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第2部  海外及び我が国の科学技術活動の状況
第4章  新たな科学技術指標への取組
第1節  OECDにおける取組


1995年10月のOECD科学技術大臣級会合で,OECD各国の協力のもと,知識基盤経済におけるアウトプットを測るための技術革新のパフォーマンス等の指標を開発する必要があることが合意され,同年12月より作業が開始されている。

1998年6月にワークショップを開催し,作業の進捗状況を報告し合うとともに,今後の作業について検討しており,現在,6つのプロジェクトが進行中である。

(人材の流動化)

産学官のセクター間,各産業分野間,各企業間といったそれぞれのレベルでの高度な技術をもった人材(ある意味で具現化された知識の一部と考えられる)の動きを捉えることを目的としている。

-現状-

北欧諸国において,スウェーデンの主導のもと,政府登録された精度の高いデータをもとに,人材流動についての指標が算出されている。また,この調査により,各国の興味深い指標についての提案,及び利用可能なデータのリストが作成されている。

ー今後の方向一

1999年6月までに,北欧よりデータの精度が低い国々でもこの指標を適用することの実現可能性についての調査を行う予定。その結果をもとに適用可能国についての指標の取りまとめを1999年末までに行う予定。

(特許)

発明の経済的価値と特許に基づく知識の循環の測定を目的としている。

-現状-

これまで,学問的研究により,特許のデータから多くの情報を獲得するとともに,バイアスのかかった特許データの取りまとめ方法の修正が行われてきた。

まず,第1に,PCT出願から関連特許統計分を減ずることにより,補正を行った出願件数の把握の方法を示した。(PCTの手続きは,通常の遅れに加えて,18ヶ月以上の出願公表の遅れがある。もし,この状況が改善されなければ,近年の特許指標の効果は,意味のないものか,3年以上の遅れたものとなる。)第2に,国際比較可能な特許の引用数は,関連国すべてで取られた特許についてのデータベースが構築された時のみ意味を持つと結論付けた。第3として,関連特許データベースを構築することである。(関連とは,いくつかの国で同時に得られる特許である。)

-今後の方向-

特許関連の標準指標は,1999年に発表され,将来的には,これらの指標は,科学技術指標の刊行物に盛り込まれるものと思われる。

関連特許については,特許の経済的価値から重み付けの必要についての検討が必要。また,以前の調査により,登録は,出願より全要素生産性(TFP:Total Factor Productivity)と相関関係にあることが示されていることもあり,年毎の特許数に関する評価方法についても,さらに検討が必要である。しかし,これらの新指標の作成のためには,数百万件の記録を含む特許データベースの構築作業,及びOECD事務局の多大な労力を必要とする。

(企業の技術革新能力)

企業の技術革新・技術吸収活動を捉え,企業レベルでの技術革新の決定要因についての理解を深めることを目的としている。

-現状-

技術革新調査は,企業のイノベーション活動の唯一の情報源であるところ,産業レベルから国レベルまでの様々な指標を扱うことから,集められたそのデータ量の膨大さにより,難解な課題を生じている。このプロジェクトの目的は,これら課題に対する種々の解決法を同定し,試行実験を行ことである。近年,方法論的研究方法を用い,詳細にこれらの課題を分析し,統計的・経済的技術に基づく解決の方法を提案している。

-今後の方向-

既に,大部分のOECD加盟国(ヨーロッパでは3年ごと)で,採用されており,この調査から導かれた指標は,科学技術指標に関する刊行物にも採用される予定である。今後本調査の対象国を増やしていく予定。

(研究開発の国際化)

研究開発投資の国際間の流れ,ハイテク製品の貿易を含めて,研究開発・技術革新の国際的側面を捉えることを目的としている。

-現状-

1998年,科学技術分野での海外への研究開発の直接投資(外国の現地法人の経費等)についでの新たな指標が,科学技術指標に関する専門家グループ(NESTI)等によって,公表された。特許の所有国と発明国についてのマトリクスを作成することにより,多国籍企業の研究開発能力の位置付けを間接的に示した。各国のハイテク製品貿易における競争的地位の評価に際して,役立っている。現時点では,指標は未完成であり,今後さらなる検証が行われる予定である。

-今後の方向-

国内のフローの測定と同様に,海外へのフローを測定するために,海外の現地法人の研究開発活動の動向追跡が行われると思われるが,同時に特許の所有国と発明国のマトリクスからの測定のための検証が行われると考えられる。将来的には,これらの指標は,OECDの定期刊行物に標準指標として盛り込まれる可能性もある。

(研究開発に対する政府の支援)

各国政府で実施されている研究技術施策(税制,政府調達,インフラ整備等)を反映した国際的に比較可能な統計の開発を目的としている。

-現状-

2つのプロジェクトに従っており,第1のプロジェクトは,政府の研究開発への間接的援助(税制等)に対する国際的かつ統合的な指標の構築である。現在,4ヶ国でその指標を適用し,良好な結果を得ている。第2のプロジェクトは,国際的な合意に基づく,産業分野における研究開発への政府支援についての新規分類を行うことであり,現在,政府支援を,金融と財政による刺激,政府調達,科学技術インフラの3つに分類し,検証中である。

-今後の方向-

財政刺激の統合指標は,1999年の半ばまでにより多くの国に広げられると予想され,結果次第では,標準指標となりうる。また,各国統計指標比較のための取りまとめ方法のガイドラインであるフラスカッテイ・マニュアルの改訂にまで発展することも考えられる。

(情報通信技術)

経済における情報通信技術の様々な側面(例えば,ユーザーに対する経済的価値等)を捉えることを目的としている。

-現状-

準備段階として,情報通信技術の経済的価値(間接的コストを含めた利用者に対する価値)の測定に適した項目についての意識調査を行っている。

-今後の方向-

今後,国際電気通信連合(ICCP)が設立した統計のパネルに移行する。この統計の専門家のパネルにより,検討が行われる予定である。


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