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第3部  科学技術の振興に関して講じた施策
第1章  科学技術政策の展開
第2節  科学技術会議


政府の科学技術政策を総合的に推進するため,科学技術会議設置法に基づき,科学技術会議が昭和34年2月に設置された。科学技術会議は,内閣総理大臣を議長とし,関係閣僚,有識者で構成されており,「科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)一般に関する基本的かつ総合的な政策の樹立に関すること」,「科学技術に関する長期的かつ総合的な研究目標の設定に関すること」,「前号の研究目標を達成するために必要な研究で特に重要なものの推進方策の基本の策定に関すること」等について審議し,内閣総理大臣に答申し,あるいは,必要に応じて意見を申し出ることを主たる任務としている( 第3-1-1表 )。また,科学技術基本法においては,政府は,科学技術基本計画を策定するにあたって,あらかじめ,科学技術会議の議を経なければならないとされている。

また,科学技術会議には,重要事項の適時,的確な処理を行い,機動的かつ弾力的な科学技術政策の展開を図るため,各界の有識者で構成される政策委員会が設置されている。


1. 科学技術会議の活動

科学技術会議には,本会議の下に政策委員会,部会等が置かれ,必要に応じ政策委員会には小委員会,部会には分科会を設けることができることになっている。

政策委員会は,科学技術に関する諸問題について常時検討を行っており,答申等の策定作業の総括のほか,科学技術振興調整費の運用方針の決定,科学技術振興に関する重点指針の決定等を行っている。

平成10年度における主な活動状況は,次のとおりである。

科学技術基本計画については,策定から3年目を迎え,この間の我が国を取り巻く社会・経済情勢の変化や科学技術の進展等を念頭に置いて,その推進状況を点検し,今後の科学技術政策の検討に活用していくため,平成10年10月,政策委員会においてフォローアップを実施することを決定した。以来,政策委員会は,約100人の幅広い有識者からのヒアリング,関係省庁の協力による基本計画に盛られた施策の推進状況調査を行い,その結果を基に検討し,中間取りまとめを行った。今後,中間取りまとめにおいて,浮き彫りになった政策課題について引き続きフォローアップを行うこととしている。

第3-1-1表 科学技術会議の主な答申の概要


さらに,今後の社会においては,科学技術の果たす役割はますます重要になると考えられる一方,生命倫理問題に見られるように,科学技術と社会との接点に様々な問題も生じてきている。科学技術政策の検討に当たり,科学技術と社会との係わりに対する視点を一層強化することが重要な課題となっていることから,平成11年1月,政策委員会の下に,幅広い分野の有識者から構成される,「21世紀の社会と科学技術を考える懇談会」を開催することを決定した。同懇談会では,将来の科学技術に関する総合戦略策定の参考とすべく,幅広く科学技術と社会との係わりについて検討を行っている。

研究開発の評価に関しては,政策委員会において,「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」策定後の各省庁における研究開発評価の実施状況についてアンケート等の調査を行い,平成10年10月に見解を取りまとめた。

近年の生命倫理に関しては,科学技術の進歩に伴って,科学技術と人間・社会との接点も拡大しつつあり,生命倫理の問題として人類全体の大きな課題となってきている。特に,平成9年2月にイギリスにおいてのヒツジの体細胞を用いたクローン個体の作製を契機として,生命倫理に係わる科学技術の在り方に関して,国内外の関心が急速に高まった。こうした状況に鑑み,平成9年9月,人に関連する生命倫理に係わる科学技術の在り方に関することを検討すべく,科学技術会議に生命倫理委員会が設置され,平成10年1月には同委員会にクローン小委員会が設置された。同小委員会は平成10年6月に中間報告をまとめ,インターネット,有識者アンケートなど国民の幅広い意見募集を行い,これを受けて人のクローンの規制の在り方など最終報告に向けて議論を行っているところである。

また,平成10年12月には,ヒト胚性幹細胞の研究をはじめとするヒト胚を対象とする研究に関し,生命倫理の側面から審議を行う,ヒト胚研究小委員会が設置された。

情報科学技術部会においては,近年の情報科学技術を取り巻く急速な環境の変化に適切に対処するため,平成9年7月に科学技術会議に諮問された「未来を拓く情報科学技術の戦略的な推進方策の在り方について」に関する調査審議を実施し,平成11年2月に同部会として答申案を取りまとめたところであり,答申案では,情報科学技術の研究開発の戦略的推進方策として「社会のニーズを明確に指向した基礎・基盤の研究開発の強化」,科学技術情報の流通の戦略的推進方策として「ネットワーク時代に対応した円滑な科学技術情報流通の実現」という考え方を示している。こうした考え方を踏まえ,答申案では,情報科学技術への取組の変革・強化を加速するための先導プログラムを創設する必要性等を指摘している。


2. 科学技術振興施策の総合調整等
(1) 科学技術振興調整費の運用

科学技術振興調整費は,科学技術会議の方針の下に重要研究業務の総合推進調整を図るために昭和56年度に創設された制度であり,「科学技術振興調整費活用の基本方針」(昭和56年3月科学技術会議決定,平成4年1月最終修正)及び同会議政策委員会が決定する各年度ごとの具体的な運用方針に沿って運用されている。

平成10年度においては,特定の生命現象に関し,産学官,関係省庁の研究機関の有機的な連携の下,分子レベルでの研究を推進する「ゲノムフロンティア開拓研究推進制度」,学際的な最重要研究分野に関するシーズ創成を強力に推進するべく,複数の研究機関が分野,組織の壁を取り払い一体となって研究を推進する「開放的融合研究推進制度」の創設等により,一層の充実強化が図られた。


(2) 科学技術振興に関する重点指針

政策委員会では,各年度ごとに,翌年度に重点的に推進すべき施策に関する指針を決定している。平成10年6月には,平成8年閣議決定された科学技術基本計画等を踏まえ,平成11年度に推進すべき重点項目として,総合的な取組を要する分野・領域の研究開発の積極的・効果的取組,国民の理解と支持への努力,社会的・経済的ニーズに対応した研究開発の推進及び基礎研究の振興等を内容とする「平成11年度科学技術振興に関する重点指針」を決定した。


(3) 科学技術政策立案のための基礎調査等

政策委員会の下に置かれている基礎調査小委員会の検討を踏まえて,科学技術振興調整費の活用により,研究開発の総合的かつ効率的な推進方策の検討に必要な調査分析等を進めている。

平成10年度には,「我が国の研究機関における研究支援体制の今後の在り方に関する調査」,「流動的研究体制と研究者のライフサイクルに関する調査」等,9テーマの調査を実施した。また,基礎調査の一環として毎年,科学技術フォーラムを開催しており,「人間の幸せと科学技術」をテーマとして,第18回科学技術フォーラムを平成11年1月に開催した。


(4) 特殊法人等における基礎研究推進制度に関する対応

科学技術庁,文部省,厚生省,農林水産省,通商産業省,運輸省,郵政省においては,基礎研究の主要な担い手である大学,国立試験研究機関等の研究開発能力を最大限に活用し,知的資産の形成を目的とした特殊法人等に対する政府出資金を活用した公募方式等による基礎研究推進制度が実施されている。

政策委員会の下で開催されている「特殊法人等における新たな基礎研究推進制度に関する懇談会」においては,それらの制度が全体として整合性のとれた形で適切に運用されるよう対応している。


(5) 答申等のフォローアップ

科学技術会議の答申等については,指摘事項をより一層具体的な施策に反映させるとともに,その後の所要の調整等を目的として,政策委員会等の場で必要に応じフォローアップが行われている。

また,平成7年9月に,「研究開発基本計画等フォローアップ委員会」を分野ごとに設置し,当該分野の答申等に示された研究開発基本計画等のフォローアップを実施することが決定されており,平成10年8月に諮問第17号「地球科学技術に関する研究開発基本計画」のフォローアップを開始した。


(6) 国際展開

1)国際招へいプログラム

科学技術会議では,平成2年度より,海外の科学技術政策に携わる要人を我が国に招へいし,意見交換等を行う「科学技術会議国際招へいプログラム」を実施している。

平成11年3月には,米国,カナダより要人を招へいし,科学技術政策,国際協力等について意見交換等を行った。

2)その他

日本,米国,ドイツ,フランス,イギリス,イタリア,カナダの主要先進7か国,EU及びロシアの首脳の科学技術顧問,科学技術担当閣僚等9名をメンバーとするカーネギーグループ会合(政府首脳科学顧問・科学技術担当大臣会合)及び先進8か国の研究会議の代表者をメンバーとしている先進8か国研究会議代表者会合に科学技術会議議員が参加し,科学技術の諸問題について意見交換を行っている。

1998年(平成10年)には,カーネギーグループ会合がケルン(ドイツ)及び京都(日本)において,先進7か国研究会議代表者会合がオタワ(カナダ)において,それぞれ開催された。


(7) 地域展開

平成4年度から毎年度,科学技術会議と都道府県等との共催により,広く地域の科学技術政策に関係する研究者,行政担当者等の参加を得て,地域の科学技術振興に関する諸問題について討議を行う地域科学技術政策フォーラムを開催している。

平成10年11月には,北海道で開催され,「いま,科学技術に何ができるのか-魅力あふれる北の大地の創造-」のテーマの下に,新たな活力ある産業展開や創造的な地域づくりに向けた独自の科学技術振興の在り方,推進方策等について討議が行われた。


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