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  付属資料
3.  主要先進諸国の科学技術政策の動向
(4)  フランス


1)研究・技術政策の革新の動き

フランスでは,バイオテクノロジー,情報通信,材料分野での遅れ,大学・公的研究機関から産業界への技術移転が有効に機能していないこと,研究者の流動化が進んでいないこと,法制,金融,税制及び経済が革新的な中小企業の発展に好適ではないこと,研究人材が高齢化していることが科学技術政策の課題として顕在化してきた。

このため,1998年7月にジョスパン首相を議長とする関係閣僚等からなる「科学技術に関する省庁間委員会」(Comiteinterministerieldela recherchescietifiqueettechnique)で以下の基本方針を決定した。

○仏欧の科学界の有識者,経済界の代表者からなる「国家科学審議会」(Consei1 nationaldelascience)を組織し,研究の方向性を審議する。同委員会の助言を踏まえて研究のプライオリティを決定する。

〇国立研究機関を諸外国,経済界,大学に対して開かれたものにするため,研究者の流動性の向上させる。

○外部評価委員会の設置等により,研究機関の評価方法を改定する。

○目標として今後4年間で以下を達成:

・仏の科学文献の国際的インパクトを2倍に
・国際特許を3倍に
・ハイテク企業を新たに400社設立

以上の決定をもとに,様々な施策が打ち出されている。主な施策は以下のとおり。

ア.ライフサイエンス研究の国家調整委員会の設置1998年9月にライフサイエンス研究に関係する公的研究機関の代表者からなる「ライフサイエンス研究の国家調整委員会」を設置。同委員会の目的は,ライフサイエンス分野における研究機関間の活動の調整,国民教育・研究・技術省研究局長に対して総括的な年次報告及び提案を提出すること等である。

イ.国家科学審議会の設置

1998年10月に「戦略オリエンテーション委員会」(Comite d'orientation Strategique)を廃止し,「国家科学審議会」(Conseil national de la science)を設置し,第1回会合を開催した。今後は,年に2回の頻度で開催を予定している。本委員会の特徴は以下のとおり。

○高等教育機関,国立研究機関,民間企業の産学官からなる構成
○外国人を多数選定(ドイツ2名,イギリス2名,オランダ1名,スイス1名,イタリア1名,アメリカ1名)

ウ.イノベーションと研究に関する法案の提出

「イノベーションと研究に関する法案」を1999年1月に国会へ提出した。同法案の主な内容は以下のとおり。

○公共機関(大学,国立研究機関及び国の研究を行う公共企業体)が出資をし,子会社を設立する際の手続きを簡略化する。
○公共機関が研究成果の活用を促進するために,企業に対し場所や設備等必要となる手段を提供することを認める。
○国の研究を行う公共企業体の研究者が新しく設立した企業の経営に参加することを期限付き(最大6年間)で認める。
○大学・国立研究機関の研究者が,期限付き(最大5年間)で,科学技術上の協力により企業からの報酬を受けとることを認め,さらに,その会社へ資本金の15%を限度として出資を認める。
○大学・国立研究機関の中に,要員の派遣,特許・ライセンスの活用,研究活動の商業化を行う「産業・商業活動担当部門」を設立することを認める。

エ. 国立科学研究センター(CNRS)の改革

2つの独立した研究所と大学,公的研究機関に約1,300の共同研究室を持ち,約11,000人の研究者を雇用するフランスの最大の国立研究機関である国立科学研究センター(CNRS)について,大学との連携強化,運営評議会の強化,外部評価委員会の設置等の改革案が検討されている。

オ. 国家科学基金の創設及び技術研究基金の改善

1999年度予算において,新たに国家科学基金を創設するとともに,技術研究基金の運用の根本的な改善を図った。二つの資金の目的は以下のとおり。

○国家科学基金:公的研究機関間の調整及びフランスにとって優先事項であると判断された分野における研究の促進
○技術研究基金:革新的な企業の設立を促進しながら,経済の現実のニーズに応えるための共同研究プロジェクトを推進するため,研究機関と企業とを結集したテーマごとのネットワークの整備

2)科学技術関係予算の概要

科学技術関係予算は,以下の3点を重点事項として,1999年度予算では民生研究開発予算を539億1,500万フランと対前年度比で1.6%増加させている(政府総予算額は対前年度比2.3%増)。

○優先分野の研究の促進及び産学官のネットワークの整備のため,国家科学基金(FNS)(5億フラン)を創設し,技術研究基金(FR T)(6億7千万フラン)の運用を改善する。
○ライフサイエンス関連(対前年度比3.3%増),環境関連(対前年度比4.3%増),情報関連(対前年度比2.8%増)の公的研究機関で高い伸びを確保するなど,基礎研究資金の確保(対前年度比2.3%増)を図った。
○革新的な企業設立を促進させるための操業資金を確保(2億フラン)し,産官学連携を促進させるための技術革新に対する援助の強化を図った。

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