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第2部   海外及び我が国の科学技術活動の状況
第3章  研究成果関連の動向
第3節  技術貿易


 特許,実用新案,技術上のノウハウは,科学技術に関する研究開発活動等を通して生まれる成果である。企業等はこれらの成果を自ら利用する以外に,権利譲渡,実施許諾等という形で国際的に取引している。このような取引は技術貿易と呼ばれる。

(主要国の技術貿易動向)

 主要国の技術貿易の輸出入額をみると,企業活動のグローバリゼーションの進展や知的財産権を重視する近年の傾向を反映して拡大基調にある( 第2-3-12図 )。

第2-3-12図 主要国の技術貿易額の推移

 1995年(平成7年)の技術輸出額(対価受取額)では米国の270億ドル(2兆5,363億円)が圧倒的に多く,日本銀行「国際収支統計月報」(以下本章では「日銀統計」という。)による日本の60億ドル(5,668億円),総務庁統計局「科学技術研究調査報告」(以下本章では「総務庁統計」という。)による日本の60億ドル(1995年度(平成7年度),5,621億円),イギリスの53億ドル(4,958億円),ドイツの28億ドル(2,615億円)及びフランスの23億ドル(2,172億円)を断然引き離している。

 これに対して,1995年(平成7年)の技術輸入額(対価支払額)では,日銀統計による日本94億ドル(8,881億円),米国63億ドル(5,940億円),ドイツ54億ドル(5,121億円),総務庁統計による日本42億ドル(1995年度(平成7年度),3,917億円),イギリス40億ドル(3,760億円),フランス30億ドル(2,837億円)となっている。

 この結果,主要国の中では米国が大きく出超となっており,1995年(平成7年)の技術貿易収支は206億ドル(1兆9,423億円),技術貿易収支比(輸出/輸入)は4.27となっている。イギリスは1.32と輸出超過となっているが,フランス及びドイツは輸入超過であり,それぞれ0.77,0.51となっている( 第2-3-13図 )。

第2-3-13図 主要国の技術貿易収支比の推移

 我が国についてみると,1995年度(平成7年度)の総務庁統計では,技術貿易収支比が1.43で輸出超過が前年度(同比1.25)より拡大となり,出超額は1,704億円となっている。一方,日銀統計による技術貿易収支比は均衡に近づく傾向にはあるものの,1995年(平成7年)の収支は入超額3,214億円,収支比0.64と依然として輸入超過となっている( 第2-3-13図 )。

 なお,両統計のデータに大きな相違がみられるのは,総務庁統計は我が国の研究開発活動の実態把握に主眼が置かれているのに対し,日銀統計は外国為替の管理に主眼が置かれているといった調査目的が違うため,調査方法,調査範囲等が異なるためである。我が国の技術貿易の全体的な状況を把握するためには,統計の対象範囲を定義づけ,両統計の相違する要因を補正して考察する必要がある。

 科学技術庁科学技術政策研究所では,総務庁統計のデータに卸売業,小売業等の技術輸入額を加算し,日銀統計のデータにプラント輸出に伴う技術輸出額を加算し,さらに商標の譲渡,使用権の設定の対価額を輸入額から除いた値に補正する試算を行っている。これによると,1995年度(平成7年度)の我が国の技術貿易の収支比率は1.05程度となる( 第2-3-14図 )。

第2-3-14図 技術貿易収支の試算結果(平成7年度)

 主要国間の技術貿易収支比をみると,米国が各国に対して圧倒的に輸出超過となっている。日本はイギリスに対してのみ出超となっている( 第2-3-15表 )。

第2-3-15表 主要国の相手国別技術貿易収支比

(我が国の技術貿易動向)

 先に述べたとおり,日銀統計による1995年(平成7年)の我が国の技術貿易額は,輸出が5,668億円,対前年比16.3%増(ドルベース比較),輸入が8,881億円,対前年比13.8%増(同)で技術貿易収支比は前年の0.62から0.64になっている。総務庁統計による1995年度(平成7年度)の技術貿易額は,輸出が5,621億円,対前年度比32.1%増(ドルベース比較),輸入が3,917億円,対前年度比14.8%増(同)で,技術貿易収支比は前年度の1.25から1.43と出超が拡大となっている( 第2-3-13図 )。

 総務庁統計の新規分(当該年度に新たに結んだ契約による技術貿易)のみの収支をみると,1995年度(平成7年度)は340億円の輸出超過で,技術貿易収支比は1.67となっている( 第2-3-16図 )。

第2-3-16図 我が国の新規分技術貿易収支比の推移

(我が国の国(地域)別技術貿易動向)

 総務庁統計によると,我が国と主要国との技術貿易収支比は,年度によってばらつきはあるものの,長期的には増加傾向を続けている( 第2-3-17図 )。

第2-3-17図 我が国と主要国との技術貿易収支比の推移

 1995年度(平成7年度)の我が国の技術貿易を地域別,国別にみると,技術輸出額ではアジア(西アジアを除く)が2,807億円で全輸出額の50%を占めている。そのうち主要な相手国・地域は韓国(646億円),タイ(462億円),台湾(441億円),マレーシア(334億円),シンガポール(284億円),インドネシア(216億円),中国(178億円)となっている。米国は単独の相手国としては最も多く1,606億円と全輸出額の29%を占めている。

 技術輸入額については,北アメリカとヨーロッパが圧倒的に多い。特に米国からの輸入が,1995年度(平成7年度)には2,776億円(対前年度比1.1%増)と全輸入額の71%を占めている。以下輸入の多い相手国は,オランダ(234億円),スイス(205億円),ドイツ(194億円),フランス(189億円),イギリス(121億円)となっている( 第2-3-18図 )。

第2-3-18図 我が国の地域別技術貿易額(平成7年度)

(我が国の業種別技術貿易動向)

 1995年度(平成7年度)の製造業の業種別技術貿易額を総務庁統計でみると,輸出については電気機械工業の2,150億円,輸送用機械工業の1,640億円,化学工業の721億円,機械工業の221億円が多く,これらの業種で製造業全体の85%を占めている。以下,鉄鋼業の169億円,窯業の117億円と続いている。一方,技術輸入については,電気機械工業の1,997億円が最も多く,以下,化学工業の662億円,輸送用機械工業の325億円,機械工業の211億円,精密機械工業の119億円と続いている( 第2-3-19図 )。

第2-3-19図 我が国の産業別技術貿易額の推移

 技術輸出額が技術輸入額よりも多い主要な産業,業種は,輸送用機械工業(出超額1,315億円),電気機械工業(出超額153億円),鉄鋼業(出超額127億円),窯業(出超額99億円),化学工業(出超額59億円)である( 第2-3-20図 )。輸送用機械工業の出超は自動車工業によるものである。

第2-3-20図 技術貿易額の業種別収支(輸出-輸入)(平成7年度)

 技術貿易収支比の推移をみると,輸送用機械工業は1987年度(昭和62年度)に初めて出超に転じ,その後技術貿易収支比の増加が続いている。建設業,鉄鋼業は1970年代後半から輸出が輸入を上回っている。電気機械工業,機械工業の技術貿易収支比は緩やかに均衡へと近づき,1995年度(平成7年度)に初めて出超に転じた。化学工業は近年,収支がほぼ均衡しており,1995年度(平成7年度)の値は1.09となっている( 第2-3-21図 )。

第2-3-21図 我が国の主要業種の技術貿易収支比の推移

(我が国の業種別・国別技術貿易動向)

 主要業種別の技術輸出額の地域別・国別割合をみると,輸送用機械工業,電気機械工業,化学工業,機械工業は米国,鉄鋼業は台湾が多い( 第2-3-22図(1) )。

第2-3-22図

 技術輸入額については電気機械工業,化学工業,輸送用機械工業,機械工業,精密機械工業とも米国が多い (第2-3-22図(2) )。

(我が国の新規技術導入件数)

 科学技術庁科学技術政策研究所の分析によると,1995年度(平成7年度)の我が国の新規技術導入件数は3,901件であり,前年度と比べ740件(23.4%)の増加となった。これら技術導入の内容は製造業関係が全体の98.8%(3,854件)を占めているが,その内訳は電気機械器具が2,105件(全体の54.0%),繊維・衣服・繊維製品が1,018件 (注14) ,一般機械器具が242件,化学製品が169件と続いている。10年前,5年前と比較すると,電気機械器具はそれぞれ2.3倍,1.1倍と増えている他は減少しており,技術導入が電気機械器具に集中していることがわかる( 第2-3-23図 )。

第2-3-23図 我が国の新規技術導入の技術分野別件数の推移

 主な先端技術分野での導入状況をみると,電子計算機関連が1,688件(電気機械器具の80.2%)と他の先端技術分野に比べ圧倒的に多いが,その内訳はハードウエア37件,ソフトウエア1,634件,サービス17件となっており,ソフトウエアの占める割合が最も多い( 第2-3-24図 )。

第2-3-24図 我が国の先端技術分野の導入動向

 導入件数の相手国は米国が1,981件と最も多く全体の50.8%を占めている。以下,イギリスの1,099件(全体の28.2%) (注14) ,ドイツの144件(3.7%),フランスの134件(3.4%)となっている。


(注14)イギリスから導入されている繊維関係のある商標について,1995年4月末をもって従前の契約が全て解除となったため,新たに新規導入契約を行うこととなり,1995年度(平成7年度)はイギリスからの当該商標の新規導入契約に伴う件数が847件あった。従って,1994年度(平成6年度)以前の件数とは比較できない。


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