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第3部  科学技術の振興に関して講じた施策
  第3章研究活動の推進
第3節  組織別の研究活動



1. 国立試験研究機関等における研究活動

国立試験研究機関等は,各省庁に附属してそれぞれ固有の研究活動を推進している。平成7年度のこれら機関における試験研究費,人件費,施設費などを含めた総経費(国立試験研究機関等経費)は,4,066億円で前年度比7.8%の増加となっている。各省庁別に国立試験研究機関等経費をみると, 第3-3-21表 のとおりである。これらの機関における科学技術振興費関係の総定員数は,14,388人(うち研究職9,545人)で前年度に比べ84人減少(うち研究職33人の減少)している。

第3-3-21表 国立試験研究機関等経費


(1) 経常研究,特別研究

経常研究は,比較的基礎分野に属する研究を中心として経常的に行われる研究で,あらゆる研究活動の基礎を培っているものである。

また,特別研究は,経常研究とは別に社会的・行政的要請に応えて早急に実施する必要のあるもので,かつ,期限を定めて計画的に推進されるものである。


(2) 国立試験研究機関における基礎的研究の推進方策

21世紀に向けて,より豊かな社会を構築し,国際社会に積極的に貢献していくためには,創造性豊かな科学技術の振興,特に創造的な基礎的研究の充実・強化が重要である。基礎的研究の推進については,大学等とともに国立試験研究機関に期待するところが極めて大きい。

このため,科学技術庁においては,科学技術会議の方針に沿い,科学技術振興調整費の活用により,下記の施策を推進している。

・国立試験研究機関において,革新的技術シーズの創出の基礎となる基礎的研究の強化を図る重点基礎研究(昭和60年創設)   .
・省庁の枠を越え,かつ国際的にも研究者を結集することにより研究推進の効果が期待される基礎的・先導的研究を推進する省際基礎研究(昭和63年度創設)
・世界の優れた研究者が集まる研究環境を有し,優れた研究成果を世界に発信する「中核的研究拠点(COE)」を国立試験研究機関等を対象に育成するCOE育成(平成5年度創設)
・各省庁等の研究機関を結ぶ省際研究情報ネットワークの整備・利用及び基礎的・基盤的なデータのデータベース化に資する調査・研究を推進する研究情報整備・省際ネットワーク推進制度(平成6年度創設)
・研究内容や研究者のニーズに合わせて研究協力者を手当てする等的確な研究支援を行う重点研究支援協力員制度(平成7年度創設)

また,若手研究者を国立試験研究機関等に派遣し,その活性化を図る科学技術特別研究員制度を実施している。


2. 特殊法人研究機関等における研究活動

特殊法人研究機関等における研究活動は,主として政府からの出資金,補助金及び民間からの出資金などによって進められており,国立試験研究機関と並んで政府の研究活動の一環として大きな役割を果たしている。特殊法人研究機関等は,国又は民間などから広く人材を結集し得ること,弾力的な運営が可能であること,民間資金の導入が可能であることなどから,目的指向的な研究開発などを効率的に推進するのに適しており,研究開発が大規模化,複雑化し,これに対応して総合的な取組が必要とされる今日こおいて,その果たす役割は大きい。研究開発を行っている主な特殊法人等の目的及び業務は 第3-3-22表 に示すとおりである。

第3-3-22表 特殊法人研究機関等の概要



3. 大学等における研究活動

科学技術振興の基礎となる学術研究は,研究者の自由な発想と研究意欲を源泉として創造性豊かな新しい知見を生み出すことを本質としている。大学等は,学術研究の中心として,我が国の学問的基盤の確保と水準の向上を図ることを基本的な使命の一つとしている。その主な特色は,人文科学,社会科学及び自然科学の広汎な領域にわたる学問の発展を目指していること,研究者の自主性の尊重がその発展にとって不可欠であること,研究と教育が総合的に推進されていることなどである。


(1) 学術研究活動を支える文部省関係経費

全国の国公私立大学の大学院・学部,附置研究所,大学共同利用機関等における学術研究活動を支える文部省関係経費は,大学等における教育・研究活動が不可分一体なるものとして展開されているため,厳格にこれを取り出すことは困難であるが,あえてこれを分類すれば,経常的・基盤的研究費と,研究内容及びその必要に応じ特別に積算される研究費や特定の事業的研究費等に分けることができる。また,研究施設,設備を整備するための経費も大きな比重を占めている。

このうち,経常的な研究費は,研究者の,自由な研究の基盤を形成するための経費であり,国立大学等においては,教職員の人件費のほか,教官当積算校費,教官研究旅費などの経費が積算されている。また,私立大学に対しては,経常費補助や教育研究装置補助等により,人件費をはじめ教育研究活動全般に対する助成措置が取られている。


(2) 科学研究費補助金による学術研究の推進

特別の研究費にも各種の経費があるが,その一つに優れた学術研究を格段に発展させることを目的とし,我が国の学術の振興に寄与するための研究助成費として,文部省科学研究費補助金がある。科学研究費補助金は,大学等の研究者又は研究者グループが自発的に計画する研究のうち,学術動向に即して特に重要なものを取り上げて研究費を助成し,優れた研究成果を期待するものである。この科学研究費補助金は,これまで数多くの創造的,革新的な新知見を生み出すとともに優れた研究者を育てるなど,我が国の第一線の学術研究の推進を図る上で極めて重要な役割を果たす基幹的な研究費として,学術研究の進展に大きく貢献している。この補助金については,研究者の多様な研究ニーズにこたえるため,研究の目的・性格等に応じ,第3-3-23表のような申請区分を設けており,学術審議会の審査を経て配分される。

平成7年度の予算額は924億円(対前年度100億円,12.1%増),申請課題数は約8万7,000件,採択課題数は約3万3,000件である。このうち新規申請課題分(約7万6,000件)に対する採択率は29.4%となっている。


(3) 特別研究員制度による若手研究者の養成・確保

また,学術研究の基盤強化とその発展にとって,新しい研究の展開に柔軟に対応できる創造性に富んだ若手研究者を幅広く養成・確保することは,最も重要な事柄である。このため,文部省では,昭和60年度に大学院博士課程在学者及び大学院博士課程修了者等を自由な発想のもとに主体的に研究に専念させる本格的なフェローシップ制度である「特別研究員制度」を日本学術振興会の事業として創設し,年々その拡充に努めてきている。平成7年度においては,支給される研究奨励金の額を増額するとともに,総採用者を2,480人に拡充した。

第3-3-23表 科学研究費補助金の研究種目


(4) 社会との協力連携の推進

さらに,文部省では,大学の学術研究に対し,産業界等社会の各方面から多様な期待と要請が寄せられていることにかんがみ,大学の主体性の下に,可能な限り社会の諸要請に適切に対応し,協力していくための諸施策を推進している。昭和58年度には国立大学等に民間等から研究者と研究経費等を受入れ,国立大学等の研究者と共通の研究課題について対等の立場で共同して研究する「民間等との共同研究」制度を発足させた。この制度に対する大学内外の研究者の関心は高く,材料開発,機器開発,土木・建築等の分野を中心に平成6年度には1,488件の共同研究が実施された。また,このような共同研究をはじめとする産業界等との研究協力をより積極的に推進するための場として,昭和62年度から国立大学に「共同研究センター」の整備を進めている。こうした取組を促進するため,大学等と民間企業との共同研究について,相手方民間企業が負担した一定の試験研究費の6%相当額が法人税から控除される優遇税制が平成7年度から実施された。このほか,国立大学等での受託研究及び受託研究員の受入れの推進,科学研究費補助金(試験研究)による民間等の研究者の積極的な参加の促進,さらには日本学術振興会における総合研究連絡会議等産学協力事業の充実を図っている。


(5) 学術研究の国際交流の推進

学術研究は,真理の探求を目指す普遍的な知的活動であり,その発展のためには国境を越えた研究者の自由な交流・協力が必要不可欠である。また,資源・エネルギー問題,地球環境問題のように全地球的な立場から取り組む必要のある分野や,高エネルギー物理学,核融合研究等大型の設備・装置を必要とするため一国では対応し難い分野が増加しつつある。このような観点からも学術研究の国際交流の重要性が高まっている。このため,文部省では,日本学術振興会の事業である外国人特別研究員制度等による諸外国の研究者招へい及び外国人研究者受入れのための条件や体制の整備充実,我が国の研究者の海外派遣,諸外国との共同研究等を行うことによって学術研究の国際交流を推進している。このほかにも,特定の国との政府間協定及び取極並びに機関間取決めに基づく大型の国際共同研究のほか,国際学術連合会議(ICSU)や国連教育科学文化機関(UNESCO)等の国際機関が提唱する多国間協力事業への参加,日本学術振興会の行っているアジア諸国等との拠点大学方式による交流などにより多様な国際共同研究が実施されている。


(6) 学術審議会の答申及び建議

近年の学術研究を取り巻く諸状況の著しい変化等に対応するため,平成4年7月,学術審議会から「21世紀を展望した学術研究の総合的推進方策について」答申が行われた。この答申においては,今後の学術研究推進の基本的考え方として,1)人類共通の知的創造活動としての学術研究,2)学術研究の動向に配慮した研究基盤の形成,3)研究者の自主性の尊重と社会的貢献への要請,4)研究と教育の総合的推進の4つを掲げている。文部省では,この答申等を踏まえ,我が国の学術研究基盤の計画的・重点的な整備を図るとともに,学術研究の進展に柔軟に対応できる世界に開かれた学術研究体制の整備を図るため,研究費の充実,大学の研究施設・設備の改善,若手研究者の養成・確保,基礎研究の重点的推進など総合的な施策を積極的に展開している。

また,近年の学術研究の国際交流の必要性と重要性が増加しつつある状況に対応するため,平成6年7月,学術審議会から「学術国際交流の推進について」(建議)が提出された。この建議において 1)国際的に高度な水準を有する国内研究基盤の整備,2)外国人研究者受入体制の整備充実,3)発信型の学術国際交流の推進を提言している。文部省では,これを踏まえ1)大学等における学術国際交流体制の整備充実,2)日本学術振興会事業の整備充実,3)大規模な国際的研究事業への適切な取組,4)学術情報の国際交流の促進など具体的諸施策を積極的に展開している。

さらに,平成7年4月には,学術審議会において,総合的・学際的な地球環境科学の推進のため,中核的研究機関の設置をはじめとする地球環境科学の推進について建議が行われた。また,同年7月には,「卓越した研究拠点(センター・オブ・エクセレンス)の形成について」建議が行われ,これに基づき,文部省では,COEを目指して自ら努力を行っている研究機関や研究組織を積極的に支援することを目的として,卓越した研究拠点(COE)の形成のための施策を積極的に展開している。


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