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  付属資料
2.  俯瞰型研究プロジェクトの推進と総合的な科学技術政策の樹立に向けて(日本学術会議会長特別談話)


平成11年1月20日

日本学術会議会長 吉川弘之

1.俯瞰型研究プロジェクトの推進

高度に進展した現代社会において学術の果たす役割は,極めて大きい。特に,21世紀に向けて深刻化することが予想される地球環境破壊,資源エネルギーの枯渇,食料の不足の問題などは,科学技術の成果を用いることなくしては解決不能である。

しかし,科学技術の成果は,社会に対し「貢献」と同時に「脅威」をももたらす。したがってあらかじめ「脅威」を回避できるような配慮が不可欠である。また,科学技術に対する社会的期待が背景にある限り国家的な投資は,社会に対し当該研究投資の多面的な成果についての説明責任を果たす必要がある。

このためには,新たな研究の様式の創出,すなわち,研究の目的の設定,進行により期待される効果などを,多面的かつ同時並行的に評価する俯瞰的な視点によって判断できるよう,その研究分野の科学者を主体としつつも,同時にその研究成果が関係する他の領域の科学者をも研究組織に含む「俯瞰型研究プロジェクト」が必要であり,その早期実施を提案する。

2.総合科学技術政策の樹立

一方,今日,我が国が困難な状況を乗り越え,次の時代を切り開いていくためには,国民の叡智を結集し様々な改革を進めていく以外に道はなく,こうした全般的改革は政治,行政の責務はもとより,人文社会科学を含む学術の果たす役割が大きいものと信じる。

したがって,我が国としては,より総合的な科学技術政策の樹立による適切な対応を迫られており,その意味で総合科学技術会議の早期開設の必要は多言を要しない。

だが,その設置・活動は2001年以降であり,その間に空白が生じないようにすることが必要である。今日我が国が抱える緊急の諸問題や国際的な課題に対応するためには,現時点ですでに総合科学技術会議設立の趣旨を実質的に実現するべく態勢を整え,1日でも早く一貫性のある理念や戦略に基づいた総合的な科学技術政策を立案し,その実施に取り組むべきである。この実質的実現の態勢を,既存の制度等を利用して早急に整えることを提案する。

3.上記に関連した日本学術会議の役割

日本学術会議は,全国の科学者の代表者によって構成され,あらゆる分野の研究連絡活動などを通じ,世界の科学者や国際学術団体,諸外国のアカデミー等との交流を図っており,我が国の科学技術政策の立案等に役立つ様々な学術的知見を提供できる独特の機関である。

日本学術会議としては,このような特徴を生かし,上述の「俯瞰型研究プロジェクト」の実施や総合的な科学技術政策の立案等に当たって,研究や開発の現場の科学者の視点から,政策立案機関に対して相互補完の関係を保ちつつ,問題解決のために貢献することを決意する。


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