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第1部   21世紀を迎えるに当たって
第1章  人類社会の変化
(1)  人口の急増


 20世紀の人類社会の発展を端的に表すのが,世界人口に関する指標の推移であろう。19世紀の初頭に約10億人であった世界人口は,20世紀に入るまでに約16億人にまで増加した。これは人類にとってそれまで経験したことのない速さの増加であったが,その後現在までの変化に比べれば,比較的緩やかな増加傾向であった。世界人口は,20世紀中頃までは,そのような緩やかな増加傾向を続けてきたが,1950年以降に爆発的に増加し,1999年には60億人に達した( 第1-1-1図 )。

第1-1-1図 世界の人口の推移

 しかしながら,人口増加の速度は近年緩やかになりつつある。医学の進歩,公衆衛生の向上などにより,死亡率は1950年頃の人口1,000人当たりの死亡者数19.7人から,近年では8.9人に低下しているものの,出生率が1950年頃の人口1,000人当たりの出生数37.3人から近年では22.2人に低下しており,これらの差し引きである自然増加率は,1950年頃の人口1,000人当たり17.5人から近年では13.3人に低下してきている( 第1-1-2図 )。世界の保健水準が改善されてきている一方で,人口の再生産率が徐々に低下している様子が表れている。

第1-1-2図 世界の普通出生率,普通死亡率及び自然増加率の推移

 今後,人口の高齢化により死亡率が徐々に上昇するのに対し,出生率の低下傾向が引き続き変わらないと予想されることから,世界人口の増加は鈍化することが見込まれている。それでも,2025年には78億人,2050年には89億人に達すると予想されている。

 人口増加の傾向を地域間で比較すると,その格差は大きい。現在,世界人口の80%が発展途上地域にあり,人口増加の実に95%が発展途上地域で生じていると言われている。最も急速に人口が増加しているのは,サハラ以南のアフリカ,南アジアと西アジアの一部である。一方,ヨーロッパ,北アメリカ,日本では増加速度が著しく鈍化しており,既にヨーロッパでは人口が減少に転じている。したがって,世界人口の自然増加率の推移は, 第1-1-2図 から分かるように発展途上地域の推移に大きく依存するので,発展途上地域が今後の人口の動向の大きな鍵を握っている。

 我が国について見ると,近年,高齢者が増える一方で,出生数が減少することにより,少子高齢化が急速に進展している。また,21世紀の初頭には普通死亡率が普通出生率を追い抜き,自然増加率がマイナスに転じていくと予想されている。20世紀始めに約4,400万人であった我が国の人口は平成11年(1999年)には約1億2,700万人に増加し,平成19年(2007年)に約1億2,800万人に達するものの,その後減少に転じ,平成62年(2050年)には1億人にまで減少するとの推計がされている( 第1-1-3図 )。また,年齢別の人口構成を表す人口ピラミッドが示すように,平成62年(2050年)には人口の年代構成のピークが70歳代になると推計されており,高齢化社会が深化していくことが示されている( 第1-1-4図 )。

第1-1-3図 我が国の人口,普通出生率,普通死亡率及び自然増加率の推移

第1-1-4図 我が国の人口ピラミッド:2000年,2050年

 また,世界全体の平均寿命は,死亡率の低下,特に乳幼児死亡率の大幅な低下により,大きな伸びをみた。過去半世紀の間に世界全体の平均寿命は男性で45年から63年に,女性で48年から68年に伸びた。特に日本は,現在世界の最長寿国であり,女性で見ると1920年頃の43年から最近は84年を超え,ほぼ2倍に寿命が伸びたことになる。今後も長寿命化は続き,2050年には86年になると予想されている( 第1-1-5図 )。

第1-1-5図 世界及び我が国の平均寿命の推移

 以上見てきたように,世界人口は20世紀後半の50年間に飛躍的に増加してきたが,今後,その増加速度を徐々に低下させつつも,増加を続けることが予想されている。また,平均寿命の伸びと出生率の低下によって,世界的に人口が高齢化する方向にある。


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