ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第2章  総合的かつ計画的な施策の展開
第5節  国際的な交流等の促進
2.  発展途上国等との科学技術協力の拡充


 発展途上国は,その抱える人口の多さや保有する資源の豊かさなどから,国際社会でしめる重要性は大きい。昨年12月に京都で開催された気候変動に関する国際連合枠組条約第3回締約国会議において議定書取りまとめの際に発展途上国が大きな影響を及ぼしたことからも明らかなとおり,地球規模の諸問題への取組をはじめとして,世界全体ひいては我が国の安定と繁栄を効果的に達成する上で,これらの国が十分に参画できる状況を整備することが不可欠である。したがって,科学技術を通じた協力を推進することにより,発展途上国における自主的・持続的経済発展の基盤となる人的資源・インフラの強化を図ることが重要であるが,このことは我が国における科学技術の一層の推進にも資するものである。このため,アジア太平洋地域に位置する我が国の国際社会における立場を踏まえつつ,相手国の国情,ニーズ及びポテンシャルに応じたきめ細かな二国間協力を行っていくとともに,アジア太平洋経済協力(APEC)等の多国間の枠組を通じた協力を推進する。


(1) 多国間における取組

{1} アジア太平洋経済協力(APEC)における協力

 アジア太平洋地域の持続的な経済成長を達成していくための政府間の協力の場として,1989年(平成元年)に発足したアジア太平洋経済協力(APEC)は,開かれた地域協力を掲げ,貿易・投資の自由化・円滑化,経済・技術協力の推進を中心に活動を進めてきた。近年では,閣僚会議に併せて非公式首脳会合を開催するなど,一層の機能強化が図られ,活発な活動を展開している。

 具体的な協力については,高級事務レベル会合のもとに10のワーキンググループをおき,産業技術,貿易・投資データレビュー,人材養成,域内エネルギー協力,海洋資源保全及び持続的利用,電気通信等について協力方策の検討を行っているほか,食料,エネルギー,環境等の長期的課題についても取組が始められた。特に,産業技術ワーキンググループにおいては,科学技術の情報流通の促進,研究施設の相互利用の促進,環境技術交流バーチャルセンターの構築などの種々の具体的協力プロジェクトが進められている。

 1995年(平成7年)10月,中国北京において,初めての科学技術担当大臣会合が開催され,「環境」「防災」「情報ネットワーク」等の分野での科学技術協力の推進を盛り込んだ共同声明が採択された。

 また,1996年(平成8年)11月,韓国ソウルにおいて,第2回科学技術担当大臣会合が開催され,人材養成と交流促進を中心に議論が行われた。本会合において,科学技術情報の共有及び研究施設の相互利用の促進,若者に対する科学技術の普及啓発活動の強化等の目標を掲げ,2010年までにこれらの目標を達成するための計画を展開する,との内容を盛り込んだソウル宣言を採択した。

{2} アジア科学協力連合(ASCA)における協力

 1970年(昭和45年)11月に設立が合意されたアジア科学協力連合(ASCA)は,アジア地域の科学技術政策,研究開発計画等についての情報交換,共通関心領域の明確化,域内各国間の科学技術協力プロジェクトの推進方策の検討等を行い,域内諸国間の科学技術協力の推進強化を図ることを目的とし,各国の科学技術担当の大臣等が一同に会し,現在までに13回の会合が開催されている。我が国は,科学技術人材育成の強化と研究情報基盤の整備を中心として活動を推進すべく,STAフェローシップ制度等による人材交流,研究開発マネージャーを対象とするセミナーを開催する等の活動を行っている。

{3} 太平洋経済協力会議(PECC)における協力

 太平洋経済協力会議(PECC)は,アジア太平洋地域における経済的繁栄,安定を確保していくための協力促進を目的とした国際組織であり,産・学・官の三者構成を特徴とする。1980年(昭和55年)9月オーストラリア・キャンベラの第1回PECC総会以来,貿易政策,エネルギー問題,技術移転,資本移動などの分野における協力について検討されてきた。現在,貿易政策,運輸・電気通信・観光,鉱産物・エネルギー,科学技術,人材育成等のタスクフォースの下で,各分野における地域協力方策について議論がなされている。1997年(平成9年)9月〜10月にチリで開催された第12回総会では,太平洋の両側を結ぶパートナーシップの強化,開放性の維持,APEC支援等を盛り込んだ「サンチャゴ宣言」が採択された。

 我が国においては,科学技術日本小委員会において,技術移転問題,科学技術指標整備,人材育成について調査・分析・研究を推進するなど協力を行っている。

{4} 国際科学技術センター(ISTC)における協力

 旧ソ連邦諸国の大量破壊兵器等に関連のある科学者及び技術者に対し,その才能を平和的活動に向け直す機会を与え,旧ソ連邦諸国の国内的及び国際的な技術問題の解決に寄与することを目的として,1992年(平成4年)11月に,日,米,EU(当時EC),ロの四極は「国際科学技術センター(ISTC)」を設立する協定に署名し,更に1993年(平成5年)12月,同協定を暫定的に適用するための議定書に署名したことにより,1994年(平成6年)3月同センターが設立された。

 これまでに開催された14回の理事会において,同センターの目的を達成するため計1億5,500万ドル分約500件の具体的プロジェクトの開始が承認され,これらに約17,100人以上の研究者が従事している。また,設立後,フィンランド(現在はEUに所属),スウェーデン(現在はEUに所属),ノルウェー,グルジア,アルメニア,ベラルーシ,カザフスタン,キルギスの加入手続が完了し,韓国が加入手続中,ウズベキスタンが加入へ向けて現在国内手続中である。

 我が国としては,1996年(平成8年)3月,米,EU,ロとともに行ったISTC協定に定められたセンター設立2年後の見直し作業の結果を踏まえ,今後とも,本センターの活動が円滑に進み,実効性のあるものとして展開されるよう,人的貢献を含め,これまでの業績を生かして積極的に協力していく方針としている。また,同見直し作業で,今後の重要課題として位置づけられた,企業を含む新たな参加者の拡大,地球規模の問題解決に貢献するプロジェクトの実施の2点に対しても,積極的に取り組んでいる。


(2) アジア・太平洋諸国等との協力

 オーストラリアとの間においては,1980年(昭和55年)11月に締結された日豪科学技術研究開発協力協定に基づき,1997年(平成9年)5月にキャンベラにて第8回合同委員会を開催し,協力を進めている。

 インドとの間においては,1985年(昭和60年)11月に締結された日印科学技術協力協定に基づき,1997年(平成9年)12月にニューデリーにて第5回合同委員会を開催し,協力を進めている。

 このほか,中国,韓国,イスラエル等との間でも,科学技術協力協定等に基づき,情報交換,専門家の交流,共同研究の実施等の協力を進めている。

 なお,科学技術協力協定が締結されていない国との間でも,マレーシアとの間においては,1997年(平成9年)3月にクアラルンプールにて科学技術系人材育成に関するワークショップを開催し,同分野における取組の現状を報告するとともに,今後の協力可能性等について意見交換を行った。


(3) 旧ソ連,中・東欧諸国等との協力

 旧ソ連との協力については,1973年(昭和48年)10月に締結された日ソ科学技術協力協定に基づき,これまで7回の日ソ科学技術協力委員会と4回の日ロ科学技術協力委員会が開催されており,従来より地球科学,農林業等の分野で情報の交換,専門家の派遣,セミナーの開催等の協力が行われてきた。なお,近年特に,農業,プラズマ物理学及び核融合,高エネルギー物理学,宇宙の分野で活発に協力が行われている。

 1993年(平成5年)10月,エリツィン・ロシア大統領訪日に際し,日ロ宇宙協力協定が締結された。

 1997年(平成9年)5月に開催された第4回日ロ科学技術協力委員会においては,前回の委員会で確認された分野の協力の継続・拡充を確認するとともに,地震分野の重要性について意見の一致をみた。

 中・東欧諸国との間においてはポーランド及び旧ユーゴスラビアとの間には科学技術協力協定が,ルーマニア,ブルガリア,旧チェッコスロバキア及びハンガリーとの間には科学技術協力取極が締結されており,また,研究者の交流等の協力が行われている(旧ユーゴスラビアは構成共和国の独立に伴い,現在までに,クロアチア,スロベニア及びマケドニアにつき同協定の承継を確認している。また,旧チェッコスロバキアは,チェッコとスロバキアの2か国に分離したが,両国とも同取極を承継したことを確認している。)。

 1998年(平成10年)1月にチェッコ,ルーマニア及びブルガリアとそれぞれ第1回科学技術協力政府間協議が開催され,科学技術協力取極の下での協力テーマ及び両国の科学技術政策について意見交換を行った。

 1998年(平成10年)3月にハンガリーと第5回日・ハ科学技術協力政府間協議が開催され,日・ハ科学技術協力取極の下での協力テーマ及び両国の科学技術政策について意見交換を行った。

 1998年(平成10年)3月にポーランドと第3回日・ポーランド科学技術協力協議が開催され,日・ポ科学技術協力協定の下での協力テーマ及び両国の科学技術政策について意見交換を行った。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ