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第2部   海外及び我が国の科学技術活動の状況
第3章  研究成果関連の動向
第3節  技術貿易


 特許,実用新案,技術上のノウハウは,科学技術に関する研究開発活動等を通して生まれる成果である。企業等はこれらの成果を自ら利用する以外に,権利譲渡,実施許諾等という形で国際的に取引している。このような取引は技術貿易と呼ばれる。

(主要国の技術貿易動向)

 主要国の技術貿易の輸出入額をみると,企業活動のグローバリゼーションの進展や知的財産権を重視する近年の傾向を反映して拡大基調にある( 第2-3-12図 )。

第2-3-12図 主要国の技術貿易額の推移

 1995年(平成7年)の技術輸出額(対価受取額)では米国が圧倒的に多く,日本銀行「国際収支統計月報」(以下本章では「日銀統計」という。)による日本,総務庁統計局「科学技術研究調査報告」(以下本章では「総務庁統計」という。)による日本,イギリス,ドイツ及びフランスを断然引き離している。

 これに対して,1995年(平成7年)の技術輸入額(対価支払額)では,日銀統計による日本,米国,ドイツ,イギリス,総務庁統計による日本,フランスの順となっている。

 この結果,主要国の中では米国が大きく出超となっており,イギリスも同様に輸出超過となっているが,フランス及びドイツは輸入超過である( 第2-3-13図 )。

第2-3-13図 主要国の技術貿易収支比の推移

 我が国についてみると,1996年度(平成8年度)の総務庁統計では,技術貿易収支比は輸出超過が前年度(同比1.43)より拡大となっている。一方,日銀統計による技術貿易収支比は均衡に近づく傾向にはあるものの,依然として輸入超過となっている( 第2-3-13図 )。

 なお,両統計のデータに大きな相違がみられるのは,総務庁統計は我が国の研究開発活動の実態把握に主眼が置かれているのに対し,日銀統計は外国為替の管理に主眼が置かれているといった調査目的が違うため,調査方法,調査範囲等が異なるためである。

 科学技術庁科学技術政策研究所の分析によれば,総務庁統計データでは卸売業,小売業等が対象となっておらず,上記業種の技術輸入額は計上されていないこと,日銀統計のデータには輸入として商標の譲渡,使用権の設定の対価額が含まれている一方でプラント輸出に伴う技術輸出額が含まれていないこと,等により技術貿易収支比に差が生じているものと考えられる( 第2-3-14図 )。

第2-3-14図 技術貿易収支の構造比較

 主要国間の技術貿易収支比をみると,米国が各国に対して圧倒的に輸出超過となっている。日本はイギリスに対してのみ出超となっている( 第2-3-15表 )。

第2-3-15表 主要国の相手国別技術貿易収支比

(我が国の技術貿易動向)

 日銀統計による1996年(平成8年)の我が国の技術貿易額は,輸出が7,257億円,対前年比0.7%増(ドルベース比較),輸入が10,684億円,対前年比4.0%増(同)で技術貿易収支比は前年の0.64から0.68になっている。総務庁統計による1996年度(平成8年度)の技術貿易額は,輸出が7,027億円,対前年度比8.1%増(ドルベース比較),輸入が4,420億円,対前年度比2.4%減(同)で,技術貿易収支比は前年度の1.43から1.59と出超が拡大となっている( 第2-3-13図 )。

 総務庁統計の新規分(当該年度に新たに結んだ契約による技術貿易)のみの収支をみると,1996年度(平成8年度)は300億円の輸出超過で,技術貿易収支比は1.42となっている( 第2-3-16図 )。

第2-3-16図 我が国の新規分技術貿易収支比の推移

(我が国の国(地域)別技術貿易動向)

 総務庁統計によると,我が国と主要国との技術貿易収支比は,年度によってばらつきはあるものの,長期的には増加傾向を続けている( 第2-3-17図 )。

第2-3-17図 我が国と主要国との技術貿易収支比の推移

 1996年度(平成8年度)の我が国の技術貿易を地域別,国別にみると,技術輸出額ではアジア(西アジアを除く)が全輸出額の50%を占めている。そのうち主要な相手国・地域は韓国(696億円),タイ(513億円),中国(469億円),シンガポール(408億円),台湾(402億円),インドネシア(232億円)の順となっている。米国は単独の相手国としては最も多く2,082億円と全輸出額の30%を占めている。

 技術輸入額については,北アメリカとヨーロッパが圧倒的に多い。特に米国からの輸入が3,285億円と全輸入額の73%を占めており,以下ドイツ(248億円),オランダ(242億円),フランス(201億円),スイス(173億円),イギリス(134億円)の順となっている( 第2-3-18図 )。

第2-3-18図 我が国の地域別技術貿易額(平成8年度)

(我が国の業種別技術貿易動向)

 1996年度(平成8年度)の製造業の業種別技術貿易額を総務庁統計でみると,輸出については電気機械工業,輸送用機械工業,化学工業,機械工業が多く,これらの業種で製造業全体の82%を占めている。以下,鉄鋼業,窯業と続いている。一方,技術輸入については,電気機械工業が最も多く,以下化学工業,輸送用機械工業,機械工業,食品工業と続いている( 第2-3-19図 )。

第2-3-19図 我が国の産業別技術貿易額の推移

 技術輸出額が技術輸入額よりも多い主要な産業,業種は,輸送用機械工業,化学工業,鉄鋼業,繊維工業,電気機械工業である( 第2-3-20図 )。輸送用機械工業の出超は自動車工業によるものである。

第2-3-20図 技術貿易額の業種別収支(輸出-輸入)(平成8年度)

 技術貿易収支比の推移をみると,輸送用機械工業は1987年度(昭和62年度)に初めて出超に転じ,その後技術貿易収支比の増加が続いている。建設業,鉄鋼業は1970年代半ばから輸出が輸入を上回っている。電気機械工業,機械工業の技術貿易収支比は緩やかに均衡へと近づき,1995年度(平成7年度)に初めて出超に転じた。化学工業は近年,収支がほぼ均衡していたが,1996年度(平成8年度)の値は1.36とやや出超の傾向を示している( 第2-3-21図 )。

第2-3-21図 我が国の主要業種の技術貿易収支比の推移

(我が国の業種別・国別技術貿易動向)

 主要業種別の技術輸出額の地域別・国別割合をみると,輸送用機械工業,窯業,化学工業,機械工業は米国,鉄鋼業は台湾,電気機械は米国が多い( 第2-3-22図(1) )。

第2-3-22図

 技術輸入額については電気機械工業,化学工業,輸送用機械工業,機械工業,精密機械工業とも米国が多い( 第2-3-22図(2) )。

(我が国の新規技術導入件数)

 科学技術庁科学技術政策研究所の分析によると,1996年度(平成8年度)の我が国の新規技術導入件数は前年度と比べ19.4%の減少となった。これら技術導入の内容は製造業関係がほとんどを占めている。その内訳は電気機械器具が全体の約60%を占め,以下繊維・衣服・繊維製品,一般機械器具,化学製品と続いている。10年前,5年前と比較すると,電気機械器具はそれぞれ2.1倍,1.0倍,繊維・衣服・繊維製品件数が1.4倍,1.9倍と増えているほかは減少しており,その中でも技術導入の件数は電気機械器具分野で多いことがわかる( 第2-3-23図 )。

第2-3-23図 我が国の新規技術導入の技術分野別件数の推移

 主な先端技術分野での導入状況をみると,電子計算機関連が他の先端技術分野に比べ圧倒的に多いが,その内訳はソフトウエアがほとんどを占めている( 第2-3-24図 )。

第2-3-24図 我が国の先端技術分野の導入動向

 導入件数の相手国は米国が全体の約60%を占めており,以下,イギリス,ドイツ,フランスの順となっている。


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