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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第2章  総合的かつ計画的な施策の展開
第2節  研究開発基盤の整備・充実
1.  研究開発施設・設備の整備


 科学技術基本計画においては,研究開発施設・設備,研究開発に関する情報化及び知的基盤を研究開発基盤と位置づけ,これらの整備・充実を図ることとされ,各省庁がそれぞれの所要の施策を推進している。

 研究開発施設の整備に関して,科学技術基本計画では,我が国の大学,国立試験研究機関については,老朽化対策を進めるとともに狭隘化対策,さらには世界的水準の研究開発の実施を可能とし,産学官の共同利用及び国際的な連携・交流を促進するための高度化を計画的に推進することとしている。


(1) 国立試験研究機関等における施設・設備の整備

 研究活動の基盤となる施設・設備の高度化,大規模化が進んでいる中で,これら施設・設備の整備は効率的な研究の推進にとって必要であるのみならず,研究開発の成果そのものを左右する重要な条件となってきている。政府としても重要研究課題を中心に国立試験研究機関における研究開発施設の整備・充実に努めており,平成9年度には,公共投資重点化枠を活用する等国立試験研究機関の老朽化・高度化等の研究施設の整備に必要な経費を措置し,科学技術庁においては次世代超音速機研究センター,農林水産省において次世代食品の開発等のための先端研究拠点施設の整備,通商産業省において人間工学研究棟他,郵政省において情報通信基盤技術に関する基礎的・汎用的技術の研究開発施設の整備等を推進している。

 施設・設備の整備については,その施策の一つとして,科学技術庁が世界最高性能の大型放射光施設(SPring-8)整備計画を推進している。日本原子力研究所及び理化学研究所が共同してその整備にあたり,平成9年10月に供用を開始した。大型放射光施設は,光速近くまで加速された電子が,磁場により曲げられた時に発生する光(放射光)を利用し,物質・材料系科学技術,ライフサイエンス,情報・電子系科学技術,医学への応用等幅広い分野で最先端の研究を行うための施設である。欧米においても,同様の大型放射光施設の計画が進められており,欧州では1994年(平成6年),米国では1996年(平成8年)に供用が開始されている( 第3-2-2表 )。SPring-8は,基礎的・創造的研究開発を推進する上での重要な研究開発基盤施設の一つであり,我が国の基礎研究の振興のみならず,国際的な研究交流の一層の推進に貢献することが期待されている。このため,平成6年6月に「特定放射光施設の共用の促進に関する法律」が制定され,これを受けて当該施設に係る利用課題の募集・選定や技術的支援等,利用者との関係を一元的に扱う指定法人(放射光利用研究促進機構)制度を導入するなど,国内外の研究者に広く開かれた施設とするための体制整備を行っている。同法第11条に基づき,平成6年10月には,財団法人「高輝度光科学研究センター」を放射光利用研究促進機構に指定し,共用の促進を図っている。平成9年度は,国内外の研究者による利用研究が開始されるとともに,共用ビームラインの建設など引き続き施設の整備を行った。さらに,共用ビームラインの平成10年度の利用研究課題の募集・選定を行うとともに,専用ビームラインについては,既に設置計画趣意書を採択している8本(京都大学,科学技術庁金属材料技術研究所,同無機材質研究所,大阪大学,兵庫県:2本,産業用建設利用共同体:2本)に加え,新たに台湾からの2本の設置計画趣意書を採択した。なお,文部省においては,加速器科学分野の中心機関の一つである高エネルギー加速器研究機構が,世界に先駆けて未踏領域の研究を進めるため,大強度放射光実験設備による研究等を行っている。

第3-2-2表 世界の大型放射光施設計画


(2) 大学等における施設・設備の整備

 近年,国立学校施設の老朽化・狭隘化が進むとともに,変化する時代に対応した研究基盤の整備・充実を図ることが課題となっており,文部省では次のような施策に取り組んでいる。

 第一は,施設の老朽化・狭隘化を改善するための施策である。老朽化した施設を今日の教育研究にふさわしい機能を備えたものにするため,建物の改築・改修並びにエネルギー供給設備等の基幹設備の更新等を進めている。また,高度化,多様化する教育研究に必要な実験研究のための十分なスペースを確保できるよう,平成6年度に大学(学部・大学院)の校舎,平成7年度は大学附置研究所・附属研究施設等,平成8年度は大学(一般教養・共通教育)の校舎及び高等専門学校の校舎等を対象とした改定を行い,引き続き平成9年度は留学生対応の大学(学部・大学院)校舎及び研究者交流施設等を対象とする改定を行っている。

 第二は,時代の変化に対応した施設整備を推進するための施策である。現在,全国の国立大学では時代の変化に対応して,積極的に大学改革を進めており,大学院の拡充や学部学科の改組など国立大学が大きく変化している。また,国際化・情報化の進展など大学をめぐる状況も大きく変化しており,このような変化に伴って生じる新たな施設整備の需要に対応する必要がある。

 これらの施策を行うため,国立学校施設整備費として平成9年度当初予算において平成8年度当初予算(約1,535億円)に比べ15.2%減の約1,301億円を計上している。

 また,国立大学等における研究設備については,平成9年度当初予算に約287億円を措置し,新しい研究分野の開拓・発展をもたらすような研究に必要な先導的研究設備の充実等を図っている。

 特に,大型光学赤外線望遠鏡(国立天文台),大型ヘリカル装置(核融合科学研究所),Bファクトリー計画(高エネルギー加速器研究機構)等の世界最先端の設備の開発を進めている。

 私立大学等の研究施設,研究設備の整備に関する助成としては,私立大学等の学術研究及び情報処理教育等の振興を図るとともに,高等教育を活性化するため,私立の大学・大学院の大型の「研究装置」及び私立の大学,短期大学,高等専門学校,専修学校(専門課程)の大型の「教育装置」の整備に必要な経費について補助し,逐年その充実を図ってきている。

 関係予算として従来から補助している基礎的な研究に必要な機械・器具である「研究設備」や「情報処理関係設備」の整備に必要な経費を含めて,平成9年度には,対前年度30億円増の190億円を計上している。

 また,私立大学における先端的な学術研究基盤を強化し我が国の科学技術の推進を図るための私立大学ハイテク・リサーチ・センター整備事業は,私立大学の大学院研究科・研究所における最先端の研究開発プロジェクトの実施に必要な研究施設,研究装置・設備,研究費・研究スタッフに対する総合的な支援を行うこととしており,平成9年度予算は,36億円を計上している。

 また,平成9年度における新規事業として,私立大学の中から,優れた研究実績をあげ,将来の研究発展が期待される卓越した研究組織を中核的な研究拠点として指定し,内外の研究機関との共同研究を支援する学術フロンティア推進事業を創設し,研究施設,研究装置の整備に対する補助として39億円を計上している。

 なお,大学キャンパス内に民間等による共同研究施設の整備の推進を図るため,施設の設置者に廉価で国有地を使用させることができるよう,第142通常国会に科学技術庁等と共同で研究交流促進法の一部改正法案を提出した。


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