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第3部  科学技術の振興に関して講じた施策
第3章  研究活動の推進
第3節  組織別の研究活動



1. 国立試験研究機関等における研究活動

国立試験研究機関等(国土地理院,海上保安庁水路部等を含む。)は,各省庁に附属してそれぞれ固有の研究活動を推進している。平成10年度のこれら機関における試験研究費,人件費,施設費などを含めた総経費(国立試験研究機関等経費)は,4,417億円となっている。これらの機関における科学技術振興費関係の総定員数は,14,243人(うち研究職9,504人)で前年度に比べ45人減少(うち研究職4人の増員)している。


○国立試験研究機関における基礎的研究の推進方策

21世紀に向けて,より豊かな社会を構築し,国際社会に積極的に貢献していくためには,創造性豊かな科学技術の振興,特に創造的な基礎的研究の充実・強化が重要である。基礎的研究の推進については,大学等とともに国立試験研究機関に期待するところが極めて大きい。

このため,科学技術庁においては,科学技術会議の方針に沿い,科学技術振興調整費の活用により,下記の施策を推進している。

・国立試験研究機関において,革新的技術シーズの創出の基礎となる基礎的研究の強化を図る重点基礎研究(昭和60年創設)
・省庁の枠を越え,かつ国際的にも研究者を結集することにより研究推進の効果が期待される基礎的・先導的研究を推進する省際基礎研究(昭和63年度創設)
・世界の優れた研究者が集まる研究環境を有し,優れた研究成果を世界に発信する「中核的研究拠点(COE)」を国立試験研究機関等を対象に育成するCOE育成(平成5年度創設)
・柔軟かつ競争的で開かれた研究開発環境を整備するため,国立試験研究機関において任期制を活用した集中的な研究を推進する流動促進研究制度(平成9年度創設)

また,若手研究者を国立試験研究機関等に派遣し,その活性化を図る科学技術特別研究員制度を実施している。


2. 特殊法人における研究活動

特殊法人における研究活動は,主として政府からの出資金,補助金及び民間からの出資金などによって進められており,国立試験研究機関と並んで政府の研究活動の一環として大きな役割を果たしている。特殊法人は,国又は民間などから広く人材を結集し得ること,弾力的な運営が可能であること,民間資金の導入が可能であることなどから,目的指向的な研究開発などを効率的に推進するのに適しており,研究開発が大規模化,複雑化し,これに対応して総合的な取組が必要とされる今田において,その果たす役割は大きい。研究開発を行っている主な特殊法人の目的及び業務は 第3-3-22表 に示すとおりである。

第3-3-22表 研究開発を行っている主な特殊法人の概要



3. 大学等における研究活動

科学技術振興の中核・基盤となる学術研究は,研究者の自由な発想と研究意欲を源泉として創造性豊かな新しい知見を生み出すことを本質としている。大学等は,学術研究の中心として,我が国の学問的基盤の確保と水準の向上を図ることを基本的な使命の一つとしている。その主な特色は,人文科学,社会科学及び自然科学の広範な領域にわたる学問の発展を目指していること,研究者の自主性の尊重がその発展にとって不可欠であること,研究と教育が総合的に推進されていることなどである。


(1) 大学等の研究機関

大学等の研究は,学部・大学院研究科のほか,大学に附置されている研究所,学内の共同利用あるいは特定の学部に附属する研究施設など大学内の各種の研究組織に加え,特定の大学に属さず国公私立大学等の研究者の共同利用に供するために設置された大学共同利用機関を中心に進められている。

これらのうち,大学に附置されている研究所においては,それぞれ特定分野における特色ある研究が推進されている。例えば,国立大学においては,東北大学金属材料研究所,東京大学宇宙線研究所,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所など62の研究所が設置されている。

また,大学共同利用機関については,宇宙科学研究所,国立天文台,核融合科学研究所,国立民族学博物館など16の研究所が設置されている。さらに,公私立大学においては,研究所・研究施設等が約600程度設置され研究が推進されている。

これら大学等の研究を推進するため,文部省では,大きく分類すると,基盤的研究環境を整備し,基礎的研究活動を支えるための基盤的資金と,適切な審査・評価に基づいて選択的に配分される科学研究費補助金,未来開拓学術研究推進事業による研究費等の競争的資金の確保に努めている。

このうち,経常的な研究費は,研究者の自由な発想に基づく研究を支えるためのものであり,国立大学においては,教職員の人件費のほか,教官当積算校費,教官研究旅費などの経費が積算されている。また,私立大学に対しては,経常費補助や教育研究装置補助等により,人件費を始め教育研究活動全般に対する助成措置がとられている。


(2) 科学研究費補助金による学術研究の推進

科学研究費補助金は,あらゆる分野の優れた学術研究を格段に発展させることを目的とする研究助成費として,我が国の研究基盤を形成していくための基幹的経費である。これまで,数多くの創造的,革新的な知見を生み出し,優れた研究者を育て,新しい研究領域を開拓するなど,大きな成果をあげてきた。この補助金は,研究者の多様なニーズに応えるため,研究の目的・性格等に応じ, 第3-3-23表 のような申請区分を設けており,学術審議会の審査を経て配分される。平成10年度の予算額は,1,179億円(対前年度比57億円,5.1%増)となっており,申請課題数は約10万3,000件,採択課題数は約4万2,000件である。

この制度については,国内外の研究動向等を踏まえて改善を図っており,平成10年度には研究種目「重点領域研究」を廃止し,我が国の学術研究分野の水準向上・強化につながる研究領域や,環境問題,難病克服などの地球規模での取組が必要な領域の研究の一層の発展を目指した「特定領域研究」を新たに創設した。また,評価については,従来から審査段階における厳正な評価に加え,学術審議会による中間・事後評価が実施されてきているが,その評価結果の開示を進めるなど,制度の充実・改善を図っている。

第3-3-23表 科学研究費の研究種目


(3) 未来開拓学術研究推進事業

文部省においては,平成8年度から,日本学術振興会への出資制度を設け,知的資産の形成が期待される先見性を持つ創造性に富んだ研究を重点的に推進する「未来開拓学術研究推進事業」を実施している。この事業は,日本学術振興会が大学等に委託する等の方法で応用的な学術研究を行うものであり,大学等の学術研究機関における研究者が中心となり,必要に応じて産業界等との協力を得て,大学主導の研究を実施している。また,ポストドクター段階の若手研究者をリサーチ・アソシエイトとして研究に参加させ,研究を推進すると同時に若手研究者の育成を図っている。

事業の実施に当たっては,同会に置かれる事業委員会が研究分野や研究プロジェクト外の選定等を行っている。さらに,事業委員会の下に置かれている研究推進委員会等は,研究プロジェクト推進のための指導・助言等に当たっている。

各研究プロジェクトは原則5年間であるが,研究開始後2年経過時に中間評価を行い,さらに,5年経過時には最終評価(事後評価)を行うこととしている。

研究費は,1ブロジェクト当たり年間平均約1億円であり,平成10年度においては,新たに4研究分野,27研究プロジェクトを選定し,継続分と合わせて計30研究分野,233研究プロジェクトを実施している。


(4) 特別研究員制度による若手研究者の養成・確保

学術研究は,基本的には,個々の研究者の自由な発想と研究意欲を源泉とし,優れた研究者の存在があって初めて期待できるものである。将来の学術研究の水準は,研究遂行の主体である研究者をどのように養成・確保するかにかかっている。特に,将来の研究の中核となることが期待される若手研究者の多くは,現在の研究の重要な担い手でもあり,柔軟な発想により,研究の新しい展開を生み出す可能性を持っている。したがって,学術研究の基盤の強化とその発展を図るためには,次代を担う独創的で優れた若手研究者を養成・確保していくことが重要である。

このような認識の下,平成8年7月に閣議決定された科学技術基本計画には,ポストドクター(博士課程修了者)等の若手研究者を約1万人支援する「ポストドクター等1万人支援計画」を12年度までに達成することが盛り込まれており,10年度においては,文部省,科学技術庁,厚生省,農林水産省及び通商産業省において対前年度1,646人増の9,811人(補正予算分を含む)のポストドクター等を支援することとしている。このうち,文部省では,全体の7割以上に当たる6,898人(対前年度1,197人増,補正予算分を含む)を支援することとしており,「ポストドクター等1万人支援計画」の推進において大きな役割を果たしている。

文部省では,以下の事業を「ポストドクター等1万人支援計画」に位置付け,その推進を図っている。

1)日本学術振興会特別研究員

大学その他の研究機関で研究に専念することを希望する博士課程在学者,修了者を2年間又は3年間採用して,研究奨励金及び研究費を支給している。本制度は,創設以来,我が国の学術研究を支える若手研究者の養成・確保のための基幹的な施策として定着し,高く評価されている。

平成10年度においては,博士課程在学者を対象とする特別研究員(DC)及び博士課程修了者を対象者とする特別研究員(PD)を合わせて4,420人(対前年度850人増,補正予算分を含む)を支援することとしている。

2)日本学術振興会海外特別研究員

我が国の若手研究者を対象として,滞在費・研究費等を支給し,海外における特定の大学等学術研究機関において長期間研究に専念させ,国際的視野に富む有能な研究者を養成するため,平成10年度においては,160人(対前年度35人増,補正予算分を含む)を支援することとしている。

3)日本学術振興会外国人特別研究員

博士号取得直後の外国人若手研究者に滞在費等を支給し,我が国の大学等に受け入れて,当該国の研究者養成に貢献すると同時に,これら外国人研究者との交流を通じて我が国の若手研究者を養成するため,平成10年度において735人(対前年度55人増)を支援することとしている。

4)未来開拓学術研究推進事業におけるリサーチ・アソシエイト

日本学術振興会の未来開拓学術研究推進制度の研究プロジエクトに,博士課程修了の若手研究者を研究実施機関が雇用し,参画させるもので,平成10年度おいては718人(対前年度78人増)を見込んでいる。

5)非常勤研究員制度

国立大学や大学共同利用機関が行う研究プロジェクト等に,ボストドクター段階の若手研究者を非常勤研究員として参画させ,当該ブロジェクト等の円滑な遂行に役立てるとともに,研究者としての資質向上等,若手研究者の養成・確保を図るもので,平成10年度においては635人(対前年度149人増,補正予算分を含む)を支援することとしている。

また,国立大学大学院における,ベンチャービジネスの萌芽となる独創的な研究開発の推進などを目的とする「ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(VBL)」において,平成10年度は230人(対前年度30人増)を支援することとしている。


(5) 研究支援体制の整備

新たな研究開発等を推進し,質の高い知的財産を形成するためには,最先端の研究を支える創造性豊かな研究者の養成・確保とともに,多様な制度の充実による研究支援体制の整備が不可欠である。

このため,国立大学や大学共同利用機関が行う研究プロジェクト等への,大学院博士後期課程在学者のリサーチ・アシスタント(RA)としての参加,特殊技能保有者の研究支援推進員としての参加,大学院博士後期課程修了者の非常勤研究員としての参加を推進し,研究支援体制の充実・強化を図るための事業を平成8年度から開拓しており,平成10年度においても,その拡充に努めている。


(6) 社会との協力・連携の推進

文部省では,大学と産業界等との研究協力の推進に努めているが,近時,大学に寄せられている各方面からの強い要請に応えるため,学識経験者による調査研究協力者会議を開き,その方策について検討を進め,平成9年3月と10年3月にそれぞれ検討のまとめが文部省に対して報告された。

これを受けて,平成9年度には,共同研究の場を企業へ拡大するとともに,兼業の範囲を拡大するなど,主として人的交流の促進を図る観点からの規制緩和を行っている。

また,大学等の研究成果の産業界への効率的移転の促進を図ることを目的とした「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」及び共同研究を促進するため,民間等が国立大学や国立試験研究機関の敷地内に共同研究施設を建てる場合の土地の使用料を低く定めることを可能にする「研究交流促進法の一部を改正する法律」の2法律が平成10年8月に施行された。併せて文部省関係研究交流促進法施行規則も改正したほか,8月始めには「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」に基づく実施指針が告示された。

平成11年3月31日現在,4つの技術移転機関が支援措置を受けることができる対象として,承認された。平成10年12月4日,株式会社先端科学技術インキュベーションセンター(東京大学),関西ティー・エル・オー株式会社(京都大学・立命館大学等),株式会社東北テクノアーチ(東北大学),学校法人日本大学に対して,大学等技術移転促進法に基づき,通商産業省・文部省両省による初の承認を行ったところであり,その他の大学でも学内外の様々な形態・レベルでの検討が進められている。

また,国有地の廉価使用措置についても,改正法に基づく施設として,北海道大学の構内に平成10年度末から,(財)北海道地域技術振興センターが共同研究施設の建設を進めている。

昭和58年度に発足した「民間等との共同研究」については,大学内外の研究者の関心が高く,材料開発,機器開発,土木・建築等の分野を中心に平成8年度には2,362件の共同研究が実施された。また,このような共同研究をはじめとする産業界等との研究協力をより積極的に推進するための場として,昭和62年度から国立大学に「共同研究センター」の整備を進めており,これまでに43都道府県で52の国立大学に設置している。平成10年度には,リエゾン機能を有した新しいタイプのセンターを東北大学及び東京工業大学に設置した。こうした取組を促進するため,大学等と民間企業との共同研究について,相手方民間企業が負担した一定の試験研究費の6%相当額が法人税から控除される制度が平成7年度から実施されている。このほか,国立大学等での受託研究及び受託研究員の受入れの推進などによる民間等の研究者の積極的な参加の促進,さらには日本学術振興会における総合研究連絡会議等産学協力事業の充実を図っている。

文部省では,来る21世紀における経済社会が,大学の知的資源を核として構築されることを目指し,今後とも,諸施策の改善・充実を図ることとしている。


(7) 学術研究の国際交流の推進

学術研究は,真理の探求を目指す普遍的な知的活動であり,その発展のためには国境を越えた研究者の自由な交流・協力が必要不可欠である。

また,資源・エネルギー問題,地球環境問題のように全地球的な立場から取り組む必要のある分野や,高エネルギー物理学,核融合研究等大型の設備・装置を必要とするため一国では対応し難い分野が増加しつつある。このような観点からも学術研究の国際交流の重要性が高まっている。このため,文部省では,日本学術振興会の事業である外国人特別研究員制度等による諸外国の研究者招へい及び外国人研究者受入れのための条件や体制の整備・充実,我が国の研究者の海外派遣,諸外国との共同研究等を行うことによって学術研究の国際交流を推進している。このほかにも,特定の国との政府間協定及び取極並びに機関間取り決めに基づく大型の国際共同研究のほか,国際科学会議(ICSU)や国連教育科学文化機関(UNESCO)等の国際機関等が提唱する多国間協力事業への参加,日本学術振興会の行っているアジア諸国等との拠点大学方式による交流などにより多様な国際共同研究が実施されている。


(8) 学術審議会の答申及び建議

平成4年7月,学術審議会から「21世紀を展望した学術研究の総合的推進方策について」答申が行われた。これに沿い,平成6年7月には,近年の学術研究の国際交流の必要性と重要性が増加しつつある状況に対応するため,「学術国際交流の推進について」を,平成7年4月には,総合的・学際的な地球環境科学の推進のため,中核的研究機関の設置などを提言した「地球環境科学の推進について」を,同年7月には,「卓越した研究拠点(センター・オブ・エクセレンス)の形成について」を,平成8年7月には,大学図書館資料の電子化の推進等を提言した「大学図書館における電子図書館的機能の充実・強化について」,特別研究員制度の拡充等に言及した「21世紀に向けての研究者の養成・確保について」を建議として取りまとめた。

平成9年12月には,学術研究における評価の基本的考え方,研究課題の評価の在り方,研究面における大学等の評価の在り方について提言した「学術研究における評価の在り方について」を平成10年1月には,中核的な研究機関の創設,人材の養成,研究費の充実等,情報に関する研究分野の推進方策について提言した「情報学研究の推進方策について」を建議として取りまとめた。

文部省では,これらの答申・建議等を踏まえ,我が国の学術研究基盤の計画的・重点的な整備を図るとともに,学術研究の進展に柔軟に対応できる,世界に開かれた学術研究体制の整備を図るため,研究費の充実,大学の研究施設・設備の改善,若手研究者の養成・確保,基礎研究の重点的推進,卓越した研究拠点(COE)の形成,研究評価の充実,学術情報基盤の整備充実など,総合的な施策を積極的に展開している。

平成10年1月には,科学技術基本計画の策定,政府の行財政改革の推進や大学改革の進展など,平成4年の答申後における学術研究を取り巻く状況の変化に対応すべく,「科学技術創造立国を目指す我が国の学術研究の総合的推進について」諮問を行った。学術審議会は,研究活動全般を視野に入れた学術研究の位置付けや科学技術発展の基盤としての学術研究の役割等について審議を行っており,平成11年夏頃を目途に答申を行うこととしている。


4. 日本学術会議の活動

我が国科学者の代表機関である「日本学術会議」は,1999年(平成11年)1月,創立50周年を迎えた。現在の第17期(平成9年7月〜12年7月)においては,

1.多数の領域を擁する学術全体を俯瞰的に見る視点の重視
2.行動規範の根拠を提供する開いた学術の構築
3.本会議の国内外における能動的活動の推進

の3つの基本的方向の下に,精力的な審議を行うとともに,科学の能率向上を図るための研究活動等を行っている。

(審議活動等)

日本学術会議は,平成10年5月,本会議の基礎研究関連の多くの研究連絡委員会からの報告に基づいて調査を行った結果,大学等基礎研究関連機関予算において,施設・設備経費などの大幅な削減が継続することは適当でないとの観点から,「大学等基盤研究施設・設備経費の確保について」会長談話を公表し,関係方面の理解と配慮を求めた。

また,平成10年6月,今般の行政改革において国立試験研究機関の独立行政法人化等の提言がなされたことを踏まえ,「国立試験研究機関の見直しについて」会長談話を公表し,国立試験研究機関の果たす学術研究上の役割の大きさにかんがみ,今後,関係する科学者の意思が十分尊重され,学術研究の創造性が損なわれないようにするとともに,中核的研究拠点(COE)の形成が妨げられることがないよう関係方面の理解と配慮を求めた。

更に,平成10年12月,技術者教育の認定制度及び技術者資格問題に関し,会長談話を公表し,技術者には,社会的に認知された資格が必要であり,また,国際的に通用する水準の高い教育を実施していることを専門教育プログラムごとに認定する制度が必要であることを表明した。

また,平成11年1月,創立50周年を迎えての会長特別談話を「俯瞰型研究プロジェクトの推進と総合的な科学技術政策の樹立に向けて」として公表し,1)科学技術の成果の社会への「脅威」の側面をあらかじめ回避し,研究投資の多面的成果についての社会への説明責任を果たすための新たな研究様式の創出として,関係する他の領域の科学者をも研究組織に含む「俯瞰型研究プロジェクト」の提示,及び2)我が国が抱える緊急の諸問題や国際な課題に対応するためには,平成13年の総合科学技術会議の創設の趣旨を1日も早く実質的に実現し,一貫性のある理念や戦略に基づいた総合的な科学技術政策の立案,実施,が急務であるとの提言を行うとともに,日本学術会議として研究や開発の現場の科学者の視点から,政策立案機関に対して相互補完の関係を保ちつつ,問題解決のために貢献していく決意を表明した(付属資料参照)。

また,日本学術会議は,このほかその審議結果を以下のような対外報告として公表している。

・平成10年10月,「天文学関連分野における国際共同観測事業等の支援体制の整備について」(天文学研究連絡委員会天文学国際共同観測専門委員会)
・同年10月,「我が国の測地基準系の改訂について」(測地学研究連絡委員会)
・同年11月,「21世紀に向けた原子力の研究開発について」(原子力工学研究連絡委員会,核科学総合研究連絡委員会,エネルギー・資源工学研究連絡委員会核工学専門委員会)
・平成11年2月,「21世紀を展望したエネルギーに係る研究開発・教育について」(社会・産業・エネルギー研究連絡委員会)

(国際学術交流等)

日本学術会議は,多くの国際学術団体に我が国を代表して参加し,国際的な学術協力事業等に,積極的に対応するとともに,諸外国との連携に努めている。

1931年(昭和6年)に設立され,日本学術会議もメンバーである非政府,非営利の国際学術組織,国際学術連合会議(International Council of Scientific Unions)は,1998年(平成10年)4月の臨時総会において,科学の社会への発展への貢献を強化することなどを重点に改革等を行い,名称が国際科学会議(The International Council for Science)に変更された(略称はICSUのまま)。

1999年(平成11年)3月,東京でアジア10カ国の参加を得て開催した第6回アジア学術会議では,「人口と環境〜持続的発展に不可欠なアジアの役割」をテーマに,″学術シンポジウムを行うとともに,後述するインターアカデミーパネル(IAP)2000年会議に向け,提言を作成すること,Science Council of Asia(SCA)の結成に進むこと等について合意がなされた。

平成2年の日本学術会議の勧告「地球圏-生物圏国際協同研究計画(IGBP)の実施について」に基づき,政府が参加を決定した同研究計画に関して,地球環境問題への国際的な対処の必要性から2000年(平成12年)以降も継続的な国際協力事業を実施し,科学的成果の統合と,グローバルな変化と地域的変化の関連に関する研究の促進について,我が国も積極的に参画すべきとの趣旨の勧告を,平成11年4月に内閣総理大臣に対して行った。

なお,IGBP(事務局:スウェーデン科学アカデミー)は,平成11年5月,神奈川県において,これまでの研究成果をまとめるための全体会議を日本学術会議の主催により開催する予定である。

日本学術会議は,平成8年9月に,日本の科学アカデミーとして,平成7年に,世界の科学アカデミーのフォーラムとして設立され,勧告や情報を政府や国際機関に提供し,国際問題に対し,科学的側面から公に意見することを目的としているインターアカデミーパネル(IAP)に参加したが,IAPが平成12年5月に予定している21世紀において人類が実現しなければならない持続的発展への移行に向けて,全世界の科学者の意見をグローバルに提言するための国際会議IAP2000年会議について,21世紀の世界的課題に対する日本の科学者の貢献を世界にアピールする重要な機会であるとして,開催国として立候補し,1998年(平成10年)4月,日本開催が決定した。

このほか,日本学術会議では,平成10年度において,閣議了解を踏まえ,8件の学術国際会議を開催している。


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