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第3部  科学技術の振興に関して講じた施策
第4章  科学技術振興基盤の強化
第2節  科学技術系人材の確保,養成及び処遇の改善


科学技術の一層の進展を図るためには,科学技術系人材の養成・確保が重要な課題である。

近年,少子化が進展し,若者の科学技術に対する関心の低下が懸念されるなど,将来的に科学技術系人材の確保は楽観視できない状況にある。

このような状況を踏まえ,科学技術会議では第20号諮問「科学技術系人材の確保に関する基本指針について」(平成4年12月)を受け,人材の確保に係る諸問題や,その解決のための具体的な方策について検討を行い,平成6年12月には内閣総理大臣に答申を行い,これに基づき内閣総理大臣決定した。その内容は以下のとおりである。

1) 科学技術が身近に感じられるような社会環境の構築

次代の科学技術を担っていこうとする志を有する多くの若者が輩出される土壌として,人々が科学技術に対して興味や関心を抱き,探求し,積極的に関わっていこうとする社会的環境を構築することが必要である。

2) 創造性を発揮できる研究開発環境などの整備

多様性や柔軟性を確保することによって,理工系教育の魅力を高め,そのような教育機会を通じて育まれた研究者や技術者が,その能力を十分に発揮し,伸ばしていくことができるような魅力的な環境を整備する。

3) 多様な人材の科学技術活動への参加の促進

女性や,豊かな知識と経験を持つ高齢の研究者・技術者,異なった文化的背景を持つ優れた外国人研究者・技術者など,多様な人材の科学技術活動への参加を促し,その能力を積極的に活かしていくための諸条件や環境の整備を行う。

高等教育における理工系人材の養成については,文部省において以下の施策を講じ,高等教育の一層の充実を図っている。

1) 大学院に重点を置いた人材の育成

近年の急速な技術革新,産業構造の変化に伴い,これまで以上に情報,バイオテクノロジー,材料などの先端科学技術の分野において,独創的で高度な教育研究の推進が求められており,今後は,特に,大学院に重点を置いて人材の養成に努めていくことが重要である。理工系の大学院については,特に国立大学が大きな役割を果たしており,平成7年度においても2大学で2研究科を,また15大学で18専攻を新たに設置した。

今後とも,大学の教育研究環境の飛躍的な整備充実,大学院学生の処遇の改善に努めていくこととしている。

2) 理工系教育の改善・充実

現在,各大学においてカリキュラム改革が急速に進められているが,理工系の学部についても一般教育と専門教育を有機的に関連させた教育課程を編成したり,幅広い視野や総合的な判断力,ものの見方を養う学際的,総合的科目を開設するなどの改善が行われている。

また文部省では,科学技術の高度化,学際化に対応した教育研究体制を整備するため,国立大学の学部・学科の新設・改組を進めており,平成7年度においては,静岡大学情報学部,和歌山大学システム工学部,島根大学総合理工学部,生物資源科学部の新設のほか,計15大学において学科の改組を行った。

また,中学校卒業後から5年間一貫した教育を行うことにより,実践的技術者を養成することを目的,とする高等専門学校においても,科学技術の発展等に対応するための整備を進めている。平成7年度においては,3つの高等専門学校に専攻科を設置したほか,10学科の改組・転換を行い,さらに校内LANや先端設備の整備などを図った。

3) 大学の理工系分野の魅力向上と創造的人材育成

文部省では,平成6年度に「大学の理工系分野の魅力向上に関する懇談会」を開催し,大学の理工系分野をより魅力あるものとし,青少年をはじめとする社会の各方面に対して積極的にその魅力を情報発信していくべきであるとの報告を取りまとめた。

これを受けて,平成7年度において,大学・高等専門学校における体験入学事業の推進,教育設備のハイテク化・高度化,などに努めるとともに,大学教員等の希望者が博物館等の依頼に応じ講演や解説を行う「サイエンス・ボランティア」の登録名簿の作成・配布を行った。

また,創造性に富んだ理工系人材の育成が強く求められていることから,平成7年3月以来「大学の理工系分野における創造的人材の育成のための産学懇談会」を開催し,同年7月には「創造的人才育成のための大学教育の改善についての緊急提言」を,平成8年3月には,報告書「創造的人材育成のために」を取りまとめた。

報告書は,今後,我が国産業・社会が今後とも発展していくためには,欧米へのキャッチアップ型社会から脱却し,先導性や独創性を一層発揮する方向へ転換を図ることが必要であると指摘し,これまで以上に創造性に富んだ人材の養成が必要となってきており,大学をはじめとして産業界,学会など社会全体が取り組むべきことについて,具体的に提言している。

若手研究者の支援については,文部省において,昭和60年度から新たに日本学術振興会の事業として特別研究員制度を創設し,創造性豊かな優れた若手研究者への支援を行っている。また,近年特に大学院に重点を置いた高等教育機関の整備充実,教育指導内容の改善により,研究者の養成に努めている。

また,科学技術庁においては,かねてより海外留学及び国内留学制度を設け,国立試験研究機関の活性化と併せて研究者の資質向上を図ってきた。また,平成元年度には,基礎科学特別研究員制度を創設し,独創性に富む若手研究者が自発的かつ主体的に研究できる場を理化学研究所に設け,平成7年度において70名が選定されたほか,平成2年度に創設された科学技術特別研究員制度では,平成7年度には,創造性豊かな若手研究者を130名国立試験研究機関等に受け入れるなど,人材養成に努めている。

通商産業省では,若手研究者,外国研究者等の活用を図るため,平成7年度においては,産業技術フェローシップ制度,AISTフェローシップ制度,ITIT特別研究員招へい制度により65名分の研究者を招へいする予算措置を行った。

さらに,科学技術庁では,平成7年度には,新たに科学技術振興調整費を活用して重点研究支援協力員制度を創設し,国立試験研究機関を対象として,研究内容や研究者のニーズに合わせて研究協力者を手当てする等的確な研究支援体制の整備に努めている。平成7年度に重点研究支援協力員制度の対象となった国立試験研究機関は 第3-4-2表 のとおりである。

第3-4-2表 重点研究支援協力員制度の対象機関

また,国立試験研究機関に優秀な研究要員を確保するとともに,研究公務員が研究に専念し,能力を十分に発揮できるように処遇することが肝要であるとの認識から,研究員の初任給については大学卒業者が1.2%,修士課程修了者が1.2%,博士課程修了者が1.5%の改善率となり,全体の平均引上率を上回る改善がなされた。

このほか,科学技術庁では,科学技術に関する高等の専門的能力を必要とする事項について,計画,研究,設計,分析,試験,評価,又はこれらに関する指導を行う技術士及び将来技術士となることをめざして技術士の指導を受けながら技術士の業務を補助する技術士補について,毎年試験を行っている。平成7年度は,技術士については2,074名が,技術士補については678名が合格した。また,平成7年度に技術士登録,技術士補登録を行ったものは,それぞれ1,404名,310名であった。


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