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第1部   変革の時代において
第3章  どのような取組が重要か-変革の実現に向けた研究社会の取組強化-
第5節  まとめ-変革の時代における新たな「創造」-


1.我が国は,今日,経済社会システムの行き詰まり・閉塞状況の打破,生活者の関心・ニーズへの的確な対応,地球的,人類的な課題の解決など多様かつ複雑な内外の諸課題への対応を図り,大きな変革を実現していかなければならない時代を迎えている。

 本章では,こうした時代において,内外の諸課題に的確に対応していくためには,次の点が重要であることを見てきた。これらは互いに独立したものではなく,全てが密接に関連し合い進められていくべきものである。

○「見つめる」

- 狭い個別の科学技術分野から捉えるのではなく「総合的・俯瞰的視点」を持つこと,即ち,

・幅広い科学技術の視野を持つこと,科学技術面以外の対応や状況を踏まえること,世界的視野を持つこと

○「生み出す」

- 総合的・俯瞰的視点に立った成果創出努力を行うこと

・最適な目標設定と多分野の科学技術の知識の結集・連携

- 創造的,世界的成果を創出するための活力を確保すること

・世界に通用する研究運営の実現(柔軟性,競争性,優秀な指導者など)

○「活かす」

- 優れた研究成果の社会への還元を図ること

・産学官連携・交流の促進,大学,国研の研究成果の社会への還元

○「評価する」

- 厳正な研究評価の実施

・上記取組の確実な進展のための研究評価の実施


 社会が大きく変わろうとしている時代,研究社会に求められているものは,変革につながる従来にない新たな成果の「創造」であり,また,そうした成果を生み出すための活力の「創造」である。

 こうした変革の時代における新たな「創造」を実現していくためには,今,次の取組の強化に向けた努力が必要である。

・総合的・俯瞰的視点を持ち内外の諸課題を捉えていくこと,その上で,最適な目標設定,多くの科学技術の知識の結集・有機的連携を図りつつ研究開発を行うこと。
・その中から優れた成果を創出するため,世界に通用する研究運営を行うこと,

 国としても,これら取組を強化することにより,科学技術政策の戦略性を高めていくことが必要である。

2.昨年12月,行政改革会議は21世紀における新たな行政体制の在り方について最終報告をとりまとめた。政府は,この報告を最大限に尊重し中央省庁等の改革を実施すべく,現在所要の準備を行っているところである。行政改革会議のとりまとめにあたって,橋本総理は行政改革では特に,創造的な科学技術行政体制の整備に力点を置いたとし,その結果,科学技術を戦略的に,かつ夢を開くものにする体制が十分整備されたとしている。具体的には,行政改革会議最終報告では科学技術に関し,概括次のような改革を行うことが提言されている( 第1-3-49図 )。

第1-3-49図 省庁編成図

・ 内閣府に総合科学技術会議を置き,人文・社会・自然科学を総合した科学技術を対象とした総合戦略を策定するとともに,科学技術に関する予算,人材等の資源配分の基本方針や国家的に重要なプロジェクト等について評価を行う。
・ 内閣府に原子力委員会及び原子力安全委員会を置き,現行の機能を継続する。
・ 当面総務省に日本学術会議を置くが,今後その在り方について,総合科学技術会議で検討する。
・ 教育科学技術省を置き,創造的な人材の健全育成,学術・文化の振興,科学技術の総合的な振興などを行う。また,同省の編成にあたって,同省において,総合科学技術会議の策定する科学技術に関する総合戦略を踏まえ,より具体的な研究開発計画の策定・推進や,これに基づく各省間の調整を行うとともに,学術・科学技術行政に関する総合的・戦略的取組の強化,大学行政・科学技術行政の統合による学術・科学技術研究の調和,総合性の確保などを図る。
・ 国立試験研究機関については,類似研究機関,必要以上に細分化されている小規模研究機関,地域別の研究機関,業種別の研究機関等を原則的に統廃合する。また,このような国立試験研究機関全体にわたる省庁の壁を超えた統廃合と並行して,国として重要かつ総合的に取り組む必要のある研究分野,広範な行政目的に関係する横断的な研究分野を担う中核的な研究機関を育成することにより,今後のわが国の科学技術への取組を充実させる。

 以上の報告を踏まえ,今後は総合科学技術会議や教育科学技術省の設置等の体制整備により,学術及び科学技術研究の調和と総合性を確保しつつ,人文・社会・自然科学を総合した国全体の科学技術政策の総合性,戦略性を高めていくこととしている。この体制整備が実を上げ,新世紀における活力と自信にあふれた社会の創造に科学技術が貢献できるよう今後の具体化に当たって努力していくことが必要である。

 21世紀までわずか2年半を残すのみとなっている今日,変革の実現に向けた取組の強化は喫緊の課題である。科学技術基本法の制定,それを受けた科学技術基本計画の策定により,科学技術創造立国をめざした取組は着実に進展している。変革の実現に向けた取組の強化が科学技術創造立国につながっていくものであり,一層の努力が求められる。


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