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第3部  科学技術の振興に関して講じた施策
第2章  総合的かつ計画的な施策の展開
第8節  科学技術に関する学習の振興及び理解の増進と関心の喚起



1. 学校教育における理科教育・技術教育の充実

我が国のこれまでの社会経済の発展は,科学技術に支えられてきたところが大きいが,その中で理科教育及び技術教育の果たしてきた役割は極めて大きく,その一層の充実に努める必要がある。

理科教育については,さらに,新学習指導要領(小・中学校は平成10年12月,高等学校は平成11年3月に改訂)において,見通しをもって観察,実験を行い,自然に対する興味・関心,知的好奇心を高めること,科学的に調べる能力や問題解決能力を育成すること,自然体験や日常生活と関連付けて科学的な見方や考え方を育てること,などに留意して改善を図ったところである。また,理科教育の一層の充実を図るため,講習会の開催や指導資料の刊行に加え,理科教育設備基準に基づき,学校や教育センターにおける実験用機器をはじめとした理科教育設備の計画的な整備・充実を進めている。さらに,児童生徒の科学的な体験学習活動を促進するための科学学習センターの整備を進めている。

一方,技術教育についても,実践的・体験的な学習の一層の充実を図るとともに,科学技術の高度化,情報化などの社会や経済の変化に適切に対応する観点から高等学校の学習指導要領の改訂を行ったほか,産業教育施設・設備の計画的な整備・充実を進めている。

また,都道府県が研究者や技術者など教員免許状を持たない者を特別非常勤講師として公立小中学校に配置して,児童生徒が専門家から直接学習する機会の拡充を図っている。


2. 科学技術に親しむ多様な機会の提供

21世紀に向かい,豊かで活力ある社会を築いていくためには,人々が生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができ,その成果が適切に評価される「生涯学習社会」の構築を目指していくことが重要であるとされている。特に科学技術については,その急速な進展・高度化に伴い,人々が絶えず新しい知識・技術を習得することが必要になっており,学習機会の増大を図ることが重要である。

このため,文部省では,科学系博物館の機能の充実と有効利用の促進を図るため,博物館と学校,関係機関等が連携協力して,多様な事業をモデル的に実施し,その成果を全国に普及する事業を行っている。また,従来より,・学芸員等博物館職員の資質向上を図るため,自然科学系博物館等に勤務する学芸員等を対象として専門研修を実施するとともに,博物館や少年自然の家等がもつ専門的機能や立地条件等を活用した,青少年に対する科学教室等の特別事業の研究開発を行った。さらに,大学等における科学技術に関する公開講座の拡充や,テレビ・ラジオを活用して科学技術に関する授業を開講している放送大学の全国化の推進を図るとともに,青少年や一般社会人を対象として最新の研究動向等を普及啓もうするために開催するシンポジウムや学術講演会の開催の助成を行った。

(普及啓発)

科学技術の振興を図るに当たっては,国民一般の理解と協力を得るとともに,時代を担う青少年に科学技術,その歴史的積み重ね及び社会的役割の重要性の認識を支援し,科学する心をかん養していくことが重要である。

このため,科学技術庁では,平成10年度において,テレビ・ラジオ番組の企画,制作及び放送,映画CMの企画,制作及び配布,定期刊行物の発行,各種セミナーの開催等普及啓発活動を実施した。特に39回目を迎えた「科学技術週間」,35回目を迎えた「原子力の日)の科学技術関係記念期間には,関係機関の協力を得て各種行事を全国的規模で実施した。このほか,政府広報を通じて,テレビ・ラジオ番組等を活用した広報を行った。

文部省では,科学系博物館と学校,関係機関等が連携・協力した様々なモデル事業や,また,従来から,学芸員等博物館職員の資質向上を図るため,自然科学系博物館等に勤務する学芸員等を対象とした専門研修を実施するとともに,博物館や少年自然の家において,青少年に対する科学教室等の事業の研究開発を行った。さらに,大学等における科学技術に関する公開講座の開設や,テレビ・ラジオを活用して科学技術に関する授業を開講している放送大学の整備・充実を図るとともに,青少年や一般社会人を対象として最新の研究動向等を普及啓発するシンポジウムや学術講演会の開催に対する助成を行っている。

国立科学博物館においては,青少年や家族等を対象に科学教室や野外観察会を行うなど,科学技術等についての理解を深める教育普及活動を行っている。また,青少年の科学的素養を育成するため,実物標本を用いた展示に重点を置いた新しい参加体験型・探求型展示施設である「新館」の整備を進めており,平成11年春には開館することになっている。

農林水産省においては,つくばリサーチギャラリーを設置して,農林水産技術の最新の成果等を展示し,普及啓発に努めるとともに,森林総合研究所に多摩森林科学園を設置して森林科学についての展示を行っている。

また,バイオテクノロジーの定着を図る上で不可欠な国民の理解の醸成のため,農林水産省では,農林水産・食品分野のバイオテクノロジー及び遺伝子組換え農作物についての解説パンフレットを作成するとともに,平成7年度からバイオテクノロジーPA対策事業を開始しており,平成10年度には,福岡市において一般市民を対象としたフォーラムを開催したほか,つくば,九州(九州農業試験場)及び東海(野菜・茶業試験場)において対象別体験研修等を実施した。

通商産業省においては,若者の産業技術に対する関心の低下や理工系離れに対処するため,平成5年度から,産業技術を評価し,保存して,次代を担う若者に継承していくための活動として,産業技術のイノベーションに係る実態調査等を行うなど,産業技術の継承活動を展開している。また,この一環として,平成9年8月に産学官の初めての連携事業として開催された「産業技術歴史展テクノフェスタ21」を支持した。さらに,平成5年度より,21世紀を担う若い世代に化学技術を承継する活動として,大学化学実験等の「夢化学21」キャンペーン事業を支援した。

科学技術の振興を図るためには,これらの普及啓発活動に加え,発明の奨励,科学技術に関する功労者の表彰などを通じて研究開発意欲の高揚を図ることが効果的である。

このため,科学技術庁では,自主技術開発の萌芽となる優れた発明を「注目発明」として選定し,公表することにより,研究開発の優れた成果を一般に広く周知させるとともに研究者の意欲の向上を図っている。

平成10年度は,「第57回注目発明」として99件の発明を選定し,公表した。

また,科学技術庁では,我が国の科学技術に関し最近顕著な功績を上げた者を科学技術功労者として表彰(平成10年度33名)するほか,優れた研究成果を上げた研究者を研究功績者として(同年度38名),優れた創意工夫によって各職域における科学技術の考案,改良等に貢献した勤労者を創意工夫功労者として(同年度772名),小中学生の創意工夫の育成に顕著な成果を上げた学校を創意工夫育成功労学校として(同年度36校),科学技術に関して優れた振興上の業績を上げた者を科学技術振興功績者として(同年度39名),科学技術の普及啓発に尽力し優れた成果を上げた者を科学技術普及啓発功労者として(同年度4名),また,原子力の安全確保,核物質管理に関し優れた成果を上げた者をそれぞれ原子力安全功労者,核物質管理功労者として(同年度20名,2名),放射線の安全確保に関し優れた成果を上げた者を放射線安全管理功労者として(同年度17名,2事業所)表彰している。


3. 科学技術に関する理解の増進と関心の喚起

科学技術庁では,青少年の科学的創造力の育成を図るため,また青少年が2泊3日の合宿を通して研究者,技術者等から直接講義を受けたり,研究現場等を実体験する「サイエンスキャンプ」の実施及び科学実験やモノ作りを通して,青少年に科学技術の原理・現象の面白さを実体験させるためのノウハウの各地の科学館への提供を行ったほか,地方公共団体の行う,青少年が先端的な科学技術を実際に体験する工作・実験室を持つ,地域における科学技術理解増進活動の中心的な役割を担う「先端科学技術体験センター」の整備に対する支援を行った。

科学技術振興事業団(JST)においては,青少年の科学技術に対する興味・関心を高めるため,最新のコンピュータ技術によって仮想的に科学技術を体験する「バーチャル科学館」の開発やモデル科学館を定めて大型映像機器等の整備活用を支援する「科学館マルチメディア活用モデル事業」の推進を行っている。また,科学館等における展示物が青少年にとって魅力的なものになるよう,広くアイディアを募集し,試作・展示する事業や,科学技術の実験に精通した人材を「サイエンス・レンジャー」として登録し,学校や科学館等の要請を受け,科学技術実験教室に実験メニューとともに派遣する事業や,著名な科学者が青少年に最先端の科学技術を紹介する「JST科学技術講話」を実施している。

科学技術に関する国民の理解と関心を深め,我が国の科学技術の振興を図るために,毎年4月に行われる科学技術週間において,平成10年度は科学技術関係機関等の協力によりは全国各地の研究施設,科学館等で「施設の一般公開」,「科学技術実験教室」,「講演会」など約700件のイベントが開催された。

また,国際的ロボット競技会「ロボリンピック(仮称)」の開催地決定等準備を進めている。

大学等においても,文部省国立天文台において青少年を含む一般市民を対象に直径50cmの社会教育用望遠鏡を用いた「天体観望会」を毎月2回実施したり,文部省宇宙科学研究所では市民と研究者との対話を重視した「宇宙学校」を年3回開催するなど,一般公開や展示等に各機関が工夫を凝らして,社会に開かれた大学・研究所づくりを推進している。

平成11年度において,科学技術庁及び文部省による科学技術の理解増進に係る主な連携施策を 第3-2-46表 に示す。また,科学技術理解増進関連予算額の推移及びサイエンスキャンプへの参加機関及び参加者数の推移を 第3-2-47 , 48図 に示す。

第3-2-46表 科学技術の理解増進に係る科学技術庁と文部省との 主な連携施策について

第3-2-47図 科学技術理解増進関連予算の推移

第3-2-48図 サイエンスキャンプへの参加機関及び参加者数


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