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第3部  科学技術の振興に関して講じた施策
第4章  科学技術振興基盤の強化
第3節  施設・設備,資材,遺伝子資源等の整備,充実


平成2年1月に内閣総理大臣決定された「科学技術振興基盤の整備に関する基本指針」において,研究用資材,遺伝子資源等の供給体制の充実,大学,国立試験研究機関等における機器・設備の陳腐化・老朽化対応,世界的に最先端の機器・設備の開発と中核的研究機能の整備,外部開放のための条件整備等を図るとされ,各省庁がそれぞれ所要の対策を推進している。

施設・設備の整備については,その施策の一つとして,科学技術庁が世界最大規模の大型放射光施設(SPring-8)整備計画を推進しており,日本原子力研究所及び理化学研究所が共同してその実施に当たっている。大型放射光施設は,光速近くまで加速された電子が,磁場により曲げられた時に発生する光(放射光)を利用し,物質・材料系科学技術,ライフサイエンス,情報・電子系科学技術等幅広い分野で最先端の研究を行うための施設である。欧米においても,同様の大型放射光施設の計画が進められており,欧州では1994年(平成6年)9月に供用が開始されている。SPring-8は,基礎的・創造的研究開発を推進するうえでの重要な研究開発基盤施設のーつであり,我が国の基礎研究の振興のみならず,国際的な研究交流の一層の推進に貢献することが期待されており,平成9年度に供用を開始すべく,引き続き研究開発や機器の製作を行うとともに,兵庫県の播磨科学公園都市において施設の建設を行っている。本施設は,放射光利用研究のCOEの一つとすることを目標に,国内外の研究者に広く開かれた施設として,.最大限活用することが重要である。このため,平成6年6,月に「特定放射光施設の共用の促進に関する法律」が制定され,これを受けて当該施設に係る利用課題の募集・選定や技術的支援等,利用者との関係を一元的に扱う指定法人(放射光利用研究促進機構)制度を導入するなど,利用者本位の考え方を原則とした体制整備を行っている。同法第11条に基づき,平成6年10月には,財団法人「高輝度光科学研究センター」を放射光利用研究促進機構に指定し,共用の促進を図っている。なお,文部省においては,加速器科学分野の中心機関の一つである高エネルギー物理学研究所が,世界に先駆けて未踏領域の研究を進めるため,トリスタン入射蓄積リングを用いた大強度放射光実験設備による研究等を行っている。

基礎的・先導的研究の一層の充実が重要課題となっている今日,国立試験研究機関の果たすべき役割は一層増大していることから,政府としても重要研究課題を中心に最先端の研究施設の整備・充実に努めている。平成7年度には,新たに創設された公共投資重点化枠及び2度の補正予算をはじめとして国立試験研究機関の老朽化・高度化対策等の研究施設の整備に必要な経費を措置し,科学技術庁において重粒子線高度がん治療推進センター,農林水産省においてバイオテクノロジー共同研究の中核拠点施設,通商産業省において人間工学研究棟,研究情報基盤整備センター,計量基盤センター等,郵政省において情報通信基盤の基礎的・汎用的技術の研究開発施設等の整備を推進している。

近年,国立学校施設の老朽化・狭あい化が進むとともに,変化する時代に対応した研究基盤の整備充実を図ることが課題となっており,文部省では次のような施策に取り組んでいる。

第一は,施設の老朽化・狭あい化を改善するための施策である。老朽化した施設を今日の教育研究にふさわしい機能を備えたものにするため,建物の改築・改修並びにエネルギー供給設備等の基幹設備の更新等を進めている。また,高度化,多様化する教育研究に必要な実験研究のための十分なスペースを確保できるよう,平成6年度に大学(学部・大学院)の校舎,平成7年度は引き続き大学附置研究所・附属研究施設について施設基準面積の改定を行い,おおむね20%増の改定を行っている。

第二は,時代の変化に対応した施設整備を推進するための施策である。現在,全国の国立大学では時代の変化に対応して,積極的に大学改革を進めており,大学院の拡充や学部学科の改組など国立大学が大きく変化している。また,国際化や学内LAN等の情報化への対応など大学をめぐる状況も大きく変化しており,このような変化に伴って生じる新たな施設整備の需要に対応する必要がある。

これらの施策を行うため,平成7年度予算の国立学校施設整備費として,6年度当初予算(約1,264億円)に比べ8.4%増の約1,371億円を計上している。

また,研究設備については,平成7年度は,国立大学等における研究環境の充実・高度化に必要な「研究基盤重点設備費」や,新しい研究分野の開拓・発展をもたらすような研究に必要な「先導的研究設備費」について増額を行っている。

このほか,文部省においては,大型光学赤外線望遠鏡(国立天文台),大型水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置(東京大学宇宙線研究所),Bファクトリー計画(高エネルギー物理学研究所)等の世界最先端の設備の開発を進めている。

さらに通商産業省においては,「産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律」に基づき,今後我が国が進めていくべき高度な研究開発に必要な施設ではあるが,民間のみでは整備が困難な研究施設の整備を図る研究基盤整備事業を行っている。これは,新エネルギー・産業技術総合開発機構が出資した第3セクターにより施設の建設及び運営を行い,広く内外の研究者の共用に供することとしている。

生物系特有の研究資材及び遺伝子資源については,理化学研究所がライフサイエンス研究に必要な動植物の培養細胞・遺伝子の収集・保存・供給を行うジーンバンク事業,実験生物情報システムの開発,実験動物の開発,微生物の系統保存・分譲事業を行っている。

文部省においては,大学における研究支援体制の整備の一環として,動物実験施設の整備等を行っている。

厚生省においては,ライフサイエンス,特に医学,薬学分野における研究に必要なヒト及び動物由来の培養細胞・遺伝子の収集・保存を行うマスターバンクを国立予防衛生研究所,国立衛生試験所に設置するとともに,(財)ヒューマンサイエンス振興財団を通じ研究者等に対する供給を行っている。

農林水産省においては,植物,動物,微生物,林木,水産生物等の農林水産生物全般について遺伝資源の収集,保存を行い,さらに特性評価を進め,画期的な品種開発等の基盤となる生物遺伝資源及びその情報を提供する農林水産ジーンバンク事業を進めているほか,平成6年度からゲノム研究等遺伝子レベルの研究成果であるDNA及びDNA情報を収集,蓄積,提供するDNAバンク事業を開始した。

通商産業省においては,工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターにおいて特許に係る微生物の寄託,分譲等の業務を行っているほか,動植物細胞の保存技術の研究を行っている。


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