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第3部   科学技術の振興に関して講じた施策
第2章  総合的かつ計画的な施策の展開
第5節  国際的な交流等の促進
1.  国際的科学技術活動の主導的・主体的展開



(1) 多国間協力における主導的・主体的展開

{1} 主要国首脳会議(サミット)に基づく国際協力

 1982年(昭和57年)6月に開催された第8回主要国首脳会議(ヴェルサイユ・サミット)において,ミッテラン仏大統領の提唱の下に,初めて科学技術が話題として取り上げられて以来,科学技術に関する話題は毎年のように取り上げられている。

 1996年(平成8年)6月のリヨン・サミットにおいては,議長声明にCTBT交渉の早期妥結の誓約を確認,モスクワ原子力安全サミットでの進展の歓迎,IAEA保障措置強化への貢献要請,気候変動枠組条約締約国会議の成功等の期待,ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの成果の賞賛,朝鮮半島エネルギー開発機構への政治的,財政的支援要請等が,経済宣言にはウクライナ大統領の誓約(チェルノブイル原発1号炉の1996年末までの閉鎖)の歓迎等が盛り込まれた。

{2} 国際連合における協力

 国際連合においては,各種委員会,機関等を通じ,全地球的視野で解決に当たる必要がある天然資源,エネルギー,食糧,気候,環境,自然災害等に関する諸問題に対しての活動が積極的に展開されている。特に,これらの諸問題に最も深刻に直面している開発途上国の科学技術力の強化を図ることにより,長期的展望に立って,南北問題の解決に貢献するための努力が行われている。

 近年の地球環境問題に関する世界的な関心の高まりを背景に,1992年(平成4年)6月,国連環境開発会議(UNCED:地球サミット)が開催され,「環境と開発に関するリオ宣言」及び「アジェンダ21」が採択された。

 地球温暖化については,1995年(平成7年)12月に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が第2次評価報告書を発表するとともに,1996年(平成8年)7月に気候変動に関する国際連合枠組条約第2回締約国会議がジュネーヴで開催され,同報告書を評価する等の閣僚宣言を採択した。今後,1997年(平成9年)12月に京都において第3回締約国会議を開催すべく準備を行っている。

 また,1996年(平成8年)4月の「持続可能な開発委員会(CSD)」第4回会合においては,「アジェンダ21」のフォローアップ等について意見交換が行われた。

 自然災害については,「国際防災の10年」世界会議で採択された「横浜戦略」の趣旨を踏まえ,アジア地域の災害協力の推進を図ることを目的に1995年(平成7年)12月神戸にてアジア防災政策会議を開催するとともに,1996年(平成8年)10月東京にて,アジア防災専門家会議を開催し,アジア地域における防災センター機能を有するシステムの創設等についての意見交換を行った。

 また,国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)では,1994年(平成6年)9月に宇宙利用大臣級会合において開始が決定された「持続可能な発展のための地域宇宙利用プログラム(RESAP)」の運営のために1996年(平成8年)6月に第2回政府間会合諮問委員会が開催され,我が国もこれに参加している。

{3} 経済協力開発機構(OECD)における協力

 経済協力開発機構における科学技術に関する活動は,科学技術政策委員会(CSTP),情報・コンピュータ及び通信政策委員会(ICCP),産業委員会(IND),農業委員会(AGR),環境政策委員会(EPOC),原子力機関(NEA),国際エネルギー機関(IEA)等を通じて,加盟国間の意見・経験等の交換,情報及び人材の交流,統計資料等の作成,共同研究の実施等が行われている。

 1996年(平成8年)6月に,「グローバル・リサーチ・ヴィレッジ」大臣級会合が開催され,情報通信技術の発達が研究活動に及ぼす影響について検討するとともに,各国政府が取り組むべき政策課題について意見交換を行った。

 CSTPにおいては,1995年(平成7年)9月の大臣級会合で我が国が開催を提案した「科学技術に対する一般社会の関心に関するシンポジウム」が1996年(平成8年)11月5,6日東京において20のOECD加盟国代表及びEU代表等の参加を得て開催された。また,同大臣級会合で活動の継続を決定したメガサイエンス・フォーラムでは,これまでに,「中性子源」,「バイオインフォマティクス」,「核物理」,「電波天文学」及び「メガサイエンス国際協力に対する障害の除去」のワーキンググループの設置が承認され活動を開始している。我が国は,科学技術会議国際問題懇談会で検討が進められていた「地球規模の問題解決に向けた科学技術上の取組」がメガサイエンス・フォーラムのテーマとして適切と考え1996年(平成8年)6月のメガサイエンス・フォーラム会合においてワークショップの開催を提案し了承された。

 このほか,1996年(平成8年)5月21,22日パリにおいてOECD閣僚理事会が開催された。本理事会コミュニケにおいてCSTP大臣級会合等の結論が支持され,技術革新及び技術普及政策における「ベスト・プラクティス」を明らかにする新たな作業を策定し,1997年(平成9年)までに中間報告を閣僚に提出することとされた。

{4} ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)の推進

 本プログラムの目的は,生体の持つ優れた機能の解明のための基礎研究を国際協力を通じて推進しようとするものである。我が国が科学技術の分野においてその経済力にふさわしい国際貢献を図るとともに,基礎研究の推進による国際公共財を創出し,広く人類全体の利益に供するとの意向の下に,1987年(昭和62年)6月のベネチア・サミットにおいて提唱したもので,我が国のイニシアティブについて国際的に高い評価を得ているプログラムである。1989年(平成元年)10月には,ストラスブール(フランス)に実施主体として国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム推進機構(HFSPO)が設置され,試行段階の事業が開始された。

 本プログラムの事業内容としては,国際共同研究チームへの研究費助成(研究グラント),若手研究者が国外で研究を行うための旅費,滞在費等の助成(長期フェローシップ,短期フェローシップ),国際的な研究集会の開催助成(ワークショップ)を公募により実施している。また,助成対象分野は,参加各国の有識者で構成される国際科学者会合における検討の結果に基づいて関係国間の合意により決定されており,脳機能の解明,生体機能の分子論的アプローチによる解明の2分野における基礎研究を対象領域としている。1996年(平成8年)3月には,HFSPOにおいて合計340名の第7事業年度の助成対象者が決定されている。

 1992年(平成4年)1月に東京にて開催されたHFSP運営支援国政府間会合において,1992年(平成4年)4月から事業が本格段階として継続することについて合意が得られた。また同会合では,科学的観点からの本プログラムの効果に関する評価をHFSPOの設立約5年後に行うこととされ,プログラム全体についての総合的な評価を1996年3月末までに実施し,本プログラムの将来を検討する基礎として運営支援国に報告することとなっていた。

 2人のノーベル賞受賞者を含む6人の第一線級の科学者からなる外部評価委員会により科学的な評価が1994年に取りまとめられ,さらに外部コンサルティング企業への委託評価を含めた総合的な評価が1996年3月に取りまとめられ,運営支援国に対して報告された。この中において,科学的な質の高さ,効率的な運営等について極めて高く評価し,本プログラムは継続すべきであると結論付けながらも,運営支援国の優れた科学者からの要請にこたえるだけの財政上の能力が低下しつつあることも指摘し,本プログラムの将来に関し,運営支援国間会合の開催を期待する旨言及している。

 また,1996年6月のリヨン・サミットの議長声明においても,本プログラムの成果を賞賛するとともに,更なる進展に関する政府間会合の結果に関心を有する旨言及がなされた。


(2) メガサイエンスへの主体的取組

{1} 国際宇宙ステーション計画

 国際宇宙ステーション計画は,低軌道(高度約400km)の地球周回軌道に有人の宇宙ステーションを建設し,本格的な宇宙環境利用,有人宇宙活動の展開のための基盤の整備をめざすものであり,当初,日,米,欧,加4極の国際協力により開始された。我が国は独自の実験棟(JEM;ジェム)をもって本計画に参加することとしており,日本人宇宙飛行士も搭乗し,長期間にわたり滞在することになっている。なお,本計画の枠組みを定める「宇宙基地協力協定」について,1989年(平成元年)9月に我が国が受諾,1992年(平成4年)1月に米国が受諾し日米間において本協定が発効した。

 その後,国際状況の変化を踏まえ,1993年(平成5年)12月に日,米,欧,加合同でロシアの本計画への招請が行われ,ロシアの参加表明があった。現在,ロシアの参加に係る上記協定の改正交渉を5極で行っている。

{2} ITER(国際熱核融合実験炉)計画

 ITER計画については,当初米,ロ(旧ソ連)のイニシアチブにより計画され,その重要性にかんがみ,核融合分野において積極的な研究開発を進めるとともに,高いポテンシャルを有する日,EUが参加して,国際的な英知を結集して取り組む必要があるとの認識から,日,米,EU,ロの四極の国際協力により,核融合エネルギーの科学的,技術的な実現可能性を実証することを目標とした工学設計活動が実施されている。参加極は,1988年(昭和63年)から1990年(平成2年)にかけて概念設計活動を行った後,均等貢献の下にさらに詳細な設計及び研究開発を行う工学設計活動を1992年(平成4年)から6年間(平成10年まで)の計画で行っている。

 工学設計活動においては,茨城県那珂町,米国(サンディエゴ),EU(ドイツ・ガルヒンク)の3か所に設計を行う共同中央チームの拠点が設置され,これら共同中央チームと四極各々の国内チームが連携,協力しながら参加極の均等な関係の下,研究開発を行っている。1996年(平成8年)12月に開催された第11回ITER理事会において詳細設計報告書が受領され,本報告書については,各極は,それぞれの極内でのレビューを進め,1997年(平成9年)7月に開催される理事会において確定する予定となっている。

 なお,1996年(平成8年)7月,ITERの建設,運転・利用段階への移行について,国際協力の枠組み,立地の提案準備,参加国とコスト分担の考え方等について意見交換を行うための活動が開始された。我が国においても,1996年(平成8年)8月,原子力委員会核融合会議において,原型炉段階への核融合技術の涵養等が図られること等を条件として,ITERを我が国の核融合研究開発計画上の「実験炉」として位置づけて開発することが適当とされた。また,1996年(平成8年)12月に原子力委員会の下にITER計画懇談会が設置され,今後のITER計画の進め方に関し,社会的,経済的側面をも考慮した幅広い観点からの検討を行うこととしている。

{3} LHC(大型ハドロン衝突型加速器)計画

 LHC計画は,欧州原子核研究機関(CERN)における陽子衝突型粒子加速器計画であり,1994年(平成6年)12月に同機関の理事会においてその建設計画が正式に決定された。

 LHCは,円周27kmにも及ぶ巨大な円形加速器であり,その円形トンネル内に超伝導磁石を並べ,陽子を逆方向に光に近い速度まで加速し,陽子同士を衝突させるものである。その衝突の際に生じる膨大なエネルギー領域において,未知の粒子を発見し,物質の内部構造を探索解明することに資するものである。

 我が国においては,文部省を中心に検討され,LHC計画は,学術的な意義に加え新しい産業創出につながるものであるとして,平成7年度第1次補正予算に「世界最高水準の加速器(CERN/LHC)建設」として50億円が計上された。さらに,平成8年度第1次補正予算においても38億5,000万円が計上され,CERNに対して拠出された。

{4} ODP計画

 ODP計画(国際深海掘削計画)は,地球上において,未知の世界として取り残されている深海底を掘削し,海底が生成されて以来誰の眼にもふれることなく眠っていた堆積物と岩石の連続的採取,掘削孔を用いた地球内部の諸性質の計測により,大洋底の地殻構成,大洋底の成立の経緯,地球環境の長期変動等地球の科学的解明を図ることを目的とする国際共同研究計画である。

 1975年(昭和50年)に米国の提唱により開始された国際深海掘削計画(IPOD:International Phase of Ocean Drilling)を受け継ぎ,1985年(昭和60年)に新たな計画として掘削船ジョイデスレゾリューション号を用いた現在の国際深海掘削計画(ODP:Ocean Drilling Program)を開始した。現在,日本の他,米,英,仏,独,加・豪・韓・台連合,欧州科学財団が参加している。

 これまでに,海洋プレート(海洋底下の厚さ100kmの岩石圏)の成立過程を解明する他,プレートテクトニクスの実証等地球科学の解明に積極的に貢献している。

 科学研究の実施に当たっては,JOIDES(Joint Oceanographic Institutions for Deep Earth Sampling)という加盟国の研究機関の代表から構成される科学アドバイザリー組織が主導している。1996年(平成8年)には新しい長期計画書が発表された。この中で,計画の二つの重要な研究テーマとして,「地球環境のダイナミクス」と「地球内部のダイナミクス」が挙げられた。前者はモデルによる未来の環境予測の基礎を与えるために過去の気候変動の堆積コア記録を用いて自然の気候変動機構と急速な気候変動の原因の解明などを行うことであり,後者は海底掘削孔を利用した観測所を設置することなどにより地震などの地球の様々なプロセスを解明することなどである。

 また,計画書の中には,上記二つの目標を達成するために,現在のジョイデスレゾリューション号の他に,大学等の研究者の協力を得て,科学技術庁/海洋科学技術センターが研究開発を進めている,ライザー装備の掘削船(これまで未踏の海洋地殻深部や大陸縁辺部のような安全性の問題がある地球の掘削を可能にする)を必要としていると記載されており,国際協力による取組について協議が行われている。

 我が国は,1975年(昭和50年)にIPODが開始されて以来,文部省が予算措置(1994年(平成6年)から,295万ドル(約3億円/年))し,東京大学海洋研究所を実施機関として,現在まで継続して正規参加国として活動している。

{5} ヒトゲノム解析

 ヒトゲノム解析は,遺伝性疾患を含む各種疾病の原因解明,診断,創薬,治療技術の向上のみならず,個体の発生,細胞の分化,増殖などの生命現象の本質の解明,生命進化の機構の解明等を進める上で,今日不可欠なものとなっている。また,ヒトゲノム解析は,ヒトのゲノムを構成する約30億の塩基配列を解読することにとどまらず,その全遺伝情報を解読しようという巨大な研究開発プロジェクトであり,その成果は国際的な公共財とみなされるものであり,当然のことながら国際的な連携・協力の下で推進することが必要である。

 そのようなヒトゲノム解析研究における国際的な研究者の集まりとして,研究者間の協力の推進,データ,生物材料の交換及び関連技術の普及促進を目的にHUGO(Human Genome Organization)が1989年(平成元年)に設立されており,国際的な研究者間の連携が図られている。

 また,ヒトゲノム解析の結果として産出される膨大なデータについては,大量の情報を体系的かつ効率的に提供する体制を構築することが必要である。そのようなデータの情報基盤整備として,ゲノムマッピング情報に関する国際的なデータベースであるゲノムデータベース(GDB)に対する日米欧による国際的な支援が1992年(平成4年)に合意されている。科学技術庁においては,そのGDBの国際共同開発に参画し,資金を拠出するとともに,1994年(平成6年)には,日本科学技術情報センター(現科学技術振興事業団)にGDB日本ノードを開設している。また,DNA塩基配列データの情報基盤整備として,文部省国立遺伝学研究所のDDBJ(日本DNAデータバンク)において,米国GenBank,英国EMBLとともに,国際DNAデータバンクを共同構築し,各生物種のDNA塩基配列データ収集及び関連するソフトウェアの提供を実施している。


(3) 欧米諸国との協力

 先進国との協力活動は,二国間の科学技術協力協定等に基づき天然資源開発,エネルギー開発,原子力,宇宙開発,海洋開発,バイオテクノロジー,環境保全等先進国共通の問題の解決を図るため活発に展開されている。

 米国との間では,1988年(昭和63年)6月に締結された日米科学技術協力協定(1993年(平成5年)6月に延長)の下で,これまでに閣僚レベルを議長とする合同高級委員会が6回,高級委員会の準備会合として位置付けられる合同実務級委員会が7回,科学技術分野における両国の有識者からなる合同高級諮問協議会が7回開催されたほか,研究開発のアクセス及び科学技術情報のアクセスに関する検討を行うなど,さまざまなレベルで活発な意見交換が行われている。

 1996年(平成8年)には,58名の米国の大学院生を,我が国の国立試験研究機関等へ6月から8月にかけて約2か月間受け入れる第7回サマーインスティテュートプログラムが米国国立科学財団(NSF),米国国立衛生研究所(NIH)及び日米科学技術協力協定に基づく研究開発のアクセスに関する小委員会(TFA)により実施された。

 また,日米エネルギー等研究開発協力協定(1979年(昭和54年)5月締結,1990年(平成2年)2月改定)の下では,核融合,高エネルギー物理などの分野での協力が行われている。1995年(平成7年)2月には本協定を更に5年間延長することとした。

 宇宙分野の日米協力は,1969年(昭和44年)7月に締結された宇宙開発協力取極に基づき協力が行われてきたほか,1979年(昭和54年)7月の宇宙開発委員会及び米国航空宇宙局(NASA)の間の合意に基づき設置された常設幹部連絡会議(SSLG)をより機動的なものとするための調整を行っている。1995年(平成7年)7月には,日米宇宙協力の円滑な推進のための損害賠償請求権の相互放棄について規定した日米宇宙損害協定(クロス・ウェーバー協定)が発効した。

 また,1964年(昭和39年)に始まった「日米天然資源協力プログラム(UJNR)」の下での協力活動が30年以上続けられており,18分野において各専門部会ごとの活発な活動が行われている。1996年(平成8年)9月にはつくばにて第15回全体会合を開催し,感染症,地震被害軽減,沿岸環境等のトピックを含む協力のフォローアップと今後の協力の確認が行われた。

 このほか,日米原子力協力協定,「科学技術に関する日米委員会(日米科学協力委員会)」等を通じ,科学技術分野で広範な協力が進められている。

 また,1993年(平成5年)7月の日米首脳会談において設立された「日米包括経済協議」の枠組みでは,マクロ経済分野,政府調達,自動車などのセクター別・構造分野のほか,テクノロジー,環境,人口・エイズなどの日米双方が先頭となって世界をリードしていくべき地球的規模の課題についても協議が進められている。この「地球的展望に立った協力のための共通課題(コモン・アジェンダ)」の枠組みからは,民需産業技術協力に関する実施取決めの締結,地球観測情報ネットワークの推進・海洋等の環境保護・地震等の自然災害軽減などの科学技術に関する具体的成果が上がってきている。1996年(平成8年)4月の日米首脳会談においては,自然災害の軽減,21世紀のための教育工学,新興・再興感染症等の新たな分野の協力の開始が合意された。また,北極圏研究に関する協力を行う予定であることが,本枠組みで確認されている。1997年(平成9年)3月のゴア副大統領の訪問の際,地球変動に関する的確な政策決定に資するため,地球変動研究・予測の分野において協力していくことになった。さらに,セクター別・構造分野別での協議では日米間での科学技術分野における人及び情報の流通の拡大を図るため「技術アクセス」問題が取り上げられている。

 フランスとの間では,1991年(平成3年)に旧協定を廃止し,新たに締結した日仏科学技術協力協定のもと,閣僚レベルによるハイレベル代表者会合,有識者による合同諮問委員会及び実務者による合同委員会を開催している。1997年(平成9年)1月には,第3回日仏科学技術協力合同諮問委員会がパリにて開催された。

 また,1996年(平成8年)11月のシラク大統領来日の際,両国間の協力強化に係る共同イニシアティブを文書にまとめた「21世紀に向けての日仏協力20の措置」に両国首脳間で署名した。「20の措置」の1つとして「科学技術分野における関係の深化」を取り上げており,環境,エネルギー等の重点分野の協力,宇宙開発事業団(NASDA)とフランス国立宇宙研究センター(CNES)間の協力,ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)を通じたライフサイエンス分野の協力といった,今後の具体的な両国の科学技術協力の方策が示されている。

 カナダとの間においては,1986年(昭和61年)5月に両国間の科学技術協力を一層強化するため,日加科学技術協力協定が締結された。1989年(平成元年)4月には,宇宙分野における協力について意見交換,情報交換を行う場として日加宇宙パネルが設置された。また,日加科学技術協力のあり方についての日加共同研究報告書が両国の有識者により取りまとめられ(1989年(平成元年)7月),これに基づき両国は研究者同士が直接意見交換を行うワークショップを開催するなど,協力関係が進展している。

 また,1991年(平成3年)5月に発足した「日加フォーラム2000」(日加両国の有識者による賢人会議)の報告書が1992年(平成4年)12月に日加両首脳へ提出されたが,その中で北太平洋における環境問題に対して両国が協力を進めるべきであるとの勧告がなされた。1994年(平成6年)3月には,バンクーバーにおいて,本分野での日加の有識者が出席してシンポジウムが開催されたほか,日加科学技術協力協定の下で,1996年(平成8年)2月に第1回「北太平洋における地球科学及び環境パネル」が東京にて開催された。1996年(平成8年)2月には東京にて日加特別会合が開催され,合同委員会の活動を補完した。同年3月にはバンクーバーにて第1回日加環境政策協議が開催された。

 1996年(平成8年)11月のクレティエン首相来日の際,日加首脳より,日加科学技術協力協定に基づく協力の拡大,地球環境保護のための協力の促進等を盛り込んだ合意文書「日本とカナダ-協力のためのアジェンダ(課題)」を発表した。

 ドイツとの間では,1974年(昭和49年)に日独科学技術協力協定を締結(旧西ドイツとの間で締結した協定を1990年(平成2年)10月の東西ドイツ統合に伴い,現在のドイツ連邦共和国全土に適用)した。1996年(平成8年)9月には同協定に基づく第16回合同委員会がボンで開催され,両国の最近の科学技術政策についての紹介のほか,双方に利益のある具体的な協力の実現等について意見交換を行った。

 また,両国首脳間の合意により,1994年(平成6年)にはハイテク及び環境技術分野における両国の産業界・学界の協力強化を目的に「ハイテク及び環境技術に関する日独協力評議会」が発足した。1996年(平成8年)10月には両国首脳あてに評議会におけるこれまでの活発な議論・協力活動についての中間報告書が提出された。

 1996年(平成8年)11月に東京で行われた日独首脳会談においては,「評議会」の中間報告書のほか,日独環境保護協力協定の締結に向けて交渉を開始することについても歓迎された。

 イギリスとの間では,1994年(平成6年)に締結した日英科学技術協力協定に基づく協力が活発に行われている。

 イタリアとの間では,1988年(昭和63年)に締結した日伊科学技術協力協定に基づき,1996年(平成8年)11月に東京で第5回合同委員会を開催し,両国の最近の科学技術政策について意見交換を行った。

 オランダとの間では,両国との科学技術協力をより一層促進するため,1996年(平成8年)11月に日蘭科学技術協力協定に署名した。

 その他,日フィンランド科学技術協力会合を1996年(平成8年)1月に,日スイス科学技術協力会合を1996年(平成8年)5月に開催し,それぞれの国との間の具体的科学技術協力について検討を行った。また,スウェーデン及びノルウェーとの間では貿易経済協議の中で科学技術協力について取り上げ,話し合いが行われている。EUとの間では,両者の科学技術協力を促進することを目的に日EU科学技術フォーラムを定期的に開催しており,1996年(平成8年)7月に第2回会合をイタリアにて開催した。


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