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第1部   開かれた研究社会の創造をめざして
第4章  国民に開かれた研究社会へ
第1節  科学技術の発達と国民


 科学技術の発達は,経済社会の発展をもたらし,人々の暮らしを豊かなものとしてきた。高度な科学技術の成果は生活のいたるところで利用されているが,その内容があまりに専門的であるため,国民にとって見えにくく,難しいものとなっている。また,科学技術は,従来にも増して社会に大きな影響を及ぼすようになっており,これまで慣れ親しんできた生活を変化させる可能性があることなどから不安感を持たれる面も否定できない。

(科学技術の発達への評価)

 総理府の「科学技術と社会に関する世論調査」(平成7年2月調査)によると,「科学技術の発達には,プラス面とマイナス面があると言われていますが,全体的にみた場合,あなたはそのどちらが多いと思いますか」という問いに対して,約52%の者がプラス面が多いと答え,両方同じくらいであると答えた者が約31%,マイナス面が多いと答えた者は約6%となっている。この結果は5年前(平成2年)及び8年前(昭和62年)調査と比較してみても,大きな変化は見られない( 第1-4-1図 )。

第1-4-1図 国民の意識 科学技術の発達の功罪

 また,科学技術に関する意見を聞いてみると,「科学的研究は,たとえすぐに役立たなくても,新たな知識をもたらすという意味で不可欠である」という意見に対しては,約81%の者が肯定しており,「日本が国際的な競争力を高めるためには,科学技術を発達させる必要がある」という意見に対しては,約73%の者が肯定している。

 一方,「科学技術が発達すると,我々の生活はより健康で快適なものになる」という意見に対しては,約52%の者が肯定しているものの,約31%の者は否定的であり,国民の意見が分かれていることがわかる( 第1-4-2図 )。

第1-4-2図 国民の意識 科学技術に関する意見について

 さらに,科学技術の発達により生活水準等は向上したかという点についての意識をみると,事項により大きな違いがあることがわかる。

 個人個人の生活の楽しみについては,約64%の者が向上したと考えており,物の豊かさについても,約78%の者が向上したとしている。

 これに対して,健康状態については,約38%の者が向上したとしているが,悪化したとする者も約25%に達し,意見が分かれている。

 このことは,科学技術の発達が生活の便利さや物質的な豊かさという形ではよく実感されているのに対して,健康や環境といった面では,かなりの人が不満をいだいていることをうかがわせるものである( 第1-4-3図 )。

第1-4-3図 国民の意識 科学技術の発達により生活水準等は向上したか

(科学技術の発達に伴う不安)

 また,科学技術の発達に伴う不安については,「科学技術の進歩が速すぎるため,自分がそれについていけなくなるという不安」に対して約54%の者が肯定し,「科学技術が悪用されたり,誤って使われたりする危険性がふえるという不安」に対しては約78%の者が肯定している。このように,様々な不安をいだいている者は50%〜80%近くに達している。

 これらのことを総合すると,国民は全体としては,科学技術の発達をよいことと評価しており,基礎的な研究や国際競争力を強化するための研究についてもその必要性を理解しているものの,健康や環境に対する科学技術の寄与については評価していない人もかなりいると言える( 第1-4-4図 )。

第1-4-4図 国民の意識 科学技術の発達に伴う不安

 また,大多数の人が科学技術の発達に伴い,何らかの不安をいだいていると言える。

 このような不満や不安に対しては,何よりも,科学技術が国民の要望に応えて,成果をあげていくことが重要である。また,科学技術のメリットとデメリットについて国民にわかりやすい形で議論を深め,国民の理解と信頼を得るようにしなければならない。


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