していると考えられる。すなわち,人口が増加すればそれを支えるだけの食料が必要になり,食料供給が増えればその分多くの人口を養えることから,人口増加と食料生産量は相互に因果関係を持つ。世界の三大穀物(小麦,米,トウモロコシ)の総生産量の推移を20世紀を通して見ると,1950年頃から急激に増加してきていることが分かる( 第1-1-6図 )。このような生産量の拡大には,農業技術の飛躍的発展が寄与している。例えば,世界の肥料消費量を見ると,1950年頃から急増し,1990年頃には10倍以上に増えており,化学肥料の導入という技術的な発展が背景に存在していることを指摘できる( 第1-1-7図 )。

第1-1-6図 世界の三大穀物生産量の推移

第1-1-7図 世界の肥料消費量の推移

 食料生産のほかにも,人類は自らの生活を豊かにする手段としてモノ作りの活動を拡大させ,鉱工業を発展させた。鉱工業を支える金属などの原料生産量の増加は,19世紀のイギリスに始まる産業革命によって,その端緒が開かれるが,飛躍的な増大を見せたのはやはり1950年頃からであることが示されている。例えば,1950年頃の生産量は鉄(銑鉄)がせいぜい年1.5億トン,銅(鉱石)が250万トンに満たなかったものが,近年では鉄(銑鉄)が約5億トン,銅(鉱石)が約1,200万トンを超えるまでに増大してきている。ここでも,人口の急増と時期を同じくして,1950年頃を境に急成長を遂げてきている( 第1-1-8図 )。

第1-1-8図 世界の主要金属生産量の推移

 このような鉱工業の拡大に伴い,人類はエネルギー消費量を増大させてきた。エネルギー消費量には,家庭内での消費なども含まれるが,特に20世紀に入ると鉱工業や輸送のためのエネルギー消費が飛躍的に増大してきた。そのようなエネルギー供給量の増大を担ってきたのが化石燃料である。19世紀からエネルギー供給の主力であった石炭に加え,20世紀に入ってからは石油や天然ガスへの依存が高まってきた。こうして,これら化石燃料の消費量も20世紀の中頃から急激に増加し,石油換算で1950年頃の約20億トンから,現在では約80億トンまでになっている( 第1-1-9図 )。

第1-1-9図 世界の化石燃料消費量の推移

 このような人類の諸活動の拡大は経済発展を促した。世界経済の年間生産高は1990年のドルに換算して20世紀初頭の約2兆ドルから現在では約30兆ドルに増大したとされている( 第1-1-10図 )。特に今世紀後半の成長は著しい。このような経済発展が20世紀の人類社会の量的な成長を支え,物質的に豊かな生活を実現した。

第1-1-10図 世界総生産の推移

 このように,20世紀の人間活動の成長は,大量生産に象徴されるように,モノの豊かさを社会の豊かさに投影させるものであった。


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