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第1部   開かれた研究社会の創造をめざして
第4章  国民に開かれた研究社会へ
第2節  若者の科学技術離れ


 平成5年版科学技術白書において若者の科学技術離れへの懸念が指摘されていたところであるが,若者の科学技術に対する関心が他の年代に比べて低いこと,「理科はおもしろい」とする生徒の割合が学年が進むとともに低下していること等から,今後とも,若者が科学技術に親しむための取り組みを充実していく必要がある。

(科学技術への関心)

 総理府の「科学技術と社会に関する世論調査」によれば,若年層(18〜29歳)の「科学技術についてのニュースや話題に関心がある」とする者の割合は他の年代に比べてかなり低く,約43%にとどまっている。さらに,関心があるとする者の割合は,5年前の調査の時と比べて6.5ポイントも低下している。このような若年層における関心の低下は,関心があるとする者の割合が,50歳代では5.3ポイントも上昇し,30歳代,40歳代及び60歳以上では2〜3ポイント台の変動にとどまっているなかで,特筆すべきものである。また,逆に,若年層では関心がないとする者の割合は5.6ポイント上昇し,この年代だけが関心がないとする回答が関心があるとする回答を上回っている。

 このような若年層の動向を男女別に分析してみると,男性は関心があるとする者が約57%,ないとする者が約43%であるのに対して,女性は関心があるとする者が約32%,ないとする者が約64%となっており,若年層の女性に科学技術離れの傾向が著しいことがわかる( 第1-4-5図 )。

第1-4-5図 国民の意識 科学技術に対する関心(年齢別)

(生徒の意識)

 次に,文部省国立教育研究所の「理数調査報告書」によると,生徒の学年が進むとともに,「数学はおもしろい」,「理科はおもしろい」とする者の割合が減少している。すなわち,小学校5年生のときには約57%の者が「数学はおもしろい」としていた集団が,高等学校2年生になると,約41%に低下している。また,小学校5年生のときには約81%の者が「理科はおもしろい」としていたものが,高等学校2年生になると51%に低下している。

 次に,「科学は生活を豊かにする」という考えを肯定する割合は,小学校5年生のときには約59%であったが,高等学校になると30%台に低下している。さらに,「科学は問題解決に役立つ」という考えについても,小学校5年生のときには約74%の者が肯定していたが,高等学校になると40%台になっている( 第1-4-6図 )。

第1-4-6図 生徒の意識 数学と理科はおもしろいか

 一方で「科学は世界を破壊する」という意見については,学年を通して50%前後の支持がある( 第1-4-7図 )。

第1-4-7図 生徒の意識 科学技術の功罪

 なお,同じ調査のなかで,将来の希望職業について聞いたものがあり,それによれば,理工学関係以外の職業に対する希望も増加しているので,一概に理工系の人気が高まってきたとはいえないが,理科・工学関係と医学・薬学関係をあわせた理工系の職業についての希望は次第に増加する傾向を示している( 第1-4-8図 )。

第1-4-8図 生徒の意識 将来の希望職業

(国民はどうみているか)

 このような若者の科学技術離れを国民はどのようにみているのだろうか。総理府の「科学技術と社会に関する世論調査」によると,全体の約69%の者が問題である(「どちらかといえば問題である」を含む)と答えており,問題ではない(「どちらかといえば問題ではない」を含む)とした者は約20%であった。

 年齢別で見ると,30歳代で問題であるとする回答が一番高くなっており(約75%),この年代の人々が自分より若い人たちの科学技術離れを心配していることがよくわかる。また,若年層では,問題ではないとする回答が年齢別では一番多かった(27%)が,問題であるとする者も約67%に達している( 第1-4-9図 )。

第1-4-9図 国民の意識 若者の科学技術離れ

 科学技術創造立国をめざしている我が国にとって,次の世代を担う若者の科学技術に対する関心が低下していることは,科学技術に関する幅広い国民的合意の形成を図ろうとしている面だけでなく,将来の研究開発を担う厚い研究人材の確保の面からも大きな問題である。

 このため,学校教育における理科教育・技術教育について,自然に親しむ機会や観察,実験,実習,制作等の探求活動・実践の機会を増したところであるが,今後ともその充実に努めて行く必要がある。

 また,学校教育以外の場においても,博物館・科学館の充実や若者が研究者や技術者と接する機会を増やすなど科学技術が身近なものとて感じられるような社会環境の構築を進めていくことが重要である。また,第2章で述べたように,自然科学系の女性研究者は,全体の7.2%を占めるまでになってきたが,まだまだ研究の場は「男の職場」であり,女性研究者の活躍の場を広げることは,若年層の女性が科学技術に親しんでいく上からも重要である。


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