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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第2章  総合的かつ計画的な施策の展開
第4節  民間の研究開発の促進と国等の研究開発の成果の活用
2.  国等の研究開発成果の活用


 大学や国立試験研究機関,特殊法人のような公的部門における研究開発の成果については,研究開発の更なる進展を図るとともに,民間企業を含め広く一般に活用されるようにするため,各機関において成果発表会の開催,年報等の定期刊行物の刊行等が行われているほか,各種学会や学術刊行物への研究論文の発表,国有の特許の公開等により,成果の公開,情報提供が行われている。

 従来,国に帰属していた国立試験研究機関の研究者の発明等に係る特許権等知的財産権については,科学技術庁,厚生省,農林水産省,通商産業省及び郵政省に加え平成9年度には運輸省において国と研究者との共有とする等の措置を講じている。これにより,研究者の権利の持分を企業に売却することや,当該特許等に係る研究者自らの民間への技術指導等を通じて,国の研究開発成果の技術移転や製品化の促進が期待されるものである。

 また,国立大学における特許権等については,原則として発明等した教員個人に帰属するようになっている。

 大学や国公立試験研究機関等の研究開発成果の実用化については,科学技術振興事業団において,調査・収集を行い,優れた研究成果を発掘し,企業化が著しく困難なものについては,企業等に開発を委託する委託開発制度を設け,積極的に新技術の企業化を図っている。さらに,委託開発の結果得られた開発成果については,産業界において実施されるよう,広く普及を図っている。また,開発に伴うリスクが比較的少なく,企業独自で開発を進めることが可能な新技術については,開発あっせん制度によって企業等への技術移転を推進しており,諸外国に対しても,あっせん可能な技術を英文紹介誌により紹介するなどして,開発あっせんの促進を図っている。

 平成9年度末までの委託開発及び開発あっせんの結果をみると,委託開発は成功課題が319件となっており,また,開発あっせんは,あっせん成立課題547件(延べ872社)となっている。

 さらに科学技術振興事業団においては,大学,国立試験研究機関等で生まれた波及効果の大きな先端的研究成果を多様な技術分野へ育成・展開し,実用化の可能性を探るため,多くの異業種企業研究者の参加を得て,参加企業が先端的研究成果の育成,展開のための試験をそれぞれの分野で実施する先端的研究成果展開事業を行っているほか,大学,国立試験研究機関の研究成果と研究開発型中堅・中小企業が持っている新しい産業を生み出す可能性のある新技術コンセプトを融合し,新しいコンセプトのモデル化を行う独創的研究成果育成事業を実施した。

 また,理化学研究所においては,自らの研究成果をより一層効果的に実用化に結びつけるため,平成10年1月に研究者の兼業許可,共同研究における優遇措置策の制度を創設している。

 通商産業省特許庁では,大学及び国公立試験研究機関の研究成果の適切な保護と産業界への円滑な移転を支援するため,筑波研究学園都市にて無料で特許セミナー及び特許相談会を実施するとともに,全国12都市で技術導入を希望する産業界との出会いの機会となる特許流通フェアを開催した。

 文部省では,特に,各国立大学が地場産業など地域の産業界と密接に連携し,活発な共同研究を進めるため,地域共同研究センター等の整備を進めること,新産業創出のための独創的な研究開発の推進と高度な専門的職業能力を持つ創造的な人材育成を目的としたベンチャー・ビジネス・ラボラトリーを多数の理工系大学院生を擁する国立大学に整備するなどして,国立大学の持っている研究能力などの活用を図っている。

 また,米国では大学等の研究成果の産業界への移転及び研究能力の活用が,新規産業創出の原動力となって,米国経済全体の活力再生に大きく寄与している一方,我が国では,大学等に集中している多くの研究資源が産業界において十分活用されてきたとは言い難い状況であることに鑑み,我が国においても大学等の研究成果が市場メカニズムを介して産業化され,社会に有効に活用されるとともに,その対価の研究資金への適正な還流が研究活動の活性化に資するという知的創造サイクルが創り出されるよう第142回通常国会に「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案」が提出されている。この法案は,通商産業省が中心となって技術移転事業への支援措置を講ずるものである。


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