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第3部  科学技術の振興に関して講じた施策
第2章  総合的かつ計画的な施策の展開
第7節  地域における科学技術の振興


産業の空洞化への懸念が増大している中で,地域産業の活性化や地域住民の生活の質の向上などを図るため,地域における科学技術振興の必要性が増している。

このような状況の下,今後の我が国の科学技術政策に基本的枠組みを与えるものとして,平成7年11月に成立した「科学技術基本法」に,科学技術振興に関する地方公共団体の責務,施策の策定及び実施が盛り込まれた。

平成8年7月に策定された「科学技術基本計画」においても,地域における科学技術の振興は,重要事項として位置付けられ,平成7年12月に内閣総理大臣決定された「地域における科学技術活動の活性化に関する基本指針」に基づき,地域における産学官等の連携・交流等を促進することとされている。

このように地域における科学技術振興の重要性が高まる中,都道府県においても科学技術振興策を審議する審議会等を設置するとともに,独自の科学技術政策大綱や指針等を策定するなど科学技術振興への積極的な取組がなされている( 第3-2-40表 第3-2-41表 )。

第3-2-40表地方公共団体における科学技術審議会等の設置状況


第3-2-41表 地方公共団体における科学技術振興指針等の策定状況

また,近年,多くの自治体で公設試験研究機関の再編・整備を行う動きが見られ,研究開発機能の強化が図られるとともに,その組織体制,運営面での見直しが進められている。さらに,研究開発支援,研究交流の推進を目的とした公益法人,第三セクター等についても機能の強化が図られ,それらの機関が地域の研究開発を促進するための中核的な機関となり,産学官共同研究のコーディネートを行うなど自治体が行う科学技術振興の重要な担い手となりつつある。


1. 地域における科学技術の振興を図るための国の施策等

ここでは,科学技術基本計画に基づき,国が実施している地域における科学技術振興を支援する諸施策を中心に概観する。

地域における科学技術の振興を図るため,関係省庁で様々な施策等が講じられている( 第3-2-42表 )。以下,その主なものを紹介する。


(1) 研究制度等

地域のニーズや特性を活かした基礎的・先導的研究開発を展開するため,産学官の連携・交流を促進することが重要であることから,多様な研究制度を整備するとともに,研究開発のコーディネート機能を強化する必要がある。そのため,各省庁において,次の研究制度等を実施している。

(科学技術庁)

平成2年度から,科学技術振興調整費を活用し,地域中核オーガナイザーの下,地域の産学官の研究機関に地域内外の優れた研究者を結集し,地域の特性を活かした,地域の活性化や住民生活の質の向上に資する研究を行う地域流動研究(平成4年度に生活・地域流動研究と改称)を実施してきた。平成7年度からは,同制度をさらに発展させ,地域社会や生活者ニーズに密接に関連した研究開発を推進するため,国・自治体等の研究ポテンシャルを活かし,生活の質の向上及び地域の発展に資する目的指向的な研究開発を総合的に推進する生活・社会基盤研究制度として実施している。

第3-2-42表 地域科学技術の振興に関する主要な施策

平成8年度から,地域の研究開発促進拠点において,国立及び公設試験研究機関,大学,民間の研究機関間の研究コーディネート機能の充実を図ることにより,地域における科学技術の振興を支援する地域研究開発促進拠点支援事業を実施している。

さらに,平成9年度から,国として推進すべき重点研究領域に沿うとともに,地域独自の研究領域において,国と地域の共同により,科学技術セクターのポテンシャルを人的・組織的に結合させることによるネットワーク型地域COEの形成を推進する地域結集型共同研究事業を実施している。

海洋科学技術センターでは,昭和63年度から平成9年度までの間,地域における海洋科学技術の振興や普及及び海域の利用の促進を図るため,都道府県等と共同で研究開発を実施する地域共同研究開発事業を展開してきた。平成10年度からは,沿岸環境・利用の研究開発を海洋科学技術センターが地域の協力を得ながら,実施している。

(環境庁)

平成5年度から,地域においてニーズが高く,地域環境の特性に応じた検討が必要な研究課題について,国立試験研究機関と公設試験研究機関との共同研究を行う地域密着型環境研究を実施している。

(文部省)

国立大学において,民間等との共同研究,受託研究を実施する場となるほか,企業等の技術者に対する高度技術研修や研究開発の技術相談を行い,産業界と連携・協力していく共同研究センターの整備を図っている。

この施策は,地域産業との連携,活性化に貢献しており,これまで,43都道府県で52の国立大学に設置している。平成10年度には,リエゾン(連絡・連携)機能を有し,新技術・新産業の創出を目指した新しいタイプのセンターを東北大学及び東京工業大学に設置した。

また,国立大学等において,社会との連携・協力の窓口となる事務組織である「研究協力部・研究協力課」の整備を順次進めている。

(農林水産省)

平成7年度からは,農業生産の現場に直結する技術開発を推進するため,国,都道府県,民間の研究勢力を結集して総合的な研究開発を実施している。

また,平成8年度から,地域産業の発展に資するバイオテクノロジー等先端技術の実用化研究の一層の推進を図るため,国立及び公設試験研究機関に加え大学・民間の研究開発能力も組み入れた産学官の共同研究として,地域先端技術共同研究開発促進事業を実施している。

(通商産業省)

昭和57年度から,地域のニーズに対応した,あるいは地域の研究開発ポテンシャルを活用した重要な研究開発課題について,工業技術院の研究所を中核とし,公設試験研究機関,民間企業等が一体となって研究開発に取り組む重要地域技術研究開発制度を実施している。

平成9年度からは,地域において産学官が共同研究体制(コンソーシアム)を組み,国立試験研究機関,大学等が蓄積してきた技術シーズと研究能力を活用しつつ新規産業創造のための技術開発を推進する地域コンソーシアム研究開発制度を実施している。

(郵政省)

平成9年度より,通信,放送分野における研究開発成果である基礎的な要素技術を組み合わせ,より高度な機能を持つ電気通信システムとして実現するため,自治体等が整備・提供する研究フィールドで研究開発を行う「研究成果展開事業」(マルチメディア・パイロットタウン構想)を展開している。

また,平成10年度から,地域における研究開発力の向上,地場産業の振興を図ることを目的として,地域のニーズに応じた研究開発課題を地域の産学官の研究共同体に公募し,委託研究を行う地域提案型研究開発制度を実施している。


(2) 研究施設の整備

地域独自の科学技術の振興を図る上で,研究施設等の基盤の整備が重要であることから,次の事業によって研究施設の整備を支援している。

(科学技術庁)

平成8年度から,地方公共団体が行う科学技術関係施設(粒子線高度がん治療促進研究施設,地震調査観測施設,先端科学技術体験センター,)の整備を支援する生活・地域科学技術研究施設整備事業を実施している。平成9年度からは,地域の特性を活かした,あるいは地域の研究ポテンシャルの高度化に資する先導・基盤的研究開発施設の整備についても支援している。


(3) 公設試験研究機関の研究開発・技術支援機関としての活動と機能の強化

地域産学の発展等につながる研究開発,技術支援等について,各省庁において公設試験研究開発を対象とした施策が行われている。概要は 第3-2-43表 のとおり。

第3-2-43表 公設試験研究機関の研究開発・技術支援機関としての 活動と機能の強化のための支援の概要


(4) 地域間の連携や各種交流

国と地方公共団体,地域間の連携や各種交流を図るため,次の施策等を論じている。

(地域科学技術振興会議)

科学技術庁では,地域における科学技術振興施策の一環として,地域科学技術振興会議を開催しており,平成10年度は福井県で実施している。本会議は,関係機関と産業界,学界をはじめとした各界の連携の機運を醸成し,地域における科学技術振興基盤の確立に資することを目的として,関係者が一堂に会し,国と地域の意志疎通や各地域間の情報交換,当該地域等における諸課題に関する検討を行っている。

((財)全日本地域研究交流協会における研究交流事業等)(財)全日本地域研究交流協会は,地方自治体の出捐金拠出により,研究交流をはじめ,地域の科学技術振興を支援することを目的として,平成4年6月に設立されている。先端的研究や基礎的研究に地域が取り組む際の各種研究支援事業や全国規模の研究交流事業が展開されている。

(工業技術連絡会議)

鉱工業技術に関する公設試験研究機関相互及び国立試験研究機関との協力体制を強化し,機関相互の試験研究を効果的に推進し,もって工業技術の向上を図ることを目的として,昭和29年に設置されている。本会議の組織は6連合部会,8地方会議,公設試験研究機関連絡会議からなり,公設試験研究機関間,国立試験研究機関,公設試験研究機関間の研究協力,研究調整,研究交流,情報交流等を実施している。


2. 研究開発機能集積に対する支援

地域の活性化を目的とした産業の振興を図るにあたり,従来は企業誘致及びそれに付随する道路,港湾等の周辺環境のハード面の整備を中心とした政策がとられてきたが,それに加えて,近年,当該地域における研究設備,研究施設等の整備に対する支援措置や研究開発に対する助成等が以下に掲げる立法措置等により複合的に講じられている。

(テクノポリス法(高度技術工業集積地域開発促進法))

テクノポリスとは,高度技術工業の地域における集積を図り,先端技術を核とした産・学・住一体となったまちづくりを促進するもので,研究開発施設を含む各種産業基盤の整備事業等を推進している。

現在までに,この法に基づき26地域の計画が承認されている。

なお,テクノポリス法は新事業創出促進法の制定とともに廃止されているが,テクノポリス計画については経過措置によって引き継ぎ一定期間有効となっている。

(頭脳立地法(地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律))

頭脳立地法は,経済活動のソフト化,サービス化の進展の中で従来の工場の地域分散の推進と併せ,自然科学研究所,ソフトウェア業,情報処理サービス業などの産業支援サービス業の集積を図ることによって,地域産業の高度化を促進することを目的として,各種産業基盤の整備事業等を推進している。

現在までに,この法に基づき26地域の計画が承認されている。

なお,頭脳立地法は新事業創出促進法の制定とともに廃止されているが,頭脳立地計画については経過措置によって引き継ぎ一定期間有効となっている。

(多極法(多極分散型国土形成促進法))

多極法に基づく振興拠点地域の開発整備は,地域の特性に即した産業,文化,学術,研究,交流等特色ある機能を集積させることにより,広範囲な地域の振興の拠点を総合的かつ計画的に開発整備するためのもので,地域主導による地域づくりを積極的に支援するものである。

(民活法(民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法))

民活法は,経済社会の基盤の充実を図るための施設整備を民間事業者の能力を活用して,促進しようとするものである。このうち,研究開発に関する施設としては,研究開発・企業化基盤施設(リサーチコア),産学連携施設(リサーチ・オン・キャンパス),電気通信研究開発促進施設(テレコム・リサーチパーク),農林水産研究開発・企業化基盤施設,臨海部活性化施設がある。

(地域産業集積活性化法(特定産業集積の活性化に関する臨時措置))

地域産業集積活性化法は,加工組立型産業や消費財型産業が海外に生産の拠点を移すなど,地域産業の空洞化が深刻化する中,これを防止するため,産業インフラ整備のほか,事業者が実施する研究開発,公設試験研究機関や地場産業支援センターが行う人材育成,共同研究支援等を推進することにより,もって基盤的技術産業集積等の活力の維持・発展を図ることを目的としている。


3. 研究開発拠点の整備

新しい全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」において,産学官の機関のネットワーク化や研究開発投資の重点的な措置により,筑波研究学園都市及び関西文化学術研究都市の整備を推進するとともに,広域国際交流圏の形成の核ともなる国際的水準の新たな研究開発拠点の整備を図ることとされている。


(1) 筑波研究学園都市

筑波研究学園都市は,首都圏全域の均衡ある発展に資するとともに,高水準の研究,教育のための拠点を形成し,科学,学術研究及び高等教育に対する時代の要請に応えるため,国の施策として建設が進められている。

現在,本都市には,国の研究試験・教育機関等49機関がほぼ概成して業務を開始しており,また,民間の研究機関も進出している。

このように,本都市の充実が図られてきており,さらに我が国が国内外の研究開発拠点として育成するための諸施策を推進しているところである。


(2) 関西文化学術研究都市

関西文化学術研究都市(京都府,大阪府,奈良県)は,21世紀に向けた創造的かつ国際的,学際的,業際的な文化・学術・研究の新たな展開の拠点づくりを目指すものであり,昭和62年6月に施行された「関西文化学術研究都市建設促進法」に基づき,着実に整備が進められている。


(3) その他

上記のほかに,東北インテリジェント・コスモス構想(新潟県を含む東北7県),東海地域研究学園都市構想(岐阜県,愛知県,三重県,名古屋市),九州北部学術研究都市整備構想(福岡県,佐賀県)が,その実現に向けた取組が推進されているところである。

第3-2-44図 地域研究機関促進拠点支援事業(RSP事業)の 拡充状況(平成8年度新規)

第3-2-45図 生活・地域科学技術研究施設整備費補助金の推移 (平成8年度新規)

地域研究開発促進拠点支援事業の拡充状況を 第3-2-44図 に,また,生活・地域科学技術研究施設整備費補助金の予算額の推移を 第3-2-45図 に示す。


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