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第3部  科学技術の振興に関して講じた施策
第4章  科学技術振興基盤の強化
第9節  科学技術の学習・普及啓発


(初等中等教育における豊かな科学的素養の育成)

我が国のこれまでの社会経済の発展は,科学技術に支えられてきたところが大きく,その中で理科教育及び技術教育の果たす役割は極めて大きなものがあり,その一層の充実に努める必要がある。

理科教育については,文部省において,観察・実験を通して自然に対する科学的な見方や考え方,関心・態度などを育成することを重視する観点から内容の改善を図ってきた。現行の学習指導要領においても,観察・実験を一層重視するとともに,主体的な探求活動,問題解決的な学習が充実するよう,小・中・高等学校を通じてその改善を図った。このため,文部省では,学習指導要領の趣旨の実現を図るため,講習会の開催や指導資料の刊行に加え,理科教育設備基準を改訂し,実験用機器の計画的な整備・充実を進めている。

また,技術教育についても,実践的・体験的な学習の一層の充実を図るとともに,産業教育の進展等に伴う教育内容の変化に対応した高等学校実験・実習の施設・設備の整備を図るため,産業教育施設・設備の基準の改訂を行った。

さらに,平成7年度から,理科教育の一層の充実を図るため,新たに,小・中・高等学校の理科教育担当教員の観察・実験等に関する指導力の向上等を図るための講習会を開催するとともに,地方′において教員研修の中核となる教育センターに対して,新しい理科教育設備基準に基づいた理科教育設備を整備している。また,児童・生徒の科学的な体験学習活動を促進するための科学学習センターの整備を進めている。

また,中・高等学校において,社会の高度化・情報化に適切に対応した技術教育が実施されるように,中・高等学校の教員を対象とした各種研修を実施している。

(科学技術分野における生涯学習の振興)

21世紀に向かい,豊かで活力ある社会を築いていくためには,人々が生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができ,その成果が適切に評価される「生涯学習社会」の構築を目指していくことが重要であるとされている。特に科学技術については,その急速な進展・高度化に伴い,人々が絶えず新しい知識・技術を習得することが必要になっており,学習機会の増大を図ることが重要である。

このため,文部省では,学芸員等博物館職員の資質向上を図るため,自然科学系博物館等に勤務する学芸員等を対象として専門研修を実施するとともに,平成7年度の新規施策として,博物館や少年自然の家等がもつ専門的機能や立地条件等を活用した,青少年に対する科学教室等の特別事業の研究開発を行った。また,大学等における科学技術に関する公開講座の拡充を図るとともに,青少年や一般社会人を対象として最新の研究動向等を普及啓蒙するために開催するシンポジウムや学術講演会の開催の助成を行った。

(普及啓発)

科学技術の振興を図るに当たっては,国民一般の理解と協力を得るとともに,時代を担う青少年に科学技術の重要性を認識させ,科学する心を涵養していくことが重要である。

このため,科学技術庁では,平成7年度において,テレビ・ラジオ番組の企画,制作及び放送,映画の企画,制作及び配布,定期刊行物の発行,各種セミナーの開催等普及啓発活動を実施した。特に36回目を迎えた「科学技術週間」,32回目を迎えた「原子力の日」の科学技術関係記念期間には,関係機関の協力を得て各種行事を全国的規模で実施した。このほか,総理府に協力してテレビ,ラジオ番組の企画,放映,新聞・週刊誌等への広告掲載等を実施している。

また,青少年の科学的創造力の育成を図るため,青少年が研究者,技術者等から直接講義を受けたり,研究現場等を実体験する合宿プログラムとして「サイエンス・キャンプ」を実施したほか,科学実験やモノづくりを通して,青少年に科学技術の原理・現象のおもしろさを実体験させるためのノウハウを各地の科学館に提供し,科学技術体験活動の推進を図った。

さらに,科学技術庁では,近年の若者の科学技術離れに対応するために,若者の科学技術への興味を喚起する場としての科学館を強化する総合的な方策について平成6年から検討を行い,さらに,平成7年度においては科学館のあり方に関して有識者による懇談会を発足し,文部省及び通商産業省と協力しつつ,検討を行っている。

文部省においては,平成7年度の新規施策として,青少年をはじめとして,社会の各方面に対して理工系分野の魅力を積極的に情報発信していくために,大学・高等専門学校において体験入学事業を実施した。また,科学技術展等各種事業の主催者等の依頼に応じ,青少年等を対象として,講演・実験等を行う講師等の協力者を「サイエンスボランティア」として登録するための名簿の作成及び提供を行った。

農林水産省においては,つくばリサーチギャラリーを設置して,農林水産技術の最新の成果等を展示し,普及啓発に努めるとともに,森林総合研究所に多摩森林科学園を設置して森林科学についての展示を行っている。

また,バイオテクノロジーの定着化を図る上で不可欠な国民の理解の醸成のため,農林水産省では,農林水産・食品分野のバイオテクノロジーについての解説パンフレットを作成するとともに,平成7年度からバイオテクノロジーPA対策事業を開始し,名古屋における一般市民を対象としたフォーラム,つくば及び地域の農業試験場における体験研修等を実施した。

通商産業省においては,若者の産業技術に対する関心の低下や理工系離れに対処するため,平成5年度から,産業技術を評価し,保存して,次代を担う若者に継承していくための活動として,産業技術のイノベーションに係る実態調査等を行うなど,産業技術の継承活動を展開している。

科学技術の振興を図るためには,これらの普及啓発活動に加え,発明の奨励,科学技術に関する功労者の表彰などを通じて研究開発意欲の高揚を図ることが効果的である。

このため,科学技術庁では,自主技術開発の萌芽となる優れた発明を「注目発明」として選定し,公表することにより,研究開発の優れた成果を一般に広く周知させるとともに研究者の意欲の向上を図っている。平成7年度は,「第54回注目発明」として100件の発明を選定し,公表した。

また,科学技術庁では,我が国の科学技術に関し最近顕著な功績を上げた者を科学技術功労者として表彰(平成7年度30名)するほか,優れた研究成果を上げた研究者を研究功績者として(同年度41名),優れた創意工夫によって各職域における科学技術の考案,改良等に貢献した勤労者を創意工夫功労者として(同年度903名),小中学生の創意工夫の育成に顕著な成果を上げた学校を創意工夫育成功労学校として(同年度40校),科学技術に関して優れた振興上の業績を上げた者を科学技術振興功績者として(同年度49名),また,原子力の安全確保,核物質管理に関し優れた成果を上げた者をそれぞれ原子力安全功労者,核物質管理功労者として(同年度22名,4名),放射線の安全確保に関し優れた成果を上げた者を放射線安全管理功労者として(同年度20名,3事業所)表彰している。


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