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  付属資料
3.  主要先進諸国の科学技術政策の動向
(2)  イギリス


1)基本政策

イギリスの基本的な科学技術政策は,1993年5月に発表された,「科学・工学・技術白書」(Realizing Our Potential:我々の潜在力の発現)に見出すことができる。本白書には,科学界,産業界,政府の間の相互理解を促進し,産業界と政府との連携により,イギリスの科学技術力の潜在力を競争力に結び付けていくべきであるとの認識が示されている。

○政府の基本戦略は,イギリスの科学・工学・技術の優位性を維持することにより国家の競争力及び生活の質を向上させることにある。このため,政府は以下のことを行う。

・科学・工学界,産業界,研究支援財団の間により強力なパートナーシップを築く。
・知識の進歩,理解の増進,高度に教育・訓練された人材養成のため,科学・工学ベースを支援する。
・イギリスの強さ,関心に従いながら,国際的な(特に欧州の)研究協力に貢献する。
・科学・工学についての公衆の理解増進を推進する。
・政府予算による研究の効率性・有効性を確保する。

○本戦略の進捗状況,イギリスの科学技術全般の状況を,「将来展望(ForwardLook)」(原則として毎年発行)で把握する。

2)「技術予測作業」(Technology Foresight Programme)の推進

白書の目的を達成させるために,今後10〜20年内の重要技術分野を選定し,科学技術投資の優先順付けを行った。また,技術開発以外の課題についても優先度付けを行っていることも特徴的である。

その結果,科学技術上の優先課題が27,またこれに関連するインフラ(科学技術振興基盤,基礎研究,金融,規制など)の優先課題が18抽出された。

詳細は「4. 主要先進諸国における重要技術の設定」において述べる。

3)基礎研究への投資

1998年7月,ブレアー政権が行ってきた政府全体にわたる包括的支出レビューの結論などにおいて,基礎研究への政府投資を1999会計年度から2002年度末までの3年間に14億ポンド(約2,200億円)追加することを発表した。(98会計年度の基礎研究予算は,23億ポンド(約3,600億円)であるから,約20%の増額に相当する。)

ブレアー首相は,「労働党政権は,科学が来る千年間のイギリス経済の基盤となると認識して現在の投資をするものである」と米国サイエンス誌(98年8月21日号)に寄せた投稿において説明している。(追加される14億ポンドの内訳は 付3-8図 のとおり。)

付3-8図 イギリスにおける基礎研究予算の増額計画

このうち,ライフサイエンス等の優先分野の新規プロジェクトに充てる4億ポンドの配分については,1998年10月に貿易産業省が「Allocation of the Science Budget」として発表している。各研究会議等への配分額は 付3-9表 のとおり。

研究会議への配分に係る額を,主にライフサイエンス関係の研究会議に配分されるものと,それ以外の研究会議に配分されるものを分けて見ると, 付3-9表 のとおりであり,ライフサイエンス関係の研究会議の予算がそれ以外の予算よりも高い伸び率となっている。ライフサイエンス以外に分類している工学・自然科学研究会議についても,主なプロジェクトとして,ライフサイエンスのための基礎的な科学(数学・物理学)の推進や,情報工学のライフサイエンスへの適用等が挙げられている。

付3-9表 イギリス研究会議の予算増額計画

技術予測の結果によると,ライフサイエンス分野の研究は,この分野においてイギリスが最先端の位置にいるということ,経済社会への還元が今後望める分野であるということから,優先度の高いものとして評価されており,中でも遺伝・分子生物工学分野は最優先分野の1つとして評価されている。

4)競争力向上における科学技術の重視

イギリスの知的活力,つまり科学技術力が今後の競争力強化の基盤になるという認識の下,イギリスの競争力を向上させて,「知識を原動力とする経済社会」(theknowlegedriveneconomy)に挑戦するために,1998年12月,競争力白書を発表した。

挑戦者として主役を務める企業とそれを支援する政府のそれそれが果たすべき役割等について以下のように取りまとめている。

○企業の果たすべき役割

・新しい製品・サービスの源になる,大学・研究機関で生まれる科学技術の知識の市場化。
・イギリスの大学及び研究機関にある科学技術の知識を産業の成功に転換する。
・他社,顧客,大学等との協力関係を築き,ネットワーク及び集合体を形成する。

〇政府の果たすべき役割

・科学,技能,革新的金融,情報通信といつた起業の促進,イノベーションを刺激する能力への投資。
・企業間の協力,共同作業を組み上げるための支援。
・市場の開放と近代化による競争の促進。


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