ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   変革の時代において
第3章  どのような取組が重要か-変革の実現に向けた研究社会の取組強化-
第4節  「評価する」-研究評価の強化-


 我が国全体の研究開発の抜本的な活性化を図り,限られた研究開発資源の中で優れた成果を上げていくためには,厳正な研究評価が必要である。本節では,重要性を増している研究評価について概観する。

(研究評価への取組の現状)

 科学技術基本計画では,研究評価の実施の円滑化を図るため,国の研究開発全般に共通する評価の在り方に関する大綱的な指針を策定することとされた。これを踏まえ,科学技術会議は指針の内容について検討し,平成9年7月,内閣総理大臣に意見具申を行った。内閣総理大臣は,この意見具申を受け,同年8月,「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」(以下「大綱的指針」という。)を決定した。

 この大綱的指針は,国費が投入された研究開発活動について厳正な研究評価を実施する上でのガイドラインとなるものであり,科学技術基本計画の目的を達成するための重要な柱となるものである。大綱的指針の内容は 第1-3-46表 に示すとおりであり,評価基準・過程を明示した明確な評価の確立,第三者を評価者とする外部評価の導入,開かれた評価の実施,研究開発資源の配分への反映等評価結果の適切な活用など厳正な研究評価の実施に必要な諸事項を示している。

第1-3-46表 研究評価の実施に関する大綱的指針の概要

 大綱的指針の策定を受けて,現在,政府全体として厳正な評価を実施するための評価実施体制の整備等が着実に進められている。

 例えば,科学技術庁においては,所管する国研や特殊法人等の研究開発機関においてそれぞれの性格に応じて具体的な評価の実施方法を定めることとし,平成10年1月までにほぼすべての機関が評価の仕組みを定めた実施要領の策定を完了した。文部省においては,大学等の学術研究における研究評価を一層充実したものとするため,学術審議会において評価の在り方について検討が進められ,平成9年12月同審議会は文部大臣に対して「学術研究における評価の在り方について」を建議した。通商産業省においては,平成9年7月工業技術院技術評価課を設置するとともに,8月「通商産業省技術評価指針」を通商産業省告示し,研究機関及び研究開発課題の評価を実施している。また,厚生省においては平成10年1月に「厚生科学研究に係る評価の実施方法に関する指針」を,農林水産省においては,平成9年7月に「農林水産省における試験研究機関及び研究課題の評価に関する指針」を,運輸省においては平成10年2月に「運輸省研究開発評価指針」を定め,それぞれの指針に基づく評価の実施体制の整備を図り,順次評価を実施していくこととしている。郵政省においては,平成9年4月の電気通信技術審議会の答申「情報通信研究開発基本計画」において,研究機関・課題の評価の在り方を示しており,その他の省庁においても,大綱的指針に沿った評価実施体制の整備が着実に進められている。

 こうした中,平成10年1月には,関係15省庁からなる「研究開発の評価の推進に関する関係省庁連絡会議」が発足したが,これにより,幅広く関係省庁間の情報交換を行いつつ,研究開発の評価の一層の充実を図っていくこととしている。

 各省庁とも,外部評価の導入やその充実,評価実施時期,評価方法,評価結果の公表方針の明確化など厳正な研究評価を実施する体制の整備に努めているところであるが,今後は整備された体制の下,実際の評価の実を上げていくことが求められる。

(変革の時代における研究評価)

 これまでの節で見てきたように,変革の時代において,総合的・俯瞰的視点を持ち,世界に通用する研究運営の下創造的,世界的成果を生み出す努力を行うとともに,優れた成果を社会に還元していくことが求められている。これらの確実な進展を図るためには,研究機関評価や研究課題評価を通じ,取組状況や結果などを厳正に評価していくことが不可欠となっている。

 このような中,研究者はどのような視点や体制で研究評価することが望ましいと考えているのであろうか。

 「先端科学技術研究者調査」によると,国の研究開発課題に対する望ましい評価視点としては,国研では,「学問的重要性や科学的意義」と「経済・社会ニーズへの的確かつ柔軟な対応」がほぼ同じ割合で高い回答となった。大学では,「学問的重要性や科学的意義」が高い回答割合となっており,「創造性豊かな研究内容」,「経済・社会ニーズへの的確かつ柔軟な対応」が次いでいる。民間企業は,「新産業創出」と「経済・社会ニーズへの的確かつ柔軟な対応」が高い回答割合となっている( 第1-3-47図 )。

第1-3-47図 国の研究開発課題の評価視点

 また,同じ調査で,研究者自身の研究テーマの評価体制はどうあるべきか聞いたところ,民間においては研究の性格上,内部評価が高い回答となったが,国研,大学においては,外部評価が高い回答となっている( 第1-3-48図 )。

第1-3-48図 研究テーマの評価体制のあり方

 これらは,国の研究開発については,学問・科学への貢献や創造性の視点と同時に,新産業創出を含む経済的,社会的ニーズへの的確かつ柔軟な対応という視点からの評価が重要となってきていること,そうした評価は大綱的指針で示している外部評価で行うことが重要となってきていることを,研究者自身が意識してきていることを示している。

 また,動燃改革検討委員会が指摘したように動燃は自らを取り巻く様々な状況の変化に的確に対応できない経営の不在という状況であったこと,動燃を改組してできる新法人では経営に第三者による外部評価機能を導入するとの方針は,国民・社会の要請への的確かつ柔軟な対応という点について外部評価により厳正に評価していくことの重要性を示している。

 今後,研究目標・計画,研究の進捗が,内外の諸課題への対応,国民・社会の要請や国際社会からの要請に柔軟性を持ちつつ的確に対応しているかどうか,変革につながるような優れた成果を創出できるかなどについて評価していくことが求められる。

 一方,学問・科学への貢献や創造性の視点が重要とする研究者が多いことは,研究活動は人の知的活動であり,研究者の意欲と能力を引き出し創造性を存分に発揮できる環境づくりのための研究評価が重要であることを示している。研究者や研究機関がそれまで十分に認識していなかった新たな研究上の観点や研究運営のあり方などの提示・提案が評価の中から行われることにより,研究者を励まし,支援し,研究の活性化につながっていくことが期待される。

 さらに,大学や国研など研究者の所属機関によって望ましいと考える各評価視点に対する回答割合が異なることからも示唆されるように,研究評価を行う際には画一的な評価にならないよう研究開発の特質等に応じた柔軟性をもった研究評価が必要である。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ